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新聞業界は軽減税率の軍門に下るのか

(2014.01.13)  新聞は、戦後ずっと再販売価格維持度の下で、取次ぎでも販売所でも駅売りでも発行元が決めた定価の維持を義務付ける「再販商品」として法的に保護されてきた。安売りはもちろん、夕方になると朝刊を半額セールにすることも独禁法が禁止している。読者が販売店を選ぶことのできない今の宅配制度と同様、もっともらしい理由をつけて業界は国に保護してもらっている。

 公正取引委員会も、こうした無体な例外規定に対し、新聞業界のあまりのわがままに苦りきってきた。

 が、今、戦後3度目の〝黒船〟が訪れようとしており、業界はてんやわんやなのだ。

 ● 受難の新聞業界 

 つまり、次の3つである。

 一度目は、速報に優れたネットニュースの普及(1990年代)。

 二度目は、地上デジタル放送の開始(2011年)

  三度目は、どの生活必需品を消費税の軽減税率対象に含めるか、今年年末の税制大綱までに政府は方針を決定する(2014年12月)

 速報に優れたネットニュースに押されて斜陽産業と言われてからでも10年。2011年から、テレビに毎日の番組表がついてくる地上デジタル放送が始まって、新聞業界ではますます凋落傾向が顕著になっている。テレビ・ラジオのいわゆる「ラテ」番組表めあてに定期購読していた家庭が新聞購読をやめ始めているのだ。

 生き残るためには新聞の役割は、多様で公正な評論の時代に入ったと叫ばれるようになった。しかしながら、主張する社説や自社コラムにしても、また社外からの寄稿論文にしても、中立、不偏不党というありもしない幻想に、あまりにとらわれて、いまもって縛られている。

 また報道も、この10年をみるかぎり、赤勝て白勝ての我関せずのよそよそしい見せかけの中立報道になってしまった。つまり、無難なように強いもの、権力側の論理がまかり通るようになってきた。見かけの公平性はあるが、悪平等に堕し、そこには問題解決の真の公正さが欠けているのがあいかわらず多い。

 新聞業界にいたこともあるブログ子だが、さすがにこれにはいやけがさし、定期購読をやめてしまった。だが、しかし、当然といえば当然なのだが、この4年、なんの不自由も感じていない。

 ● 新聞は果たして生活必需品か

 こうなってくると、新聞は、国民の知る権利の負託にこたえる文化特性を持っている。だから、ほかの商品にはない再販商品に指定されているのであり、当然、生活に欠かせない必需品である。したがって今回も軽減税率の対象に含めるべきだという新聞業界論理はもはや、当然のこととしてはなりたたないのではないか。

 Imgp2557_1 先日、「週刊現代」2014年1月4日11日合併号の

 「官々愕々」(古賀茂明=元経済産業省官僚)

で、

 軽減税率と「新聞」

について、論じていた。ブログ子と同趣旨であった。もはや新聞は国民の生活必需品ではない。古賀氏も強調して書いていたが、

 安倍政権が今年急ぐ、

 批判の強い集団的自衛権の解釈見直し、国民世論の支持の強い原発再稼動阻止、国民の大多数の反対を押し切って成立させた特定秘密保護法監視と廃止

などで特段の働きを果たすようなら、それは新聞が国民の生活必需品と言えることを証拠立てるものであり、軽減税率の対象の資格はあるだろう。

 その逆、つまり、解釈見直しの容認、再稼働の容認、監視と廃止の断念といった形で、

 軽減税率の軍門に下る

というなら、新聞は必需品ではないばかりか、不用品化するだろう。

 この10年のアメリカの激しい新聞社の身売り、倒産などの統廃合は、日本でも今後10年、国民の必需品か、それとも単なる商品かの基準で進行する。

 事実、東海地方でも原発再稼動をめぐる主張の違いから、読者の購読紙の変更が急速に進んでいることが、地元業界の深刻な話題となっている。

 このことは、国民の視点に立ったしっかりした評論や論説のない新聞は淘汰されていくということだ。いまや、共同通信社の論説資料を、何の考えもなしに行数調節だけして切り張り掲載しているような多くの地方紙は地元読者に見放され、早晩消えていくだろう。

 それだけではない。生活必需品かどうかでは、それに伴って宅配の土台ともなっている販売店が自由価格を導入すれば、これまでの秩序ある(つまり、競争なき)宅配制度といううるわしい制度も、音を立てて崩壊するだろう。系列化から、販売所自身が新聞社を選ぶ時代になる。

 つまり、

 2014年は、新聞業界の競争に対する体質改善の努力と、新聞人としての真価が同時に問われる最後のチャンス

といえる。

 その意味で消費増税問題には、新聞社にとって表には出せない隠されたテーマがある。

 そういう目で、この一年の業界の動きを注視していきたい。国政選挙はないが、政治と新聞をめぐる

 アクロバット的な駆け引きの1年

となるだろう。

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