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風力発電、普及さまたげる3つの誤解

Image900_1 (2014.08.04)  原発事故から3年半、太陽光など再生エネルギーの利用が盛んになってきてはいる。が、どうもそのなかの風力発電には、国の誘導策にもかかわらず、今ひとつ日本では人気がない。

 この10年、日本は世界の動向にひとり、大きく遅れだしている。

 何が原因か。そこには風力発電に対する根強い3つの誤解がある。そんな記事が7月26日付き朝日新聞の「be」別刷に載っていたので、補足して紹介したい。

 ● 風力はお天気任せか

 第一の誤解。「風力発電はお天気任せの不安定な電源」。

 これについては、数百キロのエリアに点在する数百基の風車を電力連係線で結んで、供給変動をならしさえすれば、天候による変動を小幅に抑えることができて安定電源になる。風力発電設置の少ない初期段階は別として、その後は集合化を図れば、あるいは日本でも始まろうとしているので、この指摘は今となっては誤解であり、あたらないというわけだ。

 また、需要予測システムを導入すれば、さらに効率的には送電、あるいは配電でき、停電などということはまず起きないという。

 こうすることで、ヨーロッパのように基幹的な「ベースロード電源」にすらなり得る。

 第二の誤解。

 「風力発電は、ほかの電源に比べて発電コストが高い」。

 いまや再処理、廃炉費用など後処理費用のかかる原発よりも、メガソーラーといった大規模施設なら風力の発電コストは安い。平均して1kWhあたり10円前後と、少なくともほかの電源に比べても同程度である。

 太陽光発電の発電コスト30.1-45.8円よりは、断然安い。

 ● 現状は総需要電力の0.4%程度

 第三の誤解。「狭い日本では陸上ではもう立地の場所は少ない」。

 これについては、風力発電の関係業界で組織する日本風力発電協会のこの6月にまとめた報告書データによると、

 現在(2013年末)の風力発電総(累積)導入量は2.7GW(ギガワット)。

  1GWは10億ワット。

 これに対し、2050年の総導入目標量は、現在の約30倍の75GW。

 このうちの約半分が陸上立地が可能というから、資源量としては、まだまだ導入余地があることになる。

  世界風力エネルギー会議の統計によると、世界全体では、

 現在、この10年を累積した総導入量は320GW。

 このうち90GWと中国が総導入量で第一位。第二位はアメリカ(60GW)、三位ドイツ(40GW)。これが御三家で、日本はなんと18位に過ぎない。

 これでは日本の風力発電の現状が総電力需要量の0.4%程度にすぎないというのも、無理はない。

 ● 勢い増す中国の導入量

 これに対し、中国が一気に導入に力を入れるなど、この10年、世界全体では年平均の成長率で約20%というものすごい勢い。いわゆる幾何級数的なカーブを描いて風力発電の総導入量が増えてきた。

 これに対し、日本の総導入量の成長率は0%。つまり、これは毎年、一定導入量しか総導入量が増加しないことを意味する。いわば等差級数的なゆるやかな直線カーブでしか増大しなかった。このカーブは、世界の趨勢から言えば、ほぼ横ばい状態といっていい。

 この原因は、日本の上のような3つの誤解によるものだと記事は分析している。

 ● 出遅れ日本、35年後に今の30倍目標

 記事では計算されていないが、2050年での総電力需要量の「20%以上」をまかなおうという上記の風力発電協会の目標(35年後に現在の30倍の総導入量達成)には、

 平均年率にして、今後日本は10%以上の成長率

が必要になる。これは現在の世界の平均成長率の約半分である。

 ● 先頭に立つ意気込みを

 ひるがえって考えると、以上のような日本の現状は、脱原発の受け皿として再生エネルギーに力を入れてきたこの10年の成果としては、いかにもさびしい。原発事故で日本は世界の再生エネルギー利用の先頭に立とうという意気込みはどこにいってしまったのか、いぶかしくもある。

 太陽光だけでなく、誘導のための買い取り価格の引き上げ検討など風力資源の活用を加速させたい。

 ( 写真は、浜岡原発の立地する遠州灘での風力発電の様子 )

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