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直感も大局観も自ら学習する人工知能 ---- 囲碁プロチャンピョンに5戦全勝

Ai20160128 (2016.01.29)  経済紙なんて滅多に読まないブログ子だが、暇つぶしに入った喫茶店の日経新聞(2016年1月28日付朝刊)をふと手に取ったら、一面の真ん中に

 人工知能、囲碁プロチャンピョンにも5戦全勝

という内容の記事が大きく出ていたのには、びっくりした(写真右は3面解説。ダブルクリックで拡大)。

 ついに、人工知能が人間の能力を超えるときが来た

ということだろう。それも、意外に早く訪れたのではないか。

 チェスとか将棋とかという論理ゲームの世界では、人工知能は人間より優位に立てることがぼ実証されそうな情勢。しかし、広い盤面の碁石のパターンから次の勝てる一手をさすには大局観や直感、あるいはひらめきまでがより重要になる囲碁では、人間を追い越すのはまだまだ先だと思われていた。数値データの演算ならともかく、画像に対する高度のパターン認識は人間の独壇場だと思われていた。のだが、現実は人間の能力をこえる人工知能の時代が急速に始まろうとしているかのようだ。

 ● ネイチャー誌最新号に論文

 ところで、今回の何がニュースかというと、人工知能が人間に勝ったのは去年秋なのだが、そのグーグル開発の人工知能の仕組みについて書かれた論文が

 Image2273 英科学誌「ネイチャー」最新号(1月28日号)

に掲載されているというところである。早速、その原著論文(第一著者はD.Silverで以下20人以上が名を連ねている)を読んでみた(写真左)。原理自身は1980年代からあった

 ディープラーニング(深層学習)

というネットワーク技術。人間の大脳と同じような思考パターンをコンピューターにもわかるようなアルゴリズムで表現し、開発した。

 詳しいことはよく理解できなかったが、どうやらこの技術は囲碁に特化したものではなく、幅広い汎用性があることに気づいた。今回、このアルゴリズムの有効性が「Go(囲碁)」を例にして実証されたというわけだ。

 こうなってくると、先日この欄で紹介した公立はこだて大学で進行中の

 人工知能作家

の開発話も、まんざら夢ではなくなってくる。直観力、大局観、ひらめきに加えて、創造性や独創性も発揮する人工知能の登場はありえる。

 今回のニュースを拝見して、10年前、コンピューター開発技術者、レイ・カーツワイルが2040年代には人類の進化は特異点に至り、

 ポスト・ヒューマンの時代が来る

と詳細なデータによる根拠を示して予測したのも、うなづけるような気がする。

 こうなると、これまでのような

 人間とは何か

などというのんきな話ではなく、

 人間とは何だったのか

という過去について考える時期に来ていることに気づく。

 これからの人類進化の文化依存性

に注目したい。

 ● 重要な余談

 ここまで書いてきて、はたと気づいた。というのは、グーグルは今、世界のあらゆる大学から大量の図書、文献を借り出し、デジタル化し超巨大電子図書館プロジェクトを強力に進めている。いわば人類が生みだしたすべての知的な文化遺産のデータベース化である。

 もし、これを今回の人工知能と組み合わせたらどういうことが起きるのだろう。こんな巨大人工知能に、人間の知能は太刀打ちできるであろうか。人間のやりそうなことは事前にかんたんに察知されてしまうであろう。ましてやそこに創造性や独創性、ひらめきが組み込まれていた場合には、おそろしいことがおきそうだ。

● 読者からのコメント追記 2016年1月30日記録

上記の「余談」を書いたら、早速読者からおもしろいというか、鋭いというか、次のような趣旨のコメントが届き、ありがたかった。

 一番簡単な今回の人工知能の利用は、余談で書かれているような遠い将来の話なんかではないというのだ。具体的には、現在までに発行された

 英科学誌「ネイチャー」と米科学誌「サイエンス」のデジタル化され画像になっているすべてのバックナンバーに接続すること

だというコメントだ。これならいますぐにでも実行可能なプロジェクトであろう。この100年間の科学技術の宝庫を、今回の人工知能にさまざまな条件をつけて、ある目的を達成するため直観力と大局観とひらめきで遂行させる。

 推理力や論理力も活用すれば、おどろくほど多くの成果が飛び出してくる可能性は高いだろう。人工知能の助っ人としてその間に人間の研究者を介在させれば、ますます効率化される。

 思うのだが、そうして導き出された事実の発見や理論の著作権は誰のものになるのだろうか。これまでなら発見した人であり、理論家であることは自明だった。しかし、これがもしすべて人工知能のものになるとすると、開発したグーグルの研究開発の能力は、いずれほかを圧倒し爆発的に伸長するだろう。 

 私たちは、自ら学習する人工知能の時代への備えは出来ているのだろうか。今回の研究論文を読んでいると、そんなことを問いかけられているような気がした。 

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