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4年目の「沈黙の春」 福島浜通りをゆく

Imgp3757_12ok_2 (2014.04.22)  事故をおこした福島第一原発の地元、双葉町出身の若者(はままつ・東北交流館、右下写真)が企画した原発震災被災地ツアーに先日、浜松市から参加した。

 福島県いわき市から、いわゆる「浜通り」といわれる国道6号線など海岸沿いの道をバスで北上、双葉町近く、第一原発が遠望できるところまで現地を見て回った。

 通行許可証明書や参加者の身分証明書の提示が求められる検問所を何箇所か通り抜けての念願の取材旅行となった。

 ● 結論的な感想

 1泊2日の取材だったが、ブログ子の結論的な感想を先に要約すれば、次のようになるだろう。

 4年目を迎えてもなお、放射能の線量が高く原則人の立入りが禁止されている「帰宅困難区域」や居住制限区域という沈黙の廃墟を見て、

 津波は去ったが、人間は原発とはとうてい共存などできない

のだということを痛感させられた。ここが阪神大震災との大きな違いだった。

 Imgp3604_16_2 とくに、このことを、居住制限区域の真ん中にあるJR常磐線「とみおか」駅前の海沿いの廃墟を拝見して、思い知らされた。

 東北の春の海は取材中、鏡のように静かな海面だった。だがしかし、明るい太陽のもとで感じたのは、静かな海の奥に人間にはあらがいがたい脅威がいつも隠されているという現実だった。

  地球温暖化という避けられない問題があるとしても、 日本のこれからのエネルギー問題の「解」は原子力ではあり得ない

 Imgp3593_1_2 これがブログ子の結論である。

 以下は、この結論に納得してもらうための現地ルポである。

 ● 楢葉町 荒地に除汚土、一時保管   

 いわき市から、事故をおこした原発から20キロ圏外の広野町に入ると、すでに帰還が始まり、国道沿いにある瀟洒なガラス張りの広野町役場も業務を再開していた。なのに、まことに住民の姿はまばら。ポツンと立っていたガソリンスタンドで、原発関連作業車が給油している姿を見たぐらいである。  

 いわき市に避難し、仮設住宅で暮らしていた人たちも、3年という年月の間に、半数以上がふるさと広野町に帰る気力を失っているという。

 北上して、20キロ圏内の楢葉町(避難指示解除準備区域)に入ると、殺風景な場所にコンビ二があるにはある。コンビ二の若い店員もいわき市から通勤しているらしい。利用しているのは

 第一原発作業関連専用バス

と書かれたバスの乗客がほとんど。一見、普通の路線バスのようにみえるが、そうではない。いわき市や広野町の道路沿いの簡易モーテル宿舎から作業要員を福島第二原発まで運ぶ(通勤)バスである。第二原発で防護服や線量計を身につけ、事故のあった第二原発に向かうという。

 いまだ除染中の楢葉町のバス内線量はおおむね0.1μSv/時

と比較的に線量は低い。年間許容量1mSv/年に対して、約半分くらいである。

 だが、楢葉町には、今問題になっている

 除染した放射能汚染土をつめた袋が大量に、荒地化してしまった田畑の真ん中に一時保管されている。それがツアー車窓の両側に延々と続いている(左上写真 )。

 福島県内の各地にあるこうした一時保管の仮置き場の汚染土をきちんと保管するための正式な国の

 中間貯蔵施設

については、中間保管した土などは30年以内に県外で最終処分するというのが国(環境省)の方針。2015年1月から施設に搬入開始を目指している。このため、環境省はこの3月に大熊町や双葉町両町に対し、建設の具体的な提案を示している。

  ● 今も廃墟のJR常磐線「とみおか」駅前

 常磐道を左に見ながら、さらに北上を続けると、楢葉町と富岡町の境界あたりにある福島第二原発前を通過する。富岡町はほとんどが居住制限区域であり、人は住めない。

 第二原発には排気塔はもともと3基あったのが、なぜか現地視察時には1塔しかなかった。

 Imgp3624_1jr 廃墟となったJR常磐線とみおか駅前の惨状にはおどろいた。ここは海の見える繁華街の中心。訪れたときの線量は

 0.5-0.6 μSv/時 ( 屋外 )

と、やはり高い。

 その一連の様子を写真で示すと以下の通り。

 一階がなく、ベランダの付いた二階だけが流されてきた家屋があった(写真下)。くしゃくしゃにつぶれた多数の車が折り重なったり山積みになったりもしていた。

  Imgp3637    

Imgp3644_1

Imgp3650_10386  

Imgp3654_3  

  震災で大きな津波被害にあいながらも、原発被害のなかった岩手県の三陸鉄道が震災から3年たったこの4月(2014年)、全線復旧開通を果たしたのとは、あまりにも対照的であった。

  そして、そこからさらに北上すると、いよいよ富岡町北部と第一原発のある大熊町。いずれも帰宅困難区域、入るには通行許可証(被災地元住民)と同行者の身分証明書の提示が求められる検問所(右下写真。その下はバス内での身分証明書照合の様子)

 この入り口付近では

 1.7-1.9μSv/時

と相当高い。年間にすると8mSv/年と常駐許容線量(約1mSv/年)の8倍。

 双葉町出身の件の案内者によると、

  これまでの最高は30μSv/時(第一原発に通じる入り口付近)

だったという。ツアー時の第一原発に通じる入り口付近では

 8μSv/時 (年間換算で約30mSv/年)

   環境省の基準では、20mSv/年以上は「帰還困難区域」であるから、大熊町や双葉町が今も帰還困難区域であるというのはうなづける。 

 ● 浪江町から第一原発を遠望

 今回のツアーでは、案内者の出身地で第一原発のある双葉町、たとえば、JR常磐線ふたば駅前の様子は検問所の関係で見学できなかった(左下の車は、第一原発の方向に向かう警備会社の車)。

 Imgp3698 そこで、いくつかの検問所を通り抜けて北から南の第一原発を遠望した。浪江町には荒れた田畑に10数頭の牛が放し飼いにされていた。

 遠くに太平洋が見える荒れた田畑の中には津波で運ばれてきた漁船があちこちに捨て置かれていた。がれきも大量に放置されていたが、ほとんどは漁具類であった。

 浪江町と双葉町の境界あたりからは事故をおこした福島第一原発の排気塔やクレーンなどの一部が遠望できた。

 風向きの関係か、持ち込んだ線量計では

 線量は0.1μSv/時

 近くに設置されていた線量モニタリングポストでも、同程度だった。

 双葉町側では津波の痕跡もなまなましく、3メートルくらいの高さまで到達いていたことが家屋の窓ガラスの横泥スジで確認できた。

 バスを降りて、双葉町出身の案内で双葉町について説明を聞いたが、まずは原発震災のこの現状を全国の人々に知ってもらうことが東北出身者のつとめであると強調していたのが印象に残った。

 感傷的な言い方かもしれないが、4年目になっても鳥の声ひとつ聞かなかった「沈黙の春」の浜通りを取材して、原発に未来を信じた自分の愚かさをしみじみと感じたことを正直に書いておきたい。

  ● 4月19日付福島民報から

 Imgp3655_1_2 ツアー中の4月19日付きの福島民報によると、

 政府が18日に発表した福島県内の

 年間被曝推計(帰還した場合)

では、林業が最も高く2.3mSv/年、次いで農業の1.9-1.2mSv/年。

 平均ではなく、生活パターンによってそれらも変わりえる。

 Imgp3674_1_2 この民報は、

 福島第一原発、凍土壁認可 結論持ち越し

   規制委 着工時期、混迷深まる

として、規制委が技術的手法に新たな指摘をしていることを伝えている。

 ● 福島民報「論説」から

 この日の民報「論説」は

 本県への誤解偏見

と題し、一部雑誌に掲載された「福島に蔓延する「タカリ体質」」という記事に対し、

 反論含めた情報発信を

と訴えている。執筆した論説委員は「タカリ体質」を示す具体的な資料は少なく、取材相手の「感想」あるいは推測にもとづいていると記事を批判している。内容の正否よりも見出しが「独り歩き」しがちだと懸念している。

 これを読んでジャーナリストとして強く感じたことは、

  やはり現場を踏むことの重要性

である。遠く離れた東京にいては原発震災のおそろしさや現状はわからない。

 現地に立って考え、ものをいう

 これこそが基本だということを改めて教えられた。

  このツアーについては、2014年5月14日付中日新聞に記事が出ている(写真をダブルクリックすると拡大)

 05_18_0_120140514

 また、以下に、第一原発が南に遠望できる浪江町と双葉町の境界付近(浪江町請戸地区)の被災の現況をいくつか紹介する(最下段写真は浪江町からみた福島第一原発遠望)。 

Imgp3710

Imgp3684_1jpg   

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投稿: pull hollister | 2014年5月 9日 (金) 19時34分

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