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ロボット法学の4つの「NEW」って何 ?

(2016.01.20)  ロボット工学という分野について、詳しい内容はともかく、たいていの人はそのおおよその内容は理解できる。たぶん人工知能に関係がある研究や技術開発であると想像する。

 しかし、ロボット法学という言葉について、聞いたことのある人はまれであろう。ブログ子もとんと知らなかった。しかし、近々、ロボット法学会という組織が誕生しそうだと聞いて、ロボットという文字のつかない法学会と、どこが異なるのか、ちょっとわからない。

 法学というのは、当然ながら、人間法学のこと。社会における人間と人間の間の関係を法的に規定する法律やそのあり方を研究する学問。したがって人間が一人しかいない世界では法律は要らない。これに対し、ロボット法学は社会における人間とロボットの間の関係を法的に規定する法律やそのあり方を研究する学問である。当然ながら、人工知能はもちろん、簡単なロボットのなかった時代にはロボット法学は要らない。

 先日のロボット法学に詳しい弁護士、小林正啓さんの

 視点・論点「ロボット法学と4つのNEW」(Eテレ)

を聞いて、そのことがようやくわかった。たとえば、車の形をした人工知能ロボット、かんたんに言えば自動運転車など、高度なロボット時代を迎えるにあたり、そんな車同士が衝突事故を起こしたときにはどう裁けばいいのか、あるいは人間と自立型ロボットが同じ職場で働いていた場合のトラブルはどう考えればいいのか、そこが問題なのだ。

 小林さんの話によると、新しい概念に基づく新しい法律の制定でしか対応できない新しい事態が二つと、これまでの法律で対応できるが、法解釈の変更が必要になる新しい事態がある。最後に、これらの3つの新しい事態に対応できる新しい人材(NEW Genelation)の育成が急務であるという。だから、ロボット法学会の設立を法曹界は急いでいるのだろう。

 第一のNEW。

 人間によってあらかじめプログラムされているとはいえ、そのアルゴリズムによって自ら考え、行動する自律した人工知能の登場は、従来の機械とはまったく違うNEW Machineであるという事態。これは従来の機械の延長線上にあるものでもないという意味である。

 その場合でも、判断の責任は人間にあるという原則を堅持し、ロボットに任せてはならないという原則が必要だとしている。ロボット同士の事故の場合、事故回避の手順についてあらかじめ優先順位を決めておくなど、ロボットの監督責任は人間側にあるという考え方である。

 第二のNEW

  次に、人間とロボットの間の関係をあらかじめ明確にしておかなければならないという新しい事態のことである。これは人間同士の関係を規定した従来の法学にはなかった。

 人間と動物の関係を定めた法律に動物愛護法があるが、ロボット愛護法が必要になるだろうという考え方である。捨て猫をしてはいけないように自立型ロボットを野放しにしてはならないという禁止法も必要だろう。これは機械とは異なる対応である。ロボットの殺処分のありかたも今後論議を呼ぶだろう。感情表現できる人間に近い人工知能が登場しつつあるが、それであればなおさらだろう。

 第三のNEW

  刑事であれ、民事であれ、従来の法律には

 過失とは何か

ということが厳格に法律で規定されている。この場合の過失とは人間の過失のことである。

 社会通念上、当然払うべき注意をしてさえすれば、事態の予見は可能であり、かつ結果の回避の可能性もあったのに、それを怠った。これを過失としている。

 それでは、

 ロボットの過失とは何か

ということが問題になる。つまり、社会通念上、当然払うべき注意とは何か。従来の過失の解釈変更が求められるというわけだ。ロボットを刑務所に入れたり、損害賠償請求訴訟を起こすことは出来ないのだから、この場合、ロボットの過失と人間の過失の関係の規定がポイントになる。

 自動運転でひき逃げ事件が発生した場合、乗っていた人間には過失はなかったと主張できるのかどうか。さりとて、すべての責任は乗っていた人間にあるのは当然というこれまでの常識的な考え方が通用するのかということも問題になろう。

 第四のNEW

  こうした新しい、そして込み入った問題に的確に、従来の「人間法学」と整合性をもって対応できる人材を育成することは喫緊の課題であるというのは、その通りだと理解した。

 こう考えてくると、ドローン規制の場合のように従来の法律、航空法を改正して規制だけすればいいという考え方では、人工知能ロボットの到来という世界の潮流やそれが引き起こす新しい産業革命に乗り遅れるだけでなく、その恩恵に預かる機会を逃すことにもつながる。

 むずかしい時代に入ったと思うのは、人工知能を相手にするのが苦手なブログ子だけであろうか。

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