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人類はかくして生きのびてきた        - 世界一番紀行

(2013.06.03)  世界一番紀行という3日続きのプレミアムアーカイブス番組を拝見した。この5、6年の間にシリーズとして1年おきぐらいに放送されたもの3本をアーカイブスとして早朝に放送したものである。

 ● 最寒地、シベリア・オイミャコン

 番組が最初に訪れたのは、

 人の定住地としては地球でもっとも寒い

 ロシア・オイミャコン(人口900人、シベリアのサハ共和国)。

  冬場の平均気温は氷点下約50度。氷点下約40度にもなるエベレスト山頂、氷点下約30度になる南極よりも寒い「寒極」。記録としてはっきりしているのは氷点下71.2度。

 番組ではこの地を2月上旬に訪れていたが、氷点下53度というものずごさ( 注記1 )。この環境でも、そして加熱しなくても大切な水が常に凍らないように、ドラム缶などに上手に貯蔵されていたのには感心した。

 ● 強力なフェーン現象のアフリカ・ジブチ

 次に訪れたのは、一転、年間の平均気温(毎日の最高気温の年間平均と、毎日の最低気温の年間平均との間でさらに平均を取った値)が、

 34.5度のアフリカ・アファール三角地帯のジブチ。

 ジブチ共和国の首都、ジブチのここは、大雑把に言えばエチオピアの東隣りで、人類最古の骨、たとえば、350万年も前の人骨が何体も出土している海面より低い低盆地(旧フランス領)。今も35万人が生活している。

 番組で訪れたときには真昼間で48度。体温よりも12度も高い。日本の暦で6-9月の乾季には、日中では最高気温が50度になるという。よくこんなところで、人類は焼け死にもせず生き残って、進化してこれたものだとおどろく( 注記2 )。

 ● 富士山より高い90万都市、エルアルト

 最後は、富士山よりも高い4150mの高原に90万人が暮らす大都市

 ボリビア・エルアルト。

 ブログ子が暮らす政令市、浜松市より10万人も多い。気圧は浜松の3分の2程度とかなり薄い。有名なチチカカ湖が近いので水源には困らないのだろうが、それにしてもよくも高山病にならないものだ、とこれまた感心した。

  これは言ってみれば、

 天空都市

である。人類はこんなところにも文明を築いてきたのだ。

 ボリビアの首都、ラパスを見下ろすエルアルトのアルティプラノ高原(4000m級)にはインカ文明以前に栄えていた古代文明ティワナク文明があった。1000年以上の繁栄を誇ったという。高山帯のため樹木はなかったが、高原では今もジャガイモが大量に収穫されており、大人口を支えている。水の確保はチチカカ湖だっただろう。

 4000m級でも人類は100万都市を築いて生きのびることができる。

 これらの地について、まとめて紹介してくれたおかげで、むしろ人類はたくましく生きてきたというすがすがしさを感じた。

 そればかりか、人類、とりわけ現在の人類に直接つながる現生人類は何回も、何回も長期にわたって続いた大氷河期をどのように生きのびてきたのか

というブログ子の疑問も氷解した。照りつける砂漠状態が続いても人類がそう簡単には滅びるものではないというのもうなづけた。

 ● やがて快適な海底都市も

 この世界一番紀行は、

 人類はなぜ生きのびてこれたのか

ということを、生きのびたいという意志さえあるならばという主体性の条件はつくものの、具体的な事実でもって明解に物語ってくれていた。

 このことから、ふと思った。現在の人類はやがて

 海中あるいは水中都市、さらには海底都市

に快適に暮らすときがくるであろうと。そして、それどころか、

 月にだって都市を建設するであろう

と。いや、火星にだって暮らす日が来るだろう。ひょっとすると、ブログ子がまだ生きているうちに。

 進化には遺伝子の突然変異を通じたとてもゆっくりした生物学的な進化の仕方と、人間の拡張としての道具、たとえばこん棒、弓矢、ウェアラブル端末、さらにはマイクロAIロボットの体内組み込みなどを通じた非生物学的で、また主体的かつ急速な進化の二通りの方法があるように思う。

 人類は生物学的な進化では、失敗であり、絶滅に向かっているとの見方がある。しかし、もう一つの文化依存性の進化という知恵を働かす仕組みがある。

 そう考えると、人類の未来が少し明るくなったように感じる。

 意外にも、広い視野で人類について考えさせる番組だったと思う。

 ● 注記1 オイミャコンはなぜこんなに寒い

 簡潔に言えば、北極海という海洋性の暖の気象条件を享受できない、その上内陸性の厳しい寒の気候条件をまともに受けている。さらに、町の標高が高い、さらに言えば、冬季に居座るシベリア大寒気団の真下に位置する-など、悪要件が重なったせいなのだ。

 ● 注記2 ジブチはなぜこんなに暑い

 こちらも簡潔に言えば、もともと赤道に近いこともあるが、インド洋からの大気による三角地帯のフェーン現象のせいであり、もうひとつ、海面より低い盆地状三角地帯のプレートテクトニクス的な原因、つまり火山活動が地下で盛んなせいなのだ。熱水が地下から湧き出ているためそもそも地面が熱水で熱せられているという、点火したコンロ上のフライパン現象がジブチにはある。

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