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空き地という「トナリのウチュウ」  - 昆虫の目、ファーブルの目

(2015.10.19)  久しぶりに、野外自然そのものを舞台にしているダンサー、田中泯(みん)さんの大人のためのサイエンスファンタジーを拝見した。

 BSプレミアムの

 「トナリのウチュウ」(10月17日夜放送)

という番組で、自然体験のありかたを、田中さん演じる猫役の目を通して考えるものだった。

 人間にとっては空き地かもしれないが、猫やカエル、昆虫たちにとっては、それは別のもう一つのかけがえのない宇宙である、ということを非常にわかりやすく表現していた。

 見終わって、その内容を一言で言えば、

 人間の目を通して昆虫の世界を描いたのが100年前の「ファーブル昆虫記」だとすれば、立場を代えて、ネコの目を通してみると、その同じ空き地がもう一つ別の宇宙になる

という中身だった( 注記 )。この宇宙には人間が描いた人間中心主義の宇宙だけがただ一つ存在しているのではないことを鮮やかに描いてみせていた。

 動植物の種の数だけ、もっといえば種の違いに見合う脳の数だけ宇宙はある、というわけだ。

 その意味で、ブログ子の感想を一言で言えば、

 これは唯脳論的なサイエンス・ファンタジー

ではないかということだった。

 日本の科学番組も、軽薄な単なる啓蒙主義を脱して、いよいよ洗練された、地に足のついた考えさせる内容のものに移行しつつあるのではないかという予感をもった。

 蛇足かもしれないが、田中さんは以前にも奈良のキトラ古墳の謎を語るBS番組で、焚き火を囲んでの野人風な解説、案内者を演じていた。山梨県在住だそうだが、今回のほうが、一段と洗練された野人ぶりを発揮した演技だったと思う。

  ● 注記

 この意味で、この番組は、人間世界を皮肉ったあの 

 夏目漱石の『吾輩ハ猫デアル』

とはまったく異なることに注意してほしい。

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