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風が吹けば桶屋が儲かる「温暖化」の怪

Image2245_2 (2015.11.20) この複雑な人間社会では「事実は小説よりも奇なり」というのは珍しくない。しかし、

 事実は科学理論よりも奇なり

という事例に久しぶりに出合った。2015年11月11日付中日新聞

 南極の氷、この20年増え続けていた NASA

という特集記事である(写真右)。温暖化が進むとかえって南極の氷が増えていく。どう理解すればいいのかという「ニュースの追跡」特集である。

 なぜ、この時期にこの事実をアメリカのNASAは公表したのだろうか。

 以下、これについて考察してみたい。

 ● 記者はなぜ混乱したか

 記事を書いたのは沢田千秋記者。いろいろなことを整理せずに書いたので、締めくくりは

 「南極の氷の増加は、地球温暖化の否定ではなく、むしろ、その現象の一環と捉えることもできそうだ」

となっていて、何を言いたいのか、まったく意味不明な解説に終わってしまっていた。消化不良であることが明白で、失礼だが、つい笑ってしまった。

 しかし、これは無理もない話であり、記者が混乱してしまったのももっともなのだ。

 要するに、温暖化現象というのは、風が吹けば桶屋が儲かるというたとえがあるように、

 非線形現象

なのだ。通常の線形理論では温暖化現象を取り扱えない。原因と結果とを明白に分離できない。原因と結果が強くカップリングしている非線形問題なのだ。

 それを学校で習う線形問題として理解しようとしているところに記者の混乱の原因になっている。

 そして、このところにこそ政治が 入り込む余地があるのだ。

 ● 今月末、パリでCOP21開幕

 そんな「南極氷の怪」記事が出ているなか、今月末にパリで開幕する

 温暖化COP21

についての記事も出ている。各国が約束した排出計画について「5年ごとに目標検証」などが話し合われるという。またIAEも

 2030年までに必要な対策費試算額は1660兆円

とも公表している。今各国が排出ガス削減計画を完全に実施したとしても

 今世紀末の世界の年間平均気温は今よりも2.7度も上昇する恐れがある

と予測、その危機的な状況を警告している。

 ● データ公表NASAの政治的意図

 だが、各国の対策は、そんなことはどこ吹く風なのだ。

 現在(2012年)、全世界の排出ガスの26%と、世界一の二酸化炭素排出量の中国は、これからもどんどん排出量を増やすが経済成長率の勢いよりは半分くらいにセーブすると〝削減〟計画を提出している。世界第二のGDPを誇る中国はこの温暖化会議では開発途上国として野放し状態になっている。

 排出量世界第二位(16%)のアメリカにいたっては、この会議締約国から10数年前に離脱したまま(2001年)。しばられたくないので復帰の目途は今も立っていないから、事実上、野放し状態。言ってみれば、アメリカは会議に真剣さがなく、投げやりなのだ。

 この二カ国でなんと全体の4割も占めている。野放し4割のなかでの会議というのでは、対策が果たして実効性が伴うのかどうかというそもそもの根本問題すらある。だからといってあまり中国を批判すると、離脱しかねないのでほかの国も歯切れが悪い。

 これに対し、日本は会議に提出している削減目標案として

 2030年までに2013年に比べて26%減らす

と約束している。EU28カ国は11.0%であることを考えると、いかにも日本は気前がいい。

 そこへもってきて、ホスト国のフランスは同時多発テロで大騒ぎ。

 うろんな温暖化対策に、今うつつを抜かしている暇はないだろう。

 現在行われている準備会合ですら交渉が難航している。こんな状況では本番の会議でも進展はない。これがブログ子の予測。年中行事として今後も惰性の会合が当分続くだろう。

 だって、

 「南極の氷が増えているというじゃないか。進展なんて必要ない」

 これが、アメリカのNASAがこの時期をとらえて、南極の氷について都合のよいデータをタイミングよく公表した理由だろう。

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