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二兎を追うコウモリのスゴ技 でもこれは-

(2016.06.08)  異分野融合で新産業という特集を取り上げている

 「JSTnews」(科学技術振興機構、2016年6月号)

を読んでいて、ちょっとびっくりした。

 Image2358 異分野融合というからには、何かと、それとは違う別の分野の成果とを結びつける研究という意味だが、これがなんと、

 夏の夕方によく見かけるコウモリの獲物の動きを効率的に先読みする食虫行動と、自律的に空中を移動できる次世代高機能ドローン技術

との組み合わせなのだ。ドローンは、コウモリ同様、自らは目がないので、今のところ地上からの人間の目を頼りに移動する。次世代のドローンは、超音波を発信、その反響音をキャッチすることで目的物を、人間の目に頼らずとも、確実に追跡できるようになるというわけだ。

 一言で言えば、生物模倣技術

の例である。

 ● 自律型ドローンへの応用

 記事によると、同志社大学の研究グループは、

 コウモリが2匹の昆虫の飛行位置を同時に探知して、双方を確実に捕らえる(効率的な)飛行ルートを設定している

ことを発見した。これにより、一晩に数百匹の昆虫などを捕食するという。

 よく、二兎を追うものは一兎をも得ずという。しかし目は退化してしまったものの、コウモリはその進化の過程で身につけた空中に飛んでいる昆虫などの食虫行動を自ら放つ超音波の反射音で的確にとらえ、獲物を確実に、かつ効率よく空中キャッチする。

 目は退化しているものの、音波でとらえた目の前の昆虫にやみくもに突進するようでは、遠くに飛行する2匹目の姿を、〝見失う〟危険がある。キャッチした時、目の前の獲物が超音波妨害をする可能性が高いからだ。そこで、コウモリは遠くのもう一匹の動きも計算に入れ、出した音波が妨害されないような飛行ルートを瞬時に選ぶ。その上で目の前の獲物に襲いかかり、次いで二匹目も効率よくゲットする。このことを、研究グループはシュミレーションによるモデル計算で明らかにした。

 いやはや、ブログ子は小さい頃、夏休みの夕方、竹ざおでコウモリ獲りを楽しんでいたが、

 コウモリのスゴ技

には、今のドローンよりはるかにすごい。

 進化の見事さに、いまさらながら、驚く。

   それとは別に、ふと思った。

 これは、軍事技術におおいに役に立つだろう

という恐い予想が頭に浮かんだ。そうなのだ。これは明確に軍事技術にもってこいなのだ。防衛省は注目するだろう。

 ● 余談/異聞 コウモリの進化を想像する

  では、なぜ、コウモリは人間の子どもが振り回す竹ざおぐらいで容易に叩き落されてしまうのか。不思議だが、おそらく、進化の過程では

 06_08_1 こうした子どもの大胆な行動

には一度も出合ったことがなかったからだろう。これでは進化のしようがない。竹の棒からもわかるが、コウモリと同じくらいか、それ以上の大きさの(目の見える)生き物が昼間飛んでいたら、コウモリも、今のままではひとたまりもなく捕獲されただろう。

 だから、目で光を受けて獲物を探す必要のないコウモリは夜に行動するものだけが生き残った。また、逃げ惑う小さな獲物ののみを食べるコウモリだけが生き残った。その場合、小さな獲物で命をつなぐコウモリが餓死しないためには、たくさんの獲物を素早くキャッチすることが必要となる。だから、効率的な飛行が進化の過程で必然的に磨かれた。

 逆に言えば、種の間のわずかな構造の違いから、技を磨くことのできなかったコウモリもかつてはいたはず。だが、それらは環境に適応できず、適応種に比べ繁殖率が低くなり自然淘汰で絶滅。目が見えない分、スゴ技が生き残るには必要なのだ。こうして数十種のコウモリだけが、今日まで現生種として残った(のだろう)。

 一言で言えば、コウモリにたとえて恐縮だが、

 目の見えない座頭市が渡世できたのは、多くの周りの目明きの動きを鋭く察知、どうすれば囲まれた多数の襲撃者を、仕込み杖のスゴ技で身を守るため瞬時に切り捨てることができるのか、十分に体得していたからだろう。

 としても、その座頭市といえども、拳銃を持った襲撃者には、そのスゴ技もからきし通じなかったにちがいない(ただ、注意しなければならないのは、コウモリの話は種の進化の問題であり、座頭市の例は種の中の一個体だけの話だということ。これはあくまで、たとえであり、説明に限界がある。正しくは種の進化話では、座頭市的な形質が種内に高い繁殖率から種内に広がっていくというプロセスの説明が必要)。

 そうはいえ、子どもが物干し竿を夕方の空に向かって振りかざすだけで、コウモリがバッタ、バッタと打ち落されてしまったことの理解には役立つといえまいか。

 コウモリに教えを乞うのは謙虚でいい。しかし、ただの真似事だけでは、つまり模倣だけでは有用な自律型ドローンの開発は難しいだろう。自律的で効率的な探知能力とともに、自律的な防御面で人間の知恵や工夫も組み込むことが必要だと思う。

 これこそが、不都合な面も含めてコウモリから謙虚に学ぶということを意味する。

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