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憲法第九条はノーベル平和賞に値するか

2015.10.09)  「日本国憲法第九条にノーベル平和賞を」という推薦運動が日本や韓国で始まって、かれこれ2年、今年のノーベル平和賞に

 第九条(戦争放棄)

も有力候補となっているらしい。受賞者は、大江健三郎氏など「九条の会」らだという。一見、ありそうもないと思った。

 ● 政治性という難問

 しかし、よくよく考えてみると、

 原爆投下70年の今年、そして安倍政権が違憲性の強い安保法制を法案化し、成立させた今年、あるいは、ひょっとすると受賞するかもしれないと思った。

 きわめて政治性の強い授与だが、過去にも平和賞にはこうした強い政治性があった(たとえば、2009年のプラハ「核なき世界」演説などが評価され、オバマ大統領はその実績もないのに平和賞を受賞した。そのほかにも、非核三原則の佐藤栄作氏の例がある)。賞の性格からして、そもそも政治性を帯びるのは当然であり、政治性のない平和賞はほとんどおとぎ話のたぐいだろう。

 ここで肝心なことは、「九条に平和賞を」というのは、過去の実績もあり、

 世界の福祉に重要な役割を担った人や組織に授与する

というA.ノーベルの崇高な理念にはかなっているということだ。

 ● 誰に、どの組織に授与するのか

 その上で問題なのは、九条は、戦後間もないGHQ民政局がつくった、あるいは押し付けた法令であり、日本人は衆参両院の議決という形で日本国民の総意としてそれを、占領下という環境のなか受け入れたというやや込み入った事情があることだ。誰に、どの組織に授与するかという点でも選考委員会は悩むだろう。

 つまり、最初に条文をつくった人または、米側の事情から押し付けた組織か、それともそれを70年間誠実に守ろうと努力してきた実績のある日本側の人物、あるいは組織か。

 残念なことだが、いずれにしてもたとえ受賞が決まっても、これから九条改憲をもくろむ安倍政権としては、足かせになるので手放しでは歓迎しないだろう。

 この今の現実は、悲しいことだが国民にとっては不幸である。

 今日、2015年の平和賞が決まる。ブログ子の気持ちを、かつてのジェームス三木さんの小説『憲法はまだか』にあやかって言えば、

 平和賞はまだか

というものだ。

 しかし本音を言えば、平和賞などほかからもらわなくとも、平和主義が自らの力で貫ける日本であってほしいとは思う。

  ● 注記 ジャスミン革命運動に平和賞

 2015年のノーベル平和賞は、2011年のチュニジアのジャスミン革命を主導した民主化運動団体に決まった。長期独裁政権を崩壊に導き、アラブ諸国に次々と民主化運動を巻き起こした「アラブの春」の発端となったことが評価された。2015年10月9日 記。

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コメント

難民をドイツに押し付けるためにメルケルに与えそうな気がしないでもないですね。

9条は、なんていうか与える側じゃなくて貰う(いたい)側が(安保拡大阻止のため)政治利用しますよということを野党政治家もふくめて公言してはばからないわけで

いくら政治的に決定させる賞とはいえ下心を隠さないところに与えるかなという疑問はありますね

投稿: 太郎棒 | 2015年10月 9日 (金) 12時38分

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