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浜松の防潮堤見学記

Imgp3873_1_1_2 (2014.05.04)  大震災後の 2年前から、静岡県と浜松市で計画されていた遠州灘の防潮堤づくりが試験施工を終えた。来月から本格工事が始まるというので、この連休の中田島砂丘の凧揚げ合戦イベントにあわせ、出来上がったばかりの試験施工部分の見学に出かけた(写真上。左側が海)。

 ● 大幅な減災を目指して

 県の浜松土木事務所が手がけるもので、堤自身の構造など、詳しいことは最後の「補遺」で見てほしいが、大雑把に言うと、浜名湖今切口から天竜川河口までの全長約18キロ。堤の高さは海抜13メートルある。防潮堤は凧揚げ会場の海側(南側)を東西に走る。

 この堤の高さは、南海トラフ巨大地震の最大想定津波高(レベル2)にほぼ対応する。従来の単独での東海地震の場合の想定最大津波(レベル1)の約2倍。これにより、たとえレベル2の地震が「次」にやってきたとしても、宅地浸水面積を約7割減災できるらしい。3分の1に減る。その残りについても、2メートルをこえる深刻な家屋浸水のような被害は、ほとんどなくなるらしい。

 ● 結論的な感想

 ひとことでいえば、3・11の悪夢の津波被害は、浜松の場合、堤の海側、陸側に松林植栽も設けて、これでなんとか避けられるはずだという計画である。

 Imgp3867_1 通常なら工事は10年仕事なのだが、ことは急がなければならないというので、早期、つまり5年後の完成を目指しているという。

 見学した日の静かな遠州灘の海の様子を眺めながら、現地施工管理者(主任)の話を聞いた素直な感想を先に述べるとするならば、

 すくなくとも次に来る地震が単独の東海地震(レベル1)クラスならば、そして危険な浜岡原発による原発震災の被害をのぞけば、たとえ堤が地震で一部が崩壊したとしても、津波は浜松市南部に3・11のような大被害はもたらさないだろう

というものだった(写真左)。

ただ、気になるのは、堤の上からの写真でもわかるように、当然のことながら、これまでのように容易には、遠州灘の景観が見えにくくなることだ。景観に配慮して植栽をさらに行なうとすれば、ますます海の様子がみえにくくなる。

 ここだけに限らない大問題だが、海の見えない遠州浜にしない一層の工夫が、景観上だけでなく津波の安全対策上からも求められると思う。 

 ● 田老地区のコンクリート防潮堤との違い 現代の「版築」

 このような感想を持ったのは、かの有名な、そして今回の大震災で無残にも崩壊した田老地区(岩手県宮古市)の巨大コンクリート防潮堤(高さ約10メートル、長さ約3キロ)との違いを知ったからだ。

 一つは、堤の形を安定したすそ野の広い台形にしたこと

がある。その上に盛り土にして、景観に配慮するとともに、スロープの部分に防潮・防風の松林(黒松)植栽をほどこすことで、津波の勢いをそぐとともに堤の強度を増さしめている。

 Imgp3872_1 田老地区のようにコンクリート丸出しにはしない工法である。景観上のこともあるが、いなし工法とでもいうか、津波の勢いを分散させる工夫がある。

 もう一つは、田老地区のようなコンクリート流し込み工法(セメント+砂+骨材)に比べ、セメントに土砂れきを混ぜた、

 層ごとに突き固め、順次積み上げることで堤自身の強度を高める、いわば

 セメント〝版築〟

ともいうべきCSG工法がとられていること。高価なセメントをできるだけ効果的に使って経済的で、効果の高い工法にするらしい。

 この版築という強度を高める伝統的な工法は、現代でも新たな工法として評価が見直されているという。今後の建設で注目したい(右上写真= 堤上から、東の方向のたこ揚げ会場を望む。右側が遠州灘)

 ● 大丈夫か浜岡原発の垂直鋼鉄防潮「壁」

 正直な感想をもう一つ。

 あの頑丈そうな田老地区のコンクリ防潮堤が見るも無残に崩壊したのをみるにつけ、そして、今回のCSG工法を見るにつけ、中部電力が莫大な費用(約1400億円)をかけ短期工法を採用した、

 浜岡原発の防潮「壁」22メートルは大丈夫か

ということだ。形が台形ではなく垂直構造物。しかも、浜松の防潮堤の高さの約倍までそびえる。だから、壁の基礎を固い地盤によほど深く打ち込み、固定しないと巨大な津波の力に耐えられそうにないようにも思えるが、どうだろうか。

 津波に対して柔構造ではなく剛構造にするという発想には、田老地区のこともあり、設計に限界がありはしないか。壁が崩壊すれば、地震で原子炉の核暴走にもつながりかねないなど、ことは重大である。

 遠州灘の防潮堤を見学して、かえって浜岡原発の防潮「壁」に不安を覚えた。

 ● 補遺 防潮堤整備計画の概要(県配布資料)

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