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「黄河の水」をさかのぼる 星宿海

(2015.03.11)  50年近く前、高校生だったブログ子は、世界史が好きで、教科書以外の歴史書を少しだが、読んだ。そのなかに

 烏山喜一『黄河の水』(角川文庫)

Imgp7103 というのがあった。中国の歴史は黄河流域にありというわけだろう。とうとうと流れる水というのは、大衆をイメージしたものだということもわかる。中身は、少年少女向きの中国小史。

 長い長い中国の歴史を、こんな小さな、そして薄っぺらな小冊子で読めるというのが、同級生に好評だった理由だった。

 ● 高校時代の思い出

 そんなことを今も覚えているのは、著者の烏山喜一という人の「烏」という文字をてっきり、小鳥の「鳥」だと思い込んでいて、先生に注意されたことがあるからである。カラスを意味する「烏」という文字には、小鳥の鳥の字よりも横棒一本足りない。と、当時の世界史の先生は注意してくれた。カラスの烏と、小鳥の鳥とは、別字。今で言うならば、ウーロン茶の烏龍茶は、カラスの「烏」なのだ。

 遠い記憶で細部ははっきりしないが、そんなこんなで、ブログ子にとって、この本には思い出が多い( 注記 )。

 高校生の時に読んだときには、この本は中国の歴史とはいっても、もう少し意味が狭く、

 漢民族の歴史

だということには、思いが至らなかった。水そのものは、広大な水がめ、チベット高原の峰峰にある万年雪から供給されているのだろうということは、高校生でも容易に想像できた。

 もう一つ、思いが至らなかったのは、

 黄河の水をもっともっとさかのぼれば、一体どこにたどり着くのか、つまり、源流はチベット高原のどのあたりか

ということ。この本の「黄河の水」というのはせいぜい、蘭州まで。それよりさらにさかのぼったところは出てこない。漢民族の歴史とは直接関係ないからだろう。

  ● 星が生まれる海への旅    

 先日、BSプレミアムで、再放送なのであろう

 「星が生まれる海 星宿海」

というのを放送していた。銀川から蘭州を通り、さらに南へ、南へと流れる黄河をさかのぼる。源流の星宿海まで、土地、土地の人々との出会いを楽しみながら走破する車の旅である。

 赤土を溶かし込んだような黄河のほかに、真水のような黄河。そうかと思うと青い黄河もあった。広くなったり、消えてしまったような黄河、さらにさかのぼると清澄な双子のような湖にも出会う。

 オリン湖とザリン湖

である。だいたいの位置としては、中国の南部、青海省南部の高原地帯である。

 このあたりまでくると、モンゴロイドというよりも、チベット民族の顔であり、宗教もチベット仏教(ボン教)で、人々は中国語を話していても、漢民族とはかなり異質な文化のように感じる。

 この双子の湖をさらに西へ西へと、そして、上へ、上へと行ったところに、ゆるやかな巨大盆地。そこには数百はあろうかという湖沼からなる

 星宿海 = 黄河の水の源流

があった。標高は4300メートル前後である。

 ● なぜ星宿海なのか

 そんな星宿海の近くにも、二人の子供のいる家族がつつましく暮らしていた。

 なぜ、この湖沼群が

 星の宿る、あるいは生まれる海

なのか、最初はよくわからなかった。

 それがわかったのは、晴れた月明かりの夜だった。

 天空の星空の下に、地平線で接続するように、湖沼それぞれの湖面が月明かりの反射でまるで星が生まれてきたかのように星が輝き、浮かび上がるのだ。

 本当の星空と、地上の無数の反射湖面とが、暗闇の水平線をはさんで群がり、輝いている。

 幻想的で、絶句するような光景だった。

 番組でも、言及していたが、本当の源流はここからさらに西、あるいは南に下がったところらしい。100キロ以上も先きなのだ。

 それでも、青海省南部の高原地帯の範囲で、チベット自治区までには至っていない(下に源流地図 =  朝日新聞グローブ(2009年、19号)。一部手書き加筆し引用)。

 本当の源流までの踏査は、おそらく軍事機密にふれるということから中央政府の許可が出なかったのであろう。番組では紹介されていなかった。

 それにしても、文字通りに中国の奥深さを知ることのできたおもしろい番組だった。

 03_11_1_2

  ● 注記

 写真の『黄河の水』は、ブログ子の高校時代のときよりも新しい

 改版初版(1972年発行、定価180円)

ものである。表紙の写真はまさに高校時代に読んだものと同じ。

 ただし、このときの著者名は、なぜか、小鳥の「鳥」であって、横棒一本足りないカラスの「烏」ではない。

 ● 補注

 この星宿海の南の正式な源、正源のあたりは、長江の源流あたりでもあることを付記する。

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