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ダークエネルギー 加速膨張宇宙の正体

Image2082 (2015.02.26)  先日の日曜日、ボランティア先の浜松科学館(浜松市)で、

 プラネタリウムをつくろう

という親子教室が開かれた。

 写真のような紙クラフトの卓上型プラネタリウムなのだが、親子が相談しながら組み立てるという工作のおもしろさがあった。指導に当たったのは、同館で本物のプラネタリウムを操作している担当者だった。

 ● プラネタリウム工作の後で

 ブログ子たちボランティアも参加して、2時間ぐらいで全員、満足のいく作品に仕上げていた。最後に

 今つくったプラネタリウムで、今夜の星空を確かめ、観察してほしい

とアドバイスしておいた。午後8時ごろには、真上に冬の大星座、オリオン座が見えるはずである。

 そんなこんなで、工作教室が終わり、ひといきいれたひとときにはやはり宇宙の話におよんだ。その中に宇宙に詳しい学生も参加して、

 今話題のダークエネルギーとはなにか、宇宙はなぜ加速膨張しているのか

という最先端の話題になり、ちょっとびっくりした。

 ブログ子はシニアボランティアなので、うまく説明しようと、あれこれと話をしたのだが、今ひとつ、若い人に納得してもらえなかった。

 残念だったので、その夜、少し考えたのが次のような説明。これだと少しは理解してもらえたのではないかと、おしいことをしたと思った。

 ● わが宇宙の内部に源

 なぜ宇宙は今、意外にも加速度的に膨張し続けているのか。この不思議の説明はこうだ。

 はるかはるか昔、宇宙はビックバンの大爆発で膨張をはじめた。のだが、最初はいきおいがあっても、宇宙なかには星などの重力のせいで、だんだんとその勢いがなくなり、ついには膨張をやめて、今度は一転、風船が縮むようにしぼんでしまう。15年ほど前までは、宇宙もこのタイプだと信じられてきた。

 なぜかというと、これは、地球上で、物を真上に向かっていきおいよく放り投げても、地球が物を引っ張りこんで、やがて再び地上に引き戻され、落ちてくるようなものであるからだ。

 ところが、宇宙は加速度的にますますいきおいよく膨張していることが最近、わかった。

 これについては、地球からものすごい勢いで放り投げた場合に相当するようにも思うかもしれないが、しかし違う。なぜなら、ものすごい勢いで真上に放り投げたとしても、そして、地球にもう戻ってこないかもしれないが、そのいきおいがますますすごくなるということはない。地球にひっぱられて、少しずついきおいがなくなり、ついには、あるいはいずれまた地球に戻ってくる。ますます加速するということなどない。

 では、どういう場合、ますます加速するのか。

 第一のケース、簡単に言えば、燃料を積んだロケットの打ち上げに似ている場合。つまり、現在の宇宙内部にエネルギー源があるとした場合である。

 つまり、物体に噴射用のロケットエネルギー燃料が積み込まれているようなもので、どんどん燃焼すれば、これならば上昇するにつれて、どんどん加速する。宇宙の場合で言えば、膨張によって次々にわき出てくる空間が持つエネルギーで宇宙全体がロケットのように加速度的に膨張するだろう。

 もう一つのケースは、宇宙の外部にエネルギー源を持っている場合である。

 つまり、それは地球の周りに月があるが、これが今の月よりも、たとえば数百倍も重かった場合に相当する。このとき、先ほどのものすごい勢いで放り投げられた物体は、地球と月の中間くらいまできたとき、地球にはもう戻れない。というのは、月のほうにいきおいよく引っ張り込まれてしまうからだ。

 これを地球からみると、放り投げた物体は遠ざかるほどいきおいよく加速しているように見える。

 つまり、宇宙の加速度的な膨張もこれだというわけだ。

 ● 異次元宇宙からの重力説

 問題なのは、加速膨張の元となるエネルギー源が「宇宙の外」にあるという点。

 わが宇宙は唯一つである考えると、外部エネルギー源説は原理的に無理。しかし、わが宇宙のほかに、たとえばもう一つ異次元(たとえば4次元空間の)宇宙があれば、そこに、先ほどの巨大な月のように、わが宇宙を引っ張り込む源を置くことはできる。つまり、これで加速度的にわが宇宙を膨張させられる。

 問題は、もう一つの宇宙が見当たらないのはどうしてか、という点。それは、もう一つ別の宇宙はわが3次元宇宙とは異なる異次元だから、重力は伝わってくるが、原理的に見えないというわけである。

 これが、ダーク、つまり見えないエネルギー源の正体というわけだ。加速度的に膨張しているわが宇宙には、つねに異次元の外から力が働いている。

 この説明の欠点は、たとえ正しいとしても、異次元世界なので、その存在は地球からは決して観測できない。つまり、別宇宙の存在を証明できないという点にある。

 その点、第一のケースは、ダークエネルギーの源をわが宇宙の内部に求めているので、観測で検証可能であるという点で優位な説明であろう。

 ● 真空のエネルギーって何?

 ただ、この場合のダークエネルギーは「真空のエネルギー」だとすると、その実体は何かという点は依然謎として残る。

 いずれにしても、ダークエネルギーの正体は、おそらくそう遠くない将来、たとえば、ブログ子が生きている間には解明されるだろうと思う。

 というか、そうあってほしい。

 閑話休題。

 サイエンスボランティアをしていると、いろいろな問題が若い人から浴びせられる。それも楽しみの一つなのだが、きっと今に、

 見えないダークマターって何?

と聞かれそうだ。さまざまな観測機器を使って今宇宙に見えているものとして存在することがわかっている物質量の6倍も、まだ人類に知られずに存在しているというのだから驚きだ。これほどの量ということは、とうてい私たちが今知っている原子や素粒子などのたぐいではないだろう。

 この宇宙には、人間にはまだ見えていないが、いまだ未知の何かが大量にある。

 それは何か、と聞かれる前に、少し説明のしかたを工夫し、準備しておきたい。

 宇宙は、ますます神秘なのだ。そんなことを思い知らされた日曜日だったように思う。

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