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原作に挑戦、「80時間世界一周」 〆て13万円

(2015.3.13)  読んだことはないが、フランスの冒険小説に、

 『80日間世界一周』

というのがあるそうだ、今から150年近く前のもので、当時、実際にも同じような企画がお金持ちの間で大人気だったらしい。

 おそらく、『種の起源』(1959年)で知られるC.ダーウィンの5年にもわたる20代のビーグル号航海(1836年イギリスに帰航)の影響だろう。世界は驚きに満ちているという体験をしてみたかったのだろう。

 ● 格安航空の乗りまくり

 ただ、一周してくるという目的では、1522年に成し遂げたマゼランの世界一周が、地球は確かに丸いということを証明した点で有名。このときは、マゼラン自身は、立ち寄ったフィリピンの島で殺されているが、ともかく、3年でスペインに航海船は戻ってきている。

 じゃあ、今だったら、格安航空を利用したら、どれくらいの時間で、またどれくらいの旅費で世界一周できるのだろう。

 そう考えた、50代のルポライターがいる。ときどき出かける図書館の返却棚で偶然見つけた本に、なんと、

 『80時間世界一周』(近兼拓史、扶桑社新書、2012)

というのがあったのだ。海外旅行のベテランなのだが、サブタイトルは

 格安航空乗りまくり悶絶ルポ

というのだった。80時間台、というからたった4日間というものすごい駆け足。費用もなんと全部で13万円。時間も費用も国内旅行並みだったというのにはびっくり。

 ちなみに、24分の1に時間を縮めたおかげで、費用の点でも、わずか13万円と、船旅なら最低でも300万円はかかる費用を約24分の1にカットできたらしい(「補遺」参照)。

 ● 50歳で人生観を変える

 たいていの人は、そんなに急いで海外旅行をして何がおもしろいのか、といぶかる人も多いだろう。のんびりと、おいしい料理や美しい景色を楽しむ。それが海外旅行ではないか。国内旅行でも、それはいえる。

 それに対し、この悶絶の早回り旅行には、

 安い費用でしかも、人生観を変えることができる

という楽しみがある点。身についた常識が通用しない場面がたった4日間で次々と体験できる。リスクをとるという決断力と判断力、臨機応変な機敏さも、昔の冒険世界旅行の時代と同様に求められる。

 確かに、のんびり旅行ではとても、そんなことは無理だろう。これまでの人生のご褒美ではない。新たなものに挑むこころを育むというわけだ。

 早回りの意味は、長期にわたる命がけのマゼランやダーウィンの航海と何ら変わらない。

 60代で、もう海外旅行は無理とあきらめかけていたブログ子がショックだったのは、

 50歳という著者の年齢

だった。

 人生の下り坂に差し掛かっている50代になっても、その気さえあればまだまだ人生観を変えることができる。つまり人生を変えることができる。

 少し大げさに言えば、そう考えてもいいということ。このことを、早周りという意表を突く行動力で気づかせてくれた貴重な新書だったように思う。

 言い換えれば、井戸の中のカエルになるな、というメッセージだ。これは常識が通用する国内旅行ではとても体験できるものではない。

  ● 補遺 88日間、世界一周88万円 2015年5月12日付

 船旅(成田-ドバイは旅客機利用)では、いくらぐらいかについて、

 最近(2015年5月12日付朝日新聞朝刊)、広告を見つけた。ピースボート フライト&クルーズで、特別企画先着100名様限定という条件が付いているのだが、

 88日間、世界一周88万円(4人相部屋で1人当たりの料金)

というのがあった。2人(ペア)部屋なら1人当たり135万円、いわゆるシングルなら160万円。これは、本文試算300万円の約半額。

 添乗員が同行。ヨーロッパ観光は地中海めぐりのベネチア、マルセイユ、バルセロナ。スペインではあのサグラダファミリアも見学できるという。ギリシャではサントリー二島に上陸する。スエズ運河もパナマ運河も通航する。ペルーの世界遺産、マチュピチュ遺跡、画家ゴーギャンのタヒチにも上陸する。寄港地は全部で20港。ピースドリーム号(35000トン)で9月10日出発、12月6日帰着。

 飛行機とはちがって、船の中で寝泊りする。ので、荷物の運搬がなくなり、シニア向け旅行かもしれない。手ぶらで出かけられる世界一周ということだろう。

   参考のため、申し込みは03-3362-6309(FAX)。企画・実施= ジャパングレイス(新宿区、03-5287-3081) + ピースボート

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