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余の辞書にもたった一つ不可能があった

(2014.01.29)  先日、大河ドラマの主役をつとめる岡田准一さんが案内者だというので、BS放送の「追跡者、ザ・プロファイラー」というのを見ていたら、

 ボナパルト・ナポレオン

について、紹介されていた。フランスの片田舎、コルシカ島出身のフランス語もうまく話せなかった青年の皇帝に上り詰めるまでの話かと思っていた。

 「余の辞書に不可能という文字はない」

というほんとかどうかわからない与太話などをながながと話し合うのだろうと思った。

 ところが、そうではなく、

 彼の晩年を狂わせたものは何だったのか

という点に焦点を当てていたのが面白かった。革命者として栄光を手に入れることのできた成功物語ではなく、上り詰めた頂点での挫折。その原因を探ろうという番組だった。

 フランス革命の果実をナポレオン民法典にまとめあげるなど、ヨーロッパ近代の創始者といわれるナポレオン。だが、その召し使いだったコンスタンツという人物の「回想録」によると、

 近くで見ても、驚くほどの英雄

だったらしい。わがままで仕事の虫。時間と仕事に追われていたワーカーホリック。風呂嫌いなフランス人には珍しく一日三回も入浴を楽しむときもあるほどの風呂好き。筆まめで手紙好き。戦場から妻へ書き送った2000通の恋文。などなど面白いエピソードがその映像とともに番組で紹介されていた。

 ● 自分にないもの求める弱さ

 そんなナポレオンが40代をすぎた晩年、なぜ挫折に次ぐ挫折を味わうことになるのか。

 結論を先に言うと、

 自分にないものを求めたこと

から始まったという。具体的には、落ちぶれ始めていたとはいえ旧体制のなかの旧体制であるハプスブルク家という名家を、そこの若い娘と再婚することにより、政治的に強力な後ろ盾として利用しようと図ったこと。

 これが、政治家、ナポレオンの晩年というか、人生最大の判断ミスとなる。旧体制の一掃を旗印にかかげた信念に、最後まで徹し切れなかった。そこからさまざまな内部分裂や亀裂を生み、広がり、転落が始まった。

 わが辞書にもたった一つ「不可能」という文字があったことを思い知ったことであろう。信念を最後まで貫き通すなんてことはとうていできないという不可能である。

 それは、強い信念と仕事の虫だったナポレオンといえども、

 どこかに自分にはないものを求めようとする人間らしい弱さ

を持っていたからだろう。

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