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心にごちそうを  『コモン センス』

(2014.05.31)  キャッチコピー「心にごちそうを。」というのがよかったのだろう、びっくりするほどの賑わいだった

 「世界の書籍展」(アクトシティ浜松イベントホール)

に先日でかけた(  写真上 )。会場内の写真の撮影はできなかったのだが、メモを取ったりして、十分に楽しめた。

 ● 圧巻の『レ・ミゼラブル』

 Imgp4099_1 ビクトル・ユーゴの名言

 天空よりも壮大なる光景

 それは実に人の魂の内奥である

が書かれている

 『レ・ミゼラブル』(1890年)。

 百科事典かと思われるような堂々たる5巻本で、印刷では日本紙も使われたという。

 フランス革命後の19世紀、一切れのパンを盗んだがために投獄された主人公、ジャン・バルジャンの過酷で波乱に満ちた人生を描いたものだ。これほどまでもの大長編になったのには、天空よりも壮大なる光景を描きたかったユーゴの執念があったからだろう。

 ブログ子の目当ては、

 トマス・ペインの『COMMON SENSE(コモン センス』(1776年、初版本)

を実際に見てみたいというものだった。フィラデルフィア発行( 写真下= 同書籍展のポスターから(部分)。写真のダブルクリックで拡大 )

 イギリスの植民地だった当時のアメリカが独立することの正当性をわかりやすく訴えたものであり、アメリカ独立宣言(1776年7月4日)の土台となった政治思想書。

 独立するかどうかの判断は、植民地の民衆の固有の権利であり、その総意は本国イギリスの法制とは関係ないことを、直截な表現でわかりやすくに訴えている。

● アメリカ繁栄の土台築く

 4章からなる、わずか数十ページの小冊子であったのには、驚いた。大きさも現在の新書版を少し大きくしたくらい。装丁らしい装丁ではないのも印象的だった。

 Imgp4103_1_1 同じガラスケースの隣りに展示されていた

 『プラトン全集』(全1巻本、1534年)

の浩瀚で、勝手に本を開けられないよう「止め鍵」のようなものまで付いていた見事な本(表紙は木版に皮革装丁)とは、同じ思想書といっても雲泥の差である。

  どちらのほうが、後世に影響を与えたか。

 一概には言えないが、ブログ子には、現在のアメリカの科学・技術の姿をみるにつけ、ペインの偉大な書に軍配を上げたいと強く感じた。

  ● 補遺

 余談だが、書籍展では、1860年代の南北戦争のアトランタを舞台にした

 『GONE WITH the WIND(風とともに去りぬ)』(M.ミッチェル、1936年、初版本)

も出品されていた。生々しい奴隷描写が大きな波紋を呼んだ。1939年には映画化され、世界的なヒットとなった。

 ミッチェルは地元紙アトランタ・ジャーナルの記者だったが、この作品を書くきっかけとなったのは、足の骨折で一時寝たきりになったこと。読書好きの彼女は毎日のように小説を読んでいた。しかし、ある日、ふと夫にすすめられて、自分でも小説を書いてみようと決意したという。

 記者らしく、まず、結論や見出しを決め、短い原稿を書く。それを少しずつ積み上げて長編に仕上げたというエピソードが残っている。彼女にとっては、最初で最後の思いがけない不朽の大作となった。

 当初は、どの出版社も、奴隷描写があまりにリアルに書き込まれていることもあって、本を出すことに二の足を踏んだり、はっきりと拒んだようだ。だが、彼女はあきらめなかった。

 どうしても書きたいものがありさえすれば、こうした方法で生涯に少なくとも一作は、反響を呼ぶかどうかは別として、作品を残すことができることを見事に証明したともいえよう。

 そんなことを考えながら、会場の初版本に見入ったことを正直に書いておこう。

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