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「選択療養」は患者の利益につながるか

Imgp4041_120140518 (2014.05.20)  政府の規制改革会議が国民皆保険制度という国民の重大関心事に真っ向から立ち向かい

 選択療養制度

導入の是非について、導入の方向で来月にも答申をまとめようとしている。

 今年3月末、改革会議は

 選択療養制度(仮称)の創設について(論点整理)

をまとめた(注記1)。

 ● 結論的なまとめ

 現在の国民皆保険制度では、公的保険外の診療を併用した場合、保険診療分についても保険が効かない(混合診療の原則禁止)。これを緩和し、患者と医師が合意すれば、併用でき、ともに保険が効くよう選択制の導入の検討が、同会議で最終段階を迎えている。

 一見、選択を拡大すれば、患者の利益になるように考えがち。しかし、それは錯覚であり、とりわけ生計に余裕のない患者には保険料負担の増大など、不利益がより重くなるだろう。

 患者の利益にならないその理由の第一。都合のいいところだけを〝つまみ食い〟できる生計に余裕のある患者のみが利益を得ること。

 その第二の理由。新制度では、国民全体の医療費を増大させ、新制度を利用しないのに余力のない患者の保険料負担だけは増大する恐れがあること。

 つまり、富める者もそうではない患者も国民等しく利益を得るという皆保険制度の土台を掘り崩す。このためであろう、保険者3団体はこの新制度に、保険制度が崩壊しかねないとして反対を表明している。  

 その理由の第三。保険承認薬として有効性と安全性を確かめる、いわゆる治験(臨床試験)がないがしろにされること。つまり、今、製薬メーカー「ノバルティス」で問題になっているように、治験済みの承認薬を使っての危険で不正な「臨床研究」が横行する。製薬メーカーの手間隙かかる治験離れを加速させる。

 そもそも社会保障制度、とりわけ国民の健康に直結する基本政策は経済的規制緩和になじまない。

 こうした点もあり、日本医師会も今月5月に入って新制度の反対を表明している(注記2)。現行制度の問題点は、承認薬の審査のスピードアップでカバーできるとの見解であり、検討に値する考え方だ。

 余裕のない患者はもちろん、医師会も、診療報酬を支払う保険者も利益にならないとすると、だれが規制緩和の美名の下、この新制度で利益を得ることになるのか、明らかであろう。

 ● 製薬業界からみた医療現場

 こうした動きを受け、混合診療の現状と将来も含め、製薬業界あるいは医薬品流通業界、医療現場に詳しい講師を迎えて、先日、医療現場のあり方を考えるこじんまりとした勉強会が開かれた(写真上= 浜松市中区、佐鳴台協働センター。左端が講師の伊藤国夫氏)。

  患者の利益を中心に医療現場を考える「コ・メディカル」、医薬分業、混合診療について、業界の実態について、突っ込んだ討論となった。それらの議論は、

 聴診器とそろばんは同時に持ってはならない

という考え方など、社会保障全体にも通じる指摘であり、ブログ子にとってとても新鮮だった。

 今後焦点となる後期高齢者の医療制度についても、続編として今後、討論学習講演会を開くことになったが、期待したい。 

 ● 注記1 政府の規制改革会議の論点整理

  詳しくは

  http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/committee2/140327/item1-1.pdf

を参照してほしい。 

 ● 注記2

 詳しくは、日本医師会の反対意見

 http://dl.med.or.jp/dl-med/etc/kokumin/2014/20140514_2.pdf 

を参照してほしい。

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