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中学生の夏休み理科自由研究をのぞく

Imgp5592 (2014.09.25)   ボランティアをしている浜松科学館(浜松市)で、今、

 夏休み理科自由研究

の優秀作品をロビーで公開している。

 市内の学校から応募してきた児童・生徒の作品のなかから金賞、銀賞、銅賞の順にずらりと冊子本にして展示されている(写真上)。どんな中身の内容なのか、実際にページを開いてのぞいてみることができる。

 ● 浜松科学館で

 理系ではあるが、ブログ子などは、いいかげんな自由研究をしてきたというおおいがたい引け目がある。そこで最近の作品に関心を持ったのだが、驚くべき実力を発揮している作品が並んでいるのには、卒倒するほどに驚いた。

 Imgp5594 たとえば、金賞の作品

 鉱物結晶における多様性の研究 Part2

   オイラーの多面体定理は鉱物結晶に適用できるのか

という作品(写真中)。著者は浜松市立曳馬中学校3年、山田蓮君。

 Part2というのは、2年生のときのものをさらに発展させた研究という意味。その2年のときの最初の作品は、写真の右端に写っている。これはなんと、昨年平成25年度の

 野依科学奨励賞(国立科学博物館)受賞研究

なのだ。

 この最初の研究では、オイラーの多面体定理(「注記」参照)を手がかり、あるいはベースにしている。実際に山田君が野外で収集した鉱物の結晶を分類した結果、収集した黄鉄鉱の結晶については、まだまだ複雑な、つまりもっと多様なものが存在していても数学的にはおかしくないとの結論を引き出している。

 ● 7年間の観察と考察まとめる

 Imgp5598_2 この結論を確実にするために、さまざまな仮説を立て、それに基づいて多面体をつくり、多面体をいろいろな角度から切断し、定理と比較するなどの実験までしている。

 今年の作品は、それをさらに発展させている(写真下)。

  ここまで来ると、数学的な条件を満たしていて、自然界にそんな結晶がいろいろ存在していてもおかしくないのに、なぜか自然界には存在しない、あるいはほとんど存在しない場合、そこにはどういう物理条件や化学結合が結晶内に働いているから、そうなったのかという物性論的な議論ができることになろう。

 このように、この研究には、野外調査、実験室での観察、数学的な分類、仮説の設定、実験による仮説の検証という一連の発見的なアプローチが見事に展開されていた。

 逆に、そこから、ある鉱物の結晶について、まだ見つかっていないが、かならずこういう形の結晶がみつかるだろうという予見性も出てくる。

 この成果は7年間にわたる継続した観察や考察の結果まとめられたらしい。それにしても、いやはや、いまどきの中学生の理科力はすごい。

 こういう若い能力を伸ばすのはどうしたらいいか。つくづく考えてしまった。

 そんなことを思い知らされ、また考えさせられたロビー展示だった。

 (写真はいずれも、写真のダブルクリックで拡大できる)

 ● 注記 オイラーの多面体定理

 多面体とは、複数の頂点を結ぶ直線の辺と、その辺に囲まれた平面によって構成される(穴のない)立体。

 このように定義された多面体について、その頂点の数をX、面の数をY、辺の数をZとすると、その間には

 X +Y-Z = D-1   Dは次元(2次元空間なら2、3次元なら3、4次元なら4)

が成り立つ。今考えている結晶は三次元空間だから、D= 3、つまり、

 X +Y-Z = 2

となる。

 このようにX、Y、Zは気ままな自然数ではありえない。X、Yが決まれば、自動的にZは決まってしまう。

 さらにこの定理から一般的には、元素には周期律があるように、

 鉱物結晶にもX、Y、Zに関する一定の規則、つまり周期律がある

という仮説も成り立ちそうである。定理と自然界とのズレ、ギャップを研究するのも面白そうだ。つまり、数学的な周期律に対し、自然界には埋まらないギャップがあるのはなぜかという問題である。

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