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お祭りとは何だろうか ハレとケ

(2015.05.04)  今の大型連休の時期、全国どこもそうなのだろうが、浜松もお祭りでにぎわっている。遠州灘の中田島砂丘の凧揚げ合戦、夜の御殿屋台の引き回し運行は、普段静かな郊外をとくに盛り上げている。

 ● 浜松では170以上の町内が参加

 Imgp7523 右の写真は、ブログ子の町内や連合町内が持っている佐鳴台般若連御殿屋台の夜の帰町運行の様子。昨日(5月3日)夜の8時半ごろに市中心部から戻ってきたところを撮影したのだが、小さな子どもたちも大人たちに混じって屋台をひいているのが、おもしろい。屋台は着飾った女性が乗り込んでいるなど、若者が主体の祭りである。

 というのも、浜松まつりはそもそも子供の誕生を祝うまつりで、今では市内170町以上が参加している。準備はまだ寒い2月ごろから始まり、参加に必要な法被販売、寄付活動など、それぞれの自治会や町内会所が手分けして行なっている。

 ● 共有する価値観の再確認 

 わかっているようで、なかなかなその核心をつかむのがむずかしいのが、まつり。まつりとは何か、あらためて手元の辞典などで調べてみた。

 愛用の新明解国語辞典(三省堂)はもちろん、大辞林(三省堂)、広辞苑(岩波書店)、大辞泉(小学館)、さらには新潮日本語漢字辞典(新潮社)、そしてさらに本格的な専門辞書、日本国語大辞典(小学館)や古語大辞典(小学館)まで調べてみた。が、いずれも

 神さまや先祖を迎え、よろこばせ、なぐさめるため、時にはいけにえをささげたりする儀式

というぐらいの語釈であった。儀式の日をハレ(晴れ、非日常の意)といい、これに対し日常をケ(穢れ)というようにとらえられているらしい。

 しかし、ブログ子は、なんとなくわかったような気分になったものの、まだなんとなくその意味の実感を感じることができなかった。

 現代において、まつりがこれほどに盛り上がるには、伝統的な儀式の持つ機能が今も有効に働いている証拠なのだが、それは何か。これが、この語釈では伝わってこない。

 そこで、押入れにしまい込んでいた、かつて愛用していた

 日本大百科全書(ジャポニカ、小学館)

の項目を調べてみて、はじめて納得した。長い説明を要約すると、

 まつりには、そこに参加する人々になにがしかの共通の価値観をもっていることを互いに再確認させ、彼らを結集させる機能がある

というものである。ハレとケを行き来することによる帰属意識の確認がまつりなのだ。ケの世界では忘れそうになっていた価値観、アイデンティティを、あらためて参加者がお互いに思い起こす機会が祭りなのだ(民衆のこの結集力を恐れる場合には、そこには祭りは行なわれない)。

 その意味では、祭りの主役であるはずの神さまや先祖は脇役にすぎない。

 ● 祭りの核心は神聖な夜

 そのハレの舞台は、日常がやみに包まれる神聖な夜なのだ。

 ブログ子が長く暮らした京都の祇園祭も、宵山、宵々山の夜が本番であり、翌日昼に行なわれる山鉾巡行は儀礼としてのクライマックスにすぎない。五山の送り火ももちろん、夜が本番。

 まつりへの参加によって、自分が日本人であることを再確認する、浜松人であることを確認する。それがまつりの核心。祭りは、見物人を含めて直接参加することに意義がある。テレビ放送のニュースとして見るだけでは意味はない。

 世界の祭りのほとんどはその核心部分に夜が位置づけられていると思う。この意味で言うと、だから、祭りのない国はないのではないか。共通の価値観があれば愛国心はなくても国づくりはできる。しかし、これに対し共通の価値観やアイデンティティを必要としない国づくりは支配し、支配される関係はあっても、価値観の共有がないので、国をまとめていくことはむずかしい。

 これを要して、あえて言えば、今うねりとなっている反グローバリズムとは、価値観の共有なき経済グローバリズムの危うさを訴えていると言えるだろう。

 そんなことも気づかせてくれた般若連の夜の帰町運行だった。

             JR浜松駅前で=2015年5月5日夕方

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