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好奇心×面白さ×実用性= 科学技術の文化的な価値

(2014.11.16)  一カ月ほど前、この欄(10月13日付、「注記」参照)で

 もう一つのノーベル物理学賞

というタイトルでブログを書いた。

 ● 再論 もう一つのノーベル物理学賞

 そのブログの「追記」として、後日、ブログで取り上げた北里大学医学部教授の馬渕清資さんが、バナナの皮はなぜあんなによくすべるのかというところから着想を得て、患者が喜ぶ人工関節にたどりつき、今年のイグ・ノーベル物理学賞を受賞したことを書き足した。

 馬渕さんは、その過程をつぶさに考察し、その結果を先日の「視点・論点」(Eテレ)のなかで「科学技術と文化」と題し、話をしていた。

 ブログの追記では、このテレビ番組を途中から偶然拝見した。だから、ブログ子は「やや意味のとりにくい話だったが」と断って「追記」を進めた。

 このことについて、ある読者から、NHKのホームページ「解説委員室」というところに、そのときの話の全容を馬渕さん本人がまとめていると、わざわざメールで教えていただいた。

 早速、読んでみたが、結論、つまり言わんとしていたのが、やはり

 科学技術の文化的な価値とは、なんぞや

ということだったという点については、まちがいはなかった。

 ただ、このまとめを読んで、そこに至る論理がようやく理解できた。そして、日本人にとって重要なことを指摘していることに気づいた。

 ● 研究のための研究でいいか

 それを、ブログ子流に、わかりやすく数学の等式で表すと次のようになる。

 好奇心×面白さ×実用性= 科学技術の文化的な価値

というのが、馬渕さんの言いたかったことではなかったか。

 天文学などのように、不思議や神秘を知りたいという人間の本性から出る好奇心。

 そして医学などのように、役に立つものという社会側の求める強い実用性。

 その間をつなぐのは、

 一見別なもの同士を結びつけるなどの意外性という面白さ。

 この3点セットがそろったとき、科学技術の文化的な価値は最大になるというわけだ。

 研究が実用性一点張りでは、当然ながら文化的な価値はない。さりとて、好奇心とは無縁の無味乾燥な

 「研究のための研究」

では、これまた文化的な価値はない。

 3点セットのうち、ノーベル賞の選考は好奇心と実用性というより人間の本性に重きを置いて評価する。これは西欧式ともいえる。これに対し、イグ・ノーベル賞は、面白さと実用性という、より社会性を尊ぶ。米国式であり、いかにも発明王、エジソンの国らしい。

 しかし、いずれも、単に、実用性ということだけでは評価してはいない。この点では、これらの賞に共通性がある。

 ● 科学・技術は経済の道具か

 ところが、日本はどうか。

 科学や技術の文化的な側面については、日本人は明治期にそれらを手っ取り早く輸入にたよった。取り入れるかどうかの評価は実用性のみだった。そのため日本人は科学や技術を経済の道具としかみなかった。今もその伝統はまだまだ根強い。国民一般もそうだし、専門家もそれをほとんど疑わない。せいぜいが〝飾り〟にすぎないと思っている。

 この科学・技術には文化性などはないという日本人の心性は、科学の発祥の地、欧米の心性とは大きな違いである。

 ● 実用性を超えた何か

 馬渕さんは、この点について本来持つ文化的な側面を自らの受賞体験をもとに

 科学や技術には実用性を超えた何かがある

ということを喝破し、それをバナナという具体的な形で日本人に鋭く指摘したのだと思う。正鵠を射たというべきだろう。 

 ただ、惜しむらくは、そのことを、番組自身でもユーモアと笑いに包んで話を面白く展開してくれていたなら、大きな反響が期待できただろう。 

 ● 注記 もう一つのノーベル物理学賞

 http://lowell.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-c037.html 

 

 

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コメント

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投稿: ugg australia josette | 2014年11月17日 (月) 17時58分

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