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リニア新幹線の収支 追記 

(2014.11.22)  以前、この欄で

 「リニア」は儲けなくていい 南海トラフ地震対策である

と書いた。詳しくは

 http://lowell.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/post-ff2d.html

をみてほしい。

 これに対し、たぶんJR東海関係者なのであろう、ある読者から、

 民間企業が自前でやる事業について儲けなくていい

などということはありえないと指摘された。たとえ、リニアが代替の大地震対策であったとしても、やるからには企業として、どう転んでも行き詰ることのないよう、きちんとソロバンを弾いている。JR東海はそれほど愚かではない、とお叱りを受けた。

 要するに、この読者は、JR東海のリニア計画の資金繰りや経常収支をきちんと点検してみなさいと言っているのである。

 ● 長期債務残高を5兆円以内に

 そこで、いろいろ調べてみたのだか、わざわざそうしなくても、最近の朝日新聞が11月14日付で

 建設がJR東海の経営に与える影響について、1枚のグラフにまとめていた( 写真 = 教えて ! リニア  )。

 JR東海の新幹線は、約40万人/日という超優良資産。現在の売上高はほとんどこの新幹線によるもので、年約2兆円。税引き前の経常利益では年にして約3000億円前後。

 記事によると、総事業費は30年間で約9兆円。これは1年当たりにして約3000億円の投資であり、経常利益との間でバランスをとっている。

 2010年当初の長期債務残高は約3兆円で、今後事業が始まっても、長期債務残高が5兆円をこえないよう経営計画を立案しているという。それでも、今後の30年間にわたる計画期間中の経常利益を常に年500億円以上は確保するとしている。

 唯一の経営的な不安材料は、今の新幹線が今後も安定的に売り上げを生み出すという前提がゆらぐこと。南海トラフ巨大地震により、屋台骨の新幹線が長期にわたるような大きな被害を受けた場合、リニア計画は頓挫する。

 これを回避するには、開業から50年の新幹線の巨大地震対策を万全なものにすることだろう。

 リニア計画と現在の新幹線の防災対策は実は、セットなのだ。

 JR東海が、リニアの本格建設をスタートさせたのと同時並行し、今年から新幹線の補修防災対策にも本腰を入れ始めたのもここに理由がある。

 そして、表立ってはいないが、万一に備えて、リニアを在来新幹線に切り替えることも計画段階で視野に入れるなどリニアと新幹線の相互乗り入れ対策にもJRの内部で検討されていることだろう。

 これが、JR東海のいうリニアと新幹線の相乗効果でさらなる飛躍を図るという考えの真意であり、狙いだろう。

 ● 新幹線の地震対策 = リニア成功の核心

 このように、JR東海のしたたかさは件の読者の指摘どおりだと思う。

 新幹線の利用者の安全確保が企業経営の命である。そうとするならば毎年、毎年、優良企業として巨額の税金を払うのもいいけれど、それだけではあまりに能がなさすぎる。リニアでさらに飛躍するという使命を果すには新幹線という今の屋台骨の安全対策にこそ金を注ぎ込むべきである。このことがJR東海のなによりの経営の核心であり、リニア成功の核心だということになる。

 つまり、経営が安定し、軌道に乗っているときこそ、それに安住せず、実は次の手を打つ好機なのだ。

 その意味で、今のJR東海にとって30年、9兆円は、ポケットマネーとまでは言わないが、〝安い買い物〟なのだ。

 11_21_020141114

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