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人工知能で名作の小説が書けるか

(2016.01.15) 先日の「視点・論点」で、弁護士の福井健策さんが、どういうわけか

 来るか人工知能作家の時代

について話していた。公立はこだて未来大学の松原仁教授の

 気まぐれ人工知能プロジェクト「作家ですのよ」

の紹介である。4年前に始まったらしい。

 簡単に言えば、10年ほど前に亡くなったショート・ショートの名手、星新一さんの残した全作品約1000篇をコンピューターに蓄積し、ショート・ショートの具体的なつくり方を分析する。一方、生前、星さんは、ショート・ショートのアイデアの発想法について、

 ひらめきの法則

という創作法をまとめている。たとえば、その法則の一つは、異質なものを組み合わせるというやり方である。この法則と実作1000点から、「ひらめき」のアルゴリズムを構築、

 人工知能コンピューターをショート・ショート作家に育てる

というものである。うまく出来上がれば、亡くなった星さんは、これからも永遠にショート・ショートを書き続けることになるというわけだ。

 素晴らしい

と思った。

 将棋ソフトのようにプロ棋士を打ち負かす理詰めの人工知能はいずれできるであろう。東大受験に合格する人工知能もあるいはもうすぐできるかもしれない。しかし、ショート・ショートとはいえ、理詰めをこえたひらめきコンピューターとなるとどうか。さらには渡辺淳一さんばりの男と女の愛の物語が、人工知能によって本当に創作できるようになるのだろうか。

 第一作ショート・ショートが来年2017年には発表されるらしい。楽しみである。出来はともかく、第一作自体がベストセラーになる可能性もあるだろう。

 ところで、なんでそんなことを弁護士が話をとくとくと「視点・論点」(Eテレ)でしていたのかということだ。最後にわかったのだが、

 その作品の著作権は誰のものか

という問題があるからなのだ。人工知能に著作権があるのか、それとも開発した研究者のものなのかという難問である。また盗作とみなされないように盗作ルールを回避して人工知能は小説をつくりあげる。このこと自体はそう困難ではない。

 当分は駄作となるだろうから、問題はない。しかし、もし人間の感性に訴えるようなすぐれた創作で、ベストセラーになったらその著作権料は誰のものになるのか。 こうなると、人工知能が名作を生み出す前に法的にどうさばくかということをつめておく必要がある。だから、著作権の専門家、福井さんが今登場していたというわけである。

 また小説家のほうも

 自動小説作成装置

が登場するのだから、安閑としてはいられない時代になる。将来、作家は人工知能で創作された小説に、手を入れて最終的に完成させるという役割が主な仕事になる。そんな時代がそう遠くない将来にやってくるような気がする。

 いずれ、作家も小説家も人工知能とインタラクティブに作業をすすめる時代を迎える。

 ブログ子の予測だが、こうなると小説を書くためには自分用にカスタマイズされたプログラミング言語がいずれ開発されるだろう。作家になるためには、日本語のほかにこの言語を学ばないと小説が書けない時代になる。

 逆に言えば、誰でもがこの人工知能を購入すれば、すぐにでも小説家になれるともいえる。将来は作家受難の時代になる、かもしれない。

 そこで、ふと思った。

 そういう時代が来るという発想で書かれた星さん自身のショート・ショートの作品はないのだろうか。あるはずだと思うのだが、あれば、ぜひ読んでみたい気がする

 ● 補遺 2016年2月7日記録

 中日新聞2016年1月27日付中日新聞に、

 小松左京さんの未完の遺作『虚無回廊』

   続きは人工知能で? 分析用に全作品データ提供

という記事が出ている。提供先は、公立はこだて未来大学だという。

 記事によると、大学のほうはまだ本格的には取り組んでいないとのことだか、将来、未完に終わった作品が完結作品として出版されるかもしれない。仮に出版されたとしても、この完結作品の著作権は誰のものになるのだろう。

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