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終末時計、人類滅亡まであと「3分」

(2015.01.23)  米科学誌が、いわゆる終末時計で、これまでより2分進めて、

 人類滅亡まであと「3分」

と発表、現在の国際情勢がより危機的な状況になっていることを警告した。これは、核戦争の脅威がつきまとっていた冷戦時代の1980年代の水準。

 時計を進めた根拠として、大量に温存されている核兵器のさらなる増大や現実味増す核テロの脅威、さらには気候変動に対する国際協力が遅々として進ず、その間、京都議定書の有効期限が切れ2020年まで仕切り直し状態にあるなど次のステップが宙に浮き漂流している事態などが挙げられている。

 I5mage2068_2 こんなニュースを聞いても、たいていの人は、大げさな、人類の滅亡なんて話は、まあ、ないだろう。お遊び程度に聞いておこう、というぐらいにしか思っていないだろう。

 ブログ子も、だいたいそんなところである。

 ● どうなる人類の100年後 歴史学から

 ところが、歴史学者、I.モリスの近著

 『人類5万年 文明の興亡 なぜ西洋が世界を支配しているのか』( 筑摩書房、2014、写真の左 )

を読んだ。そうしたら、人類の歴史を調べてみると、そこには予測を可能にするあるパターンがあると書かれていた。そのパターンから、人類の未来が予測できるというのだ( 注記 )。

  先日のこのブログで紹介した『偶然の科学』によると、歴史学など複雑系社会学などでは、一般には未来を予測することなどできない。ただし、例外として、複雑な対象においても、ある程度の予測はできる。

 その例外とは、複雑な非線形の出来事に何らかの安定したパターンがある場合である。

 モリス氏の著書では、そのパターンを発見したというのだから、あるいは予測ができることになる。

 どんな未来予測か。

 有機物からなる炭素ベースの知能から、半導体というシリコンベースの知能へ、2040年代には移行する。それは今から100年後の時点で振り返れば、(今はありえないと思うかもしれないが)不可避と見えるかもしれない

というものだ(同書352ページ)。さらに続いて、こうも書いている。要約すると、

 この2040年代の「人間とコンピューターの合体というのは、ホモ・サピエンスがその前のすべての類人猿と(氷河期が終わった今から数万年前に完全に)置き換わったように、今、人工知能と呼ぶものが、われわれホモ・サピエンスに完全に置き換わる前のほんの一時期の現象にすぎないのだろう。

 これは、つまり、100年後からみれば、2040年代の炭素脳からシリコン脳への完全な合体は、自明と映るだろうというのだ。これは、人種などというものがない「人類後」の単一の世界文明の姿であり、著者によると当然であり、また明白のようにみえるらしい。

 だから、この本のテーマ、今後も西洋支配は続くかどうかなどという21世紀初頭の関心事などは、いささかばかばかしいとみえるかもしれないと、この著者は締めくくっている。

 それこそ、いささか自嘲気味なのが気になるが、おもしろい分析ではある。

 おもしろい分析ついでに、その先はどうなるのかについて、生物学者からの未来予測を紹介しておきたい。

 ● 生物学者が描く人類の遠未来

  それは、二人の生物学者が描いた

 『the FUTURE is WILD』( ディクソン/アダムス、ダイヤモンド社、2004、写真の右 )

である。「本書に登場する生物はすべて、生物学と進化論の基本的原則にのっとっている」と強調している。だから、本当に現れる日がいずれ来るだろうとして、内容に自信を見せている。

  それによると(同書40ページ)、

  人類の時代の終わりは、現在から数千年後(から始まる)。地球全体が氷で覆われ、第5氷河期がピークを迎えて気温が一気に下がるとともに、(数万年後には)人類の時代は(完全に)幕を閉じる。

 その後には、大型の水生鳥類が登場する。地上は大型のげっぱ類が支配するという。1億年以上たつと、やがて

 空飛ぶ魚が空を支配し、大型タコが陸上をのし歩くらしい。

 だから、せめて、今から数千年後までは人類が絶滅しないよう、人知でなんと破滅防止に努力したい。また未来世代のためにも、そう祈りたい。そのあとは、もはや人知ではどうしようもないのだから、悪いが、私たちにとっては

 ケセラ、セラ

ということだろう。数千年後の未来については、その時の現生人類が決めることだ。

 私たちの当面の喫緊課題は、彼らが決めることができるよう

 今の、あと「3分」

を、とりあえずどう乗り切るかなのだ。

人類絶滅の3大要因は、核兵器による自業自得の破滅、地球温暖化の高進、約10万年周期で訪れる氷河期襲来。このうち、一番破滅に対するリスクの高いのは、短期的には自業自得の核兵器によるものであろう。

 ● 注記

 この本の原著の直訳タイトルは

 今、なぜ世界は西欧ルールに支配されているのか

というもの。サブタイトルは「歴史にみられる文化パターンと、そのパターンが人類の未来について語るもの」

という意味である。原著のほうが、その内容を的確に表現していると思う。

 この著作には、100年後に完成する炭素脳とシリコン脳の合体後について、そのあとはどうなるのかということまでは書かれていない。ブログ子の予想というか、想像では、ある意味不死身になる合体のメリットを生かし、ホモサピエンスは今以上に現実味をもって、地球環境に比較的に近い火星に移住するという決断をするのではないか。その実行は、確たる根拠はないが、有人火星移住計画の困難な技術的問題がクリアされる、これまた今から100年後であろう( 現在の米火星有人飛行計画の実現は2030年代)。 

  ● 補遺 『人類が消えた世界』

 絶滅ではないが、仮に現時点で突然人類が消えたら、文明はどうなるか。そんな想定について、ジャーナリストが専門家に取材してまとめたのが

 『人類が消えた日』(A.ワイズマン、早川書房、2008年)

である。「TIME」誌の2007年のベストノンフィクション賞を受賞した著作。わずか500年で文明は無残な野生の姿に戻る。1万5000年後には、ニューヨークは氷河に飲み込まれ、自由の女神も地上から姿を消す。

 かといって、人類が栄えた痕跡がすべてなくなるのかというと、そうではない。たとえば、そのままでは分解しにくいプラスチックが数十万年後もそのままの姿で存在しているという。これに比べると、鉄などはすぐに酸化し、ボロボロになり地中に埋もれてしまうだろう。

 この著作には書かれていないが、この原油からつくられたプラスチックを分解し、エネルギー源にする新生物が、現在の微生物のあるものから進化。それが人類にとって代わって地上で繁栄するかもしれない。

 核戦争や原発から出る放射性物質も半減期の長いものを中心に大部分は「人類後」の10万年後以降も残っていることは確実。こちらのほうは、生物に有害だろうから、今いる生き物から新たな(たとえば、ゴジラのような放射性の?)生物が進化してくるとは考えにくい。

 

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