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薬になる「クスリ」の話

(2014.04.18)  びっくりもしたが、やっぱりそうか、という記事が、最近の「週刊現代」(4月5日号)の大特集に掲載されている。

 Imgp3479_120140405病気はクスリでつくられる

 特効薬を販売したら、「うつ病」患者が2倍に急増 !

  あまつさえ、日本薬剤師会会長の

 「患者よ、クスリを捨てなさい」

にはびっくりした( 写真 )

 ブログ子も、もう10年以上、うつの気があるからだが、そして今もときどき思い出したように処方薬を飲むから、なおのこと驚いた。

 しかし、上のタイトルをはっきりと裏付ける数字として、大特集にはこんな具体的な数字が出ている。

 2000年に抗うつ薬の特効薬「パキシル」が発売された。そうすると、発売前の1999年までの日本では年平均43万人で、患者数が横ばいだったのが、発売3年後には70万人を突破。2005年にはなんと90年代の倍増の92万人に急増したというデータが示されている。

 なんのことはない特効薬ができると、患者は減るどころか、かえって急増する。そんな珍現象があちこちで起きているらしい。

 ● クスリは「毒」である

 うつ病のクスリに限らず、この特集で薬剤師会長が意を決して

 クスリは「毒」である

とあえて宣言している。必ず何がしかの副作用があるという意味だ。だから、むしろクスリは効かないものと心得よ、というのだ。それどころか、

 よく効くクスリは副作用のリスクも高い

というのが常識。病院、医院で処方するクスリは、このハイリスク薬なのだ。

 なのに日本人はとかく、病院で処方してもらうクスリはただ、処方されないとなんだか不安になり、

 クスリをください

と医師に要求したりする。こっけい至極というべき現象であろう。高齢化とともにクスリの副作用に対する抵抗力も弱くなり、ますます

 クスリは「毒」である

ということが真実味をおびる。件の会長はそう警告する。なのに高齢者ほど、クスリ信仰が根強い。こうなると日本のクスリ事情は異様としかいいようがない。

 酒、たばこの飲みすぎに注意する。とともに

 クスリの飲みすぎにも注意

すべきなのが、現代なのだ。

  ● 移行中の「包括払い」方式が背景

 ただ、注意すべきなのは、こうした発言には背景がある点だ。

 薬を売れば売るほど、それに連動して儲けも多くなるという

 医療費の出来高払い制

から、コストが売上高に連動しない

 包括払い制

に現在、移行中という事情である。この新しい方式では、病気ごとに、患者一人当たりの支払い上限が決められている。これだと、制限のない出来高払いに比べて、かなり医療費全体を抑制できる。医療機関にしても、むやみに薬を出しても、儲かるどころか、かえって損をするケースも出てくる。

 別の言い方をすれば、患者ごとに、無駄な薬は出さないなど、診療の効率化が求められることになる。これまでのような出来高払いでは必要のなかった経営の効率化も医療機関に求められるようになった。

 診療の効率化では、診療行為の標準化を図り、むやみに、あるいは好き勝手に薬を出さないなど、厚生労働省が音頭をとった改革も進んでいるらしい。

 このことが、薬剤師会会長の発言の真意なのだ。単に患者を思っての正義心からだけの発言ではないことに注意すべきである。同時に、日本人は薬好きという通弊を改める意識改革も患者側に求められていることを忘れてはならないだろう。

 それはさておき、病気は気から、そしてクスリからというのも本当だろう。副作用がある分、薬のほうがこわい。

 薬になる「クスリ」の話だった。

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