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「音レンズ」って何 ? 反射、屈折、吸収

(2015.01.29) 先日の「水の大回転」に続いて、もうひとつ、最近のEテレ番組「大科学実験」を紹介してみたい。

 テーマは「音レンズ」。

 このタイトルを聞いて、最初は

 「 ン ? 」

と考えてしまった。光を集めるレンズならだれでも知っている。しかし、音のレンズって何 だろうというわけだ。

 ● 二酸化炭素入りの巨大風船で実験

 第一、音って集められるのだろうか。実は、理屈はともかく、光のレンズ同様、音は集められる。そのことをこの番組は見事に映像化していた。

 番組では、光のレンズにあたるものとして、直径240センチもの巨大なゴム風船を使う。それを音源と、音を聞き取る人間の間に浮かべる。浮かべるために、軽い二酸化炭素を風船のなかに注入していた。

 風船の後ろに多数の人間を碁盤の目のように配置する。

 それぞれの位置の人がどの程度の音量を感じたかが、目で見てわかるよう、届いた音量に比例して電灯が明るくなるようなランプ装置をそれぞれの人の頭に載っける。強い音量だと頭上ランプが明るく輝く。ほとんど聞こえないようだと、今にも消えそうな明るさになるというわけだ。

 これだけの準備をする。

 その上で、まず風船を浮かべない状態で、音を出す。これだと、後ろに行くほど音は拡散する。だから予想通り、後ろのほうほどランプは弱くなり、両脇でも弱くなる。

 今度は、音源と人の間のど真ん中に巨大風船を浮かべる。当然ながら、風船の真後ろのところは、風船が壁となってほとんど聞こえないと予想される。光がそうだからだ。

 が、実際の実験では、これがなんと、一番影になっている風船の真後ろに立った人の頭のランプが一番輝き、周辺がどうもそれより暗くなった。あたかも、音が風船から影のほうに回り込んで焦点を結び、音量が大きくなったような具合になる。

 これが、音のレンズ効果というわけだ。

 この実験は、ごく簡単なもので、中学1年生の理科の教科書「音の伝わり方」レベルだが、この番組の優れたところは、巨大風船を使ったこと。

 なぜ音にはレンズ効果があるのだろう。ブログ子もしばし考え込んでしまった。

 ● 音は風船の中で屈折

 理由はこうだ。

 ポイントは、音源から出た縦波の音波は、風船にあたって反射するだけでなく、風船ゴムを太鼓のようにたたいて、そして、風船の中の二酸化炭素の気体を振るわせる。それが風船内に伝わってまた、風船ゴムをわずかに震わせる。そして、風船の影になっている人の所に出てきて、今度は空気をふるわせる。

 つまり、風船は音の壁、遮へい板になっていない。ゴムで壁ができているので音が通過できて、再びゴム風船の外に音が出てくるのだ。

 それと、同時に風船内での音の伝わる向きが変わる屈折効果もある。つまり、光の場合同様、ゴム風船に音波が衝突した時、空気と二酸化炭素の比重の違いによる進行方向の変化が起きる。実験の場合、風船の外の空気と風船のなかの二酸化炭素という媒質の違い(や密度の違い)が、伝わる速度の違いとなり、屈折。この場合には、やや内向きに伝わるよう方向が変わる。

 だから、風船の真後ろこそ、一番音が集まりやすく、したがって大きい。すなわちランプが一番明るい。

 ● 現象を見える化する

 音は、やまびこのように反射する。だけでなく、ゴムにその力学的なエネルギーが吸収もされる。そのため、ゴムのような場合、そのエネルギーによって太鼓のように内部をたたき、気体の進行方向を変えながら伝わる。

 ゴムではなく、固いすりガラスのような球ガラスでも、原理は同じ。だが、軽くて薄く弾力性に富む素材のゴムのようには、ならないだろう。

 番組ではこの理屈について、ヒントは出しても意図的に解説していない。そこがこの考えさせる番組のいいところだが、この理由に気づくのに、20分くらいかかった。

 現象を見える化するという工夫がとても優れている番組だと思う。

 そして、ふと、光と同様、音にも

 音波が回り込む回折現象や、互いに打ち消しあう干渉

もあるのではないかと思った。高校で習ったようにも思うが、どうだろう。

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