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行動にユーモア クレイジーを常識に変える

(2015.01.12)  ブログ子は、浜松市の佐鳴湖でシジミの復活を目指して、あれこれやっているせいか、最近、生き物にとって持続的に生息しやすい川や水環境のあり方にも関心を持つようになった。

 そんな折、仲間からアメリカ発のドキュメンタリー映画

 「ダムネーション」(パタゴニア、2014)

というドキュメンタリー映画をすすめられた。浜松市にある単館系の市民映画館シネマイーラで、先日上映会とそのあとトークがあるというので、出かけてみた。映画のプロデューサーは、川とそこに生息する魚たちを守ろうとする生物学者。具体的には魚道プロジェクトの推進者でもあるらしい。

 内容は、アメリカは、大小合わせて約7万5000基もある「ダム国家」だが、税金を無駄遣いし、魚たちの生息を過度に痛めつけるので、

 ムダなダム(の存続)は、断固反対、撤去を

というものである。効率の悪い無駄なダムを撤去すれば、川の生態系はみるみるうちに回復し、川の持つ計り知れない恩恵を周辺に与える。だから、「川にもっと自由を」というのが一口スローガンであり、製作意図だろう。

 アメリカでも、日本でも、原発が稼働する前の4、50年前に「ダムの撤去」などと言い出せば、ダムの機能には電源開発のほか、水害に対する治水、農業かんがい・給水の利水などもあり、端から

 クレイジー(狂気の沙汰)と

思われただろう。しかし、アメリカでも、日本でも、1990年代からは、次第に

 無駄なダムの撤去は常識化

し始めている。1990年代の長野県知事の「脱ダム宣言」などでもわかるが、その後の曲折はあったものの、すくなくとも合理的な選択肢の一つとなり始めようとしている。

 ● 意識を変えさせる3要素

 映画で、もっともブログ子の興味と関心を引いたのは、このクレイジーから常識に、住民の意識を変化させるのに必要なものは何かという点だった。

 この点について、映画を見ながら拾ってみた。

 第一は、映画でもはっきりと述べていたが、川 (の再生) に情熱を持つこと。

 第二は、その情熱で (やればできるという) 自信を行動を通じて学び、持つこと。

 第三は、人々を行動に巻き込むために、行動では批判とともにユーモアをもたせること。ユーモアには人々を結束させる力がある。

 この映画のつくり自身が、このことを実践し、いたるところでユーモアを織り交ぜて、人々の意識を覚醒させようとしていた。

 このほか、よく言われる政治家、行政、企業を動かす政治力や、自ら資金集めをする力、組織をまとめる統率力も当然必要だろう。

 ● 天竜川水系には20基以上のダム

 この映画はアメリカの話なのだが、身近にも、暴れ天竜といわれた天竜川水系には、この7、80年間に、1950年代に完成した佐久間ダムをはじめ20基以上がさまざまな目的をもって建設された。

 しかし、今、佐久間ダムでは、堆砂/排砂問題が深刻化している。発電能力には影響はすくないものの、このままでは貯水量が減少し、上流の水害がふたたび懸念され始めている。こうした懸念は、最近の国の調査でも、全体の5割にも達している。

 佐久間ダムの場合、砂がダムでストップする裏返しとして、河口部の遠州灘の中田島砂丘では、逆に急速に砂丘が細ってしまう海岸浸食(海食)問題がこの10年、深刻化をたどっている。

 こうした問題に取り組む場合、市民、住民の関心をどのように高めるか、今回のドキュメンタリーはよい指針を与えてくれたように思う。

 ● 原発の廃炉問題でも

  最近の2015年1月11日付朝日新聞によると、

  老朽原発5基、廃炉 運転40年で関電、九電など4社が年度内決定へ

と報じている。基数だけで言えば、1割減。具体的には

 美浜1号機(関電、44年運転、34万kW、福井県)

  敦賀1号機(日本原電、44年運転、36万kW、福井県)

など。コストパフォーマンスが悪いということや、廃炉処理に伴う減価償却の会計仕組みを電力会社が受け入れやすいように改正したことも、主な理由だ。

 そんななか、日本一危険な原発といわれている100万kW超級の浜岡原発(3、4、5号機)が今後どうなるか、今まさに焦点となっている。この1、2年で、再稼働をめぐる大きな転機が訪れるだろう。

 はっきりいえることは、

 廃炉は、はなからクレージーの時代から、合理的な常識の時代を迎えようとしている

ということだ。

 この意識変化をより確実に醸成させるには、先の3条件は、指針として大変に役に立つ。 

 (写真下は、上映後のトーク会場で = 肴町公会堂、1月11日 補遺参照)

Imgp676620150111

 ● 補遺 トランジションタウン浜松

 このトークについては、

 「映画&トークイベント」(主催= トランジションタウン浜松)で以下のようなまとめがなされている(ダブルクリックで写真拡大ができる)。

 詳しくは、以下。

 http://www.tenryugawa.jp/shiru/event/tthama151111.php

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