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不思議なインタビュー ? どうした「毎日」

(2014.11.06)  文化の日、11月3日、何か文化的な香りのする記事はないかと、その日の朝刊各紙をめくっていたら、毎日新聞が文化の日特集として、

 村上春樹さん単独インタビュー(11月3日付朝刊)

を掲載していた。

 「孤絶」超え 理想主義へ

という大見出しがある(インタビュー構成は大井浩一)。団塊の世代のブログ子の一つ下で作家の村上氏(65歳)が今何を考えているのか、という点で貴重な記事だと思った。世界的にも高名な作家であり、またなかなかインタビューに応じない作家としても知られているので興味を持った。このブログでも、何回か、批判的に取り上げたこともあり、余計に気になったのかもしれない。

 ところが、大井浩一(肩書きは紙面にはないが、たぶん毎日新聞編集委員)氏が構成したこのインタビューの記事、不思議な記事であることに気づいた( 末尾に「重大な注記」 )

 単独取材なのだから、たいていはこれ見よがしにインタビュー時の写真を掲載する。しかし、紙面にはそれがない。あるのは、「村上春樹事務所提供の<ロンドンで8月>」という写真説明のもとに村上氏が一人ポツンと写っている、いわゆるポーズ写真1枚だけ。しかも、いつ、どこでインタビューしたのかというこの種の記事には必須の項目が紙面にはまったく含まれていない。

 ● 村上春樹に単独インタビューだが

 これでは、まさかとは思うが、そして失礼だとは思うが

 ほんとに単独インタビューしたのかな

という疑問がぬぐいきれない。

 編集委員がまとめたにしてはお粗末すぎるが、内容の論旨は、編集委員が構成しただけに、一応、首尾一貫している。

 それを短くまとめると、こうだ。

 春樹氏の世代(団塊世代)は

 「世界は良くなっていくはずだというある種の理想主義を持っていた」

 同世代のブログ子もこの認識にはまちがいはないと思う。その通り。

 「理想主義は人と人とをつなぐものですが、それ(他人と心を通わせること)に達するには、本当にギリギリのところで一人にならないと難しい」

 「(僕らが1960年代に持っていた)理想主義を、新しい形に変換して引き渡していくことも大事」

 「その作業はステートメントの言葉ではなかなか伝わりません。軸のない世界に、「仮説の軸」を提供していくのが、フィクションの役目だと信じています」

として、インタビューを結んでいる。

 このインタビューを構成したのは大井氏だが、インタビュー取材をしたのが大井氏かどうかは記事でははっきりしない。

 当然ながら、つい最近の話題としてインタビューのなかで話がおよんでいいはずの

 今年もノーベル文学賞〝落選〟

という話題にも、まったく一言も言及されていない。

 ただ、村上氏のこの考え方を最近小説化した孤絶の短編集

 『女のいない男たち』(2014年4月)

は、しっかり紹介されていた。確実なのは、この本が発行された2014年4月前後以降に、このインタビューが行なわれたということだけだ。ひょっとするとインタビューは半年も前というのも妙な話。

 そんなこんなで、この記事はとても不思議なのだ。

 この不思議さの裏に何があるのだろう。

 理想主義うんぬんとはほど遠い違和感がこのインタビューにはある。

  ● 重大な注記

 実は、この特集(8面)には、

 1面に本記

という案内がなかった。これがブログ子の無用の不審を招いた。というのは、1面の本記には、

 8面に特集

と案内があった。しかし、その8面には、本記が1面にあることを知らせていなかった。

 これが不思議な紙面だと、あらぬ疑いをかけられた原因。

 インタビューが載った11月3日付の東京朝刊1面には、大井浩一の署名の入りで、

 「東京都内で本紙(毎日新聞)の単独インタビューに応じ」とある。

 「本紙の取材に応じるのは2009年以来、5年ぶり。(8面に特集) 」

ともあり、写真も掲載されていた。

 ただ、その写真はカラーの顔写真にすぎず、インタビューしている現場写真ではない。クレジットは「村上春樹さん- 村上春樹事務所提供」。この記事は、まだなんか「変」。

  それはともかく、関連記事の表示に、もう一工夫を望みたい。

 なぜなら、読者は新聞を1面から順番に読むとは限らないからだ。

  

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