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地方のこころ、中央の心 続「沖縄のこころ、日本の心」

(2014.11.02)  1カ月ほど前、このブログで

 沖縄のこころ、日本の心

というのを書いた。それほど反響があったわけではない。

 ● 沖縄、地方に対する差別意識

 ところが、沖縄県知事選挙の告示日(10月30日)の翌日、突然、新潟市に暮らしているという中年女性からメールが届いた。基地問題において沖縄が本土日本から差別されているという指摘に対し、それは何も沖縄だけではない。本土内でも、原発問題において、その建設をめぐり、中央の論理には明白な

 地方差別

が数十年にわたって続いていたと訴えていた。

 11_02_0 どうやらこの女性の地元で1970年代に持ち上がった

 巻原発(新潟県巻町)計画に対する是非論議

のことを言いたいのだということがわかった。賛成の町議会と反対住民の対立など当時の巻町を二分する是非論議は、1990年代に入って住民投票条例が成立。その結果、住民の総意は

 原発誘致反対

に決した。その後、計画した電力会社の用地買収も、いわゆる1坪地主住民の反対で失敗。これらが決め手となり、10年前、計画は白紙に戻った。

 その間、推進派の目先だけの経済的な利益と、大局的な安全優先の利益とがぶつかりあい、町を二分し、中央の論理に振り回され続けたという。

 その地元対立につけ入った中央の論理の底には、終始、

 根強い地方差別

があったと件の女性はいう。この女性の言葉をそのまま引用すると、福島原発事故の中間除染関連施設建設をめぐって、石原伸光環境大臣がつい漏らした本音、

 「最後は金目だ」というあの発言

に通じる差別意識である。

 ● 映画「渡されたバトン」と「東京原発」

 こうした訴えは、件の女性だけの感覚ではない。巻原発計画については

 「渡されたバトン さよなら原発」(池田博穂監督、脚本= ジェームス三木、2013年)

というドキュメンタリー映画が公開されているからだ。

 この映画の鋭いところは、ストーリーが原発賛成派=目先の利益派を中心に描かれている反原発映画だという点。利益派が、大局的な見地から次第に安全優先派に変わっていくその数十年にわたる過程を丁寧に描いている。自分たちの苦渋の選択は、若い世代という未来への貴重な遺産であるという意識が、下から目線ではっきりと描かれている。

 同じ反原発映画でも「東京原発」(山川元監督、役所広司主演、2004年)は、東京都知事が東京に原発を誘致しようという上から目線のパロディ、つまり反語的な映画。原発反対派の原発推進をテーマにした映画である。

 地方がいやなら、むしろ電力の大消費地、東京に誘致すれば送電コストの大幅カットにもつながり、大いに儲かるというわけだ。なにしろ、原発は推進派の言うように

 絶対に安全なのだから

という論理である。この映画の鋭いところは、儲かることがわかっていて、それでもなお、東京に原発を決してつくろうとはしない中央の論理とは何か。それを問う反語的映画になっている点である。

 そこには、原発の安全神話がウソであり、そのリスクを地方に押し付けようとする

 中央の地方に対する差別意識

がある。

 ● 地方創生論のまやかし

 基地は本土にはできるだけつくらず、沖縄だけに押し付ける。このことに反対する沖縄の人々が、

 同じ人間のいのち、みんな平等ではないか

という叫びが、どちらの映画にもある。

 基地問題をめぐる沖縄差別論も、原発問題をめぐる地方差別論も、実は構造は同じ、つまり身勝手な中央の論理に貫かれている。わかりやすく言えば、

 アメとムチの論理

である。

 件の女性は、

 だから、私たちは沖縄のことに無関心ではいられない

と訴えていた。沖縄同様、日本本土の地方も戦後、一貫して、アメとムチで差別されてきたからだろう。

 こう考えると、安倍政権は成長戦略の一環として、突然の如く地方創生を打ち上げている真意がみえてくる。

 中央主導の地方創生論はまやかしである

といえるだろう。

 いくら待っていても、ぼた餅は上の棚からは落ちてはこない。

 これこそ、当時の巻原発計画の闘いを知っているのであろう件の女性の言いたかったことだと思う( 下の注記参照 )。

 こうした観点から、地方に暮らすブログ子も、基地移設問題を最大の争点とする沖縄県知事選挙(11月16日投票)の結果に注目したい。

  ● 注記 2014年11月7日記

 では、どうすればいいのかという点について、ある読者から不満が寄せられた。

 これに対し、ブログ子は、たとえば

 「ローカリストの時代」という下のようなインタビュー記事

 を挙げておきたい( 2014年11月7日付朝日新聞 )。

 地方の再生は税金をばらまけばできるものではないという趣旨で、震災で壁新聞をつくった石巻日日新聞社長を取り上げている。社長は、地方を再生し、日本の姿をも変えていくには何が必要かと問われて

 「本当に必要なのは、その土地その土地で長く伝えられ、伝えていくべきことをきちっと整理し、磨き上げ、理解して未来につなげること」

とこたえている。それには野心を持ってそれをやりぬく覚悟のある若い人材と、仕組みが必要だと語っている。迂遠なようだが、地方再生の近道だと思う。

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コメント

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投稿: ugg online goedkoop | 2014年11月 5日 (水) 09時30分

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