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主観的な意思決定はどう決められるか

(2014.06.17)  たとえ利他的のようにみえた場合でも、人間はちゃっかり合理的な意思決定をしているものだというのが、経済学に限らず、世間一般の常識だろう。

 確率論などを駆使し期待値を弾き出し、その期待される効用を最大にするよう合理的に判断する。または判断するはずだ。

 Imgp4255jpg ブログ子も、確かにそう思っていた。

 ところが、実際には人間はそのような合理的な意思決定をしていないという。ズレている。そんな放送大学大学院「認知科学 意思決定と問題解決」番組(担当= 高野陽太郎東大大学院教授)を拝見して、ちょっとびっくりした。

 不確実性下の意思決定という認知科学の問題だが、その関心事は、ズレているとしたら、どのようにズレているのか。そのズレにはどのような法則があるのか、ということだろう。

 ● 利得局面では確実性重視

 結論を先に言ってしまえば、

 人間の意思決定は、

 数学的に完全な期待効用最大化の原理

のようなものではない。確率に対する人の反応はそのような線形ではなく、利得の場合の反応と、損失の場合の反応はまるで異なる

というものだ。

 これをより具体的に要約すれば、

 目の前の利得については、確実性を重視し、目の前の損失についてはリスクを犯してでもギャンブル性で意思決定する

というもの。利得では必要最低限の要求を満たす

 ほどほど満足化の原理

にしたがってなされているが、損失ではギャンブル性の高い選択するという。

 具体的には、プロスペクト(宝くじ)理論というのだそうだが、簡単に言えばこうだ。

 ● 損失局面ではギャンブル性

 Imgp4258 人は利得の伴う「肯定的フレーミング(枠組み)」では、

 客観的な意思決定ではどの場合でも同等の期待値であっても、ランダムに選ぶのではなく、できるだけリスクの小さい、より確実なケースだと思うような選択をする傾向

がある。これに対し、損失を伴う「否定的フレーミング」では、

 客観的な意思決定からは、どちらを選んでも期待値は同じなのだが、それでも、高いリスクを払ってでも、ひょっとするケースに期待して選択する心理的な傾向

がある。

 肯定的なフレーミングではほどほどで満足する「利得の確実性」に着目した決定をする人でも、否定的フレーミングではまったく逆の一挙損失解決に着目した不確実性の高い決定をする。

 人の確率論的な意思決定では、客観的な評価とは異なり、利得に対する意思決定のやり方と、損失に対する意思決定のそれとでは、線形関係にはない。同じ原理にもとづいていない。

 このことを、講義では、フレームミングという考え方を使って説明していたので、参考までにここに紹介しておく( 写真のダブルクリックで拡大 )。

 ● 意思決定の非線形性

  これらの図のポイントは、合理的な意思決定と人間の主観的な意思決定の関係は、原点を通るななめ45度の直線の関係にはならないということ。第二に、利得が肯定的、つまりプラスの場合と、否定的、つまりマイナスの場合とでは、曲線の形が著しく異なるということである。

 番組での説明の詳しいことは理解できなかったが、この図を見ると、いわれてみれば、その通りのような気がする。

 人間は、期待効用という単純な経済的合理性にもとづいては行動していない。そのことをうかがい知る番組だった。

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