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前後論法の錯覚 - ランダム現象の平均への回帰

(2014.06.17)  このブログのテーマ、常識を疑うという観点から拝見していると、放送大学がBS放送で今年から開講している

 Imgp4225_1_2 錯覚の科学

というのは、とてもわかりやすく、かつ面白い(写真上=  6月13日放送の放送大学BSテレビ画面より)。この日のテーマは、思考の錯覚の一つ、

 前後論法の誤り

について、対話形式で講義していた。

 ● 因果関係のない偶然性に注意

 前後論法というのは、以前は何々だったのが、あることをしたら、以後の状況が、別の何々に変化した場合、

 あることをしたことが、以後の状況を生み出した原因

という論法である。一見、日常生活でもよくある話でもっともらしい。が、ここには大きな誤り、つまり落とし穴がある。

 Imgp4224 それはどのような落とし穴か。

 その変化は、あることをしたこととは何の関係もない、ただの偶然に伴う統計的な

 平均への回帰(偶然のゆらぎ)

にすぎないかもしれないという可能性である。

 この論法が、偶然によるものではなく、正しいためには、

 ほどこしたあること以外に、変化の原因がない場合

で、かつ、

 あることをすれば、その変化が必ず起きる場合 

に限られる。

Imgp4221_2 右のフリップに示されているように、あることと同時発生の原因がある場合は、この論法は成立しない。

 一般に、ほかの原因として考えられるのは、

 行なったあることがあってもなくても、対象そのものが自然に変化する場合(何もしなくても変化する可能性)

 対象外に原因があるとしても、それがランダムな現象における偶然の変化に起因する場合(極端なケースの平均への確率論的な回帰現象。この場合には前後に因果関係は存在しない)

 さらには、

 そもそも変化するかしないかを調べている対象自体に、以前と以後という時間の経過とともに、欠落などの変化が生じている可能性がある場合

である( 写真 )。

 ● 対象自体の一部欠落も錯覚の原因

 最後のケースの事例としては、ダイエット効果が挙げられていた。

 Imgp4227 最初は、やせた人、太った人などいろいろな人が混じっているとしても、時間がたつにつれ、ダイエット効果があまりない人はやめてしまう。効果があると感じる人のみがダイエットを続ける。最後に効果テストをすれば、最初のうちは、効果有の人も、効果無の人も半々だったのが、効果なしの人が対象から外されていくので、次第に効果有の人の割合が増えていくようにみえる。

 こうなると、本当は何の効果もないのに、あたかも効果があったかのような錯覚に陥る。時間の経過の前後論法には、こうしたセレクション(選択)効果が働いたことによる錯覚が生じやすい。

 時間の経過に着目した前後論法の錯覚を避けるには、対象自体に欠落したケースが生じないよう、ダイエットをするグループと、しない対照グループとに分け、そのグループ間で効果の程度を比較することが必須。

 時間の経過で判断する前後論法は単純でわかりやすい。だが、その分、落とし穴がある、つまり錯覚が生じやすいことを忘れてはなるまい。

 この結論は、常識を疑う場合の必須の素養だろう。

 (写真は、いずれも放送大学同BSテレビ番組画面から)

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