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これではシャーロックホームズもお手上げ ?  - ケネディ暗殺事件

(2013.11.22)  「コールド・ケース」というのは、時効のない殺人事件を指すそうだが、先日、ケネディ(JFK)暗殺から50年にちなんでBS「世界のドキュメンタリー」で、

Imgp2010_1  cold case JFK

というのを放送していた(写真左= 同番組テレビ画面より)。

 一連のケネディものの番組のひとつである。

 ● 米公共放送が再検証

 アメリカの公共放送テレビ、WBGHが、最新の科学で再検証するというもので、単独犯行と結論付けた公式報告書「ウォーレン報告書」に、いわば死角はないのか、というドキュメンタリーである。

 たとえば、発射された弾丸の弾道の3Dレーザースキャンによる検証などである。

 結論を先に言ってしまえば、L.H.オズワルドの単独犯行をくつがえすに足る新事実は出てこなかった。むしろ単独犯行を裏付ける結果がほとんどだった。共犯者の存在など陰謀説は無理らしい。

 ただ、問題となった沿道の人々が聞いたという1、2秒間に「3発の発射音」というのも、このうち1発は周囲からの残響音ということらしい。実際の発射は2発。これなら、旧式銃でも可能という。こうなると、発射音問題も単独犯行説と矛盾はしないことになる。

 ● 現場の保存があまりにずさん

 ともかく、番組でも指摘されていたが、大統領の暗殺というビッグニュースで現場が混乱し、現場保存にまで思いが至らず、ずさん、お粗末になった。このことがきちんとした単独犯行説を、疑問の余地なく確立できなかった原因らしい。

 それと、一般人なら当然行なうべき証拠保存のための厳格な司法解剖が、この事件ではなんと行なわれていなかった点だ。

 海軍病院に運ばれたこともあり、そして被害者が最高司令官の大統領ということもあり、軍規に基づく行政解剖に付したらしい。一般人の暗殺なら、こうはならなかったはずだ。現場が混乱していた証拠である。

 というのも、そして、陰謀説が根強いのも、全面核戦争の危機、あるいは先制の核奇襲攻撃が現実味を持って論じられていた時期だったからだ。当時、つまり、暗殺のあった1963年11月というのが、まさに米ソ冷戦の真っ只中だったことも、混乱に拍車をかけたであろう。

 イギリスの名探偵、シャーロック・ホームズはどんな巧妙な難事件でも、綿密な科学捜査で見事に犯人にたどり着く。

 しかし、それも、殺人現場が保存されていればの話。

 番組を見て、これでは名探偵ホームズもお手上げだろうと思った。なのに警察はよくぞ犯人を捕まえたものだと感心した。

 ● 事実は小説よりも単純 ?

 ただ、その犯人を、ジャツクルビーという人物が、裁判など問答無用とばかり、警察署内で射殺するという事件までおきた。これはなんと言っても、警察の失態だ。

 それにしても、この50年、真相に迫ろうとさまざまな試みが行なわれてきたが、陰謀説を裏付ける決定的な、あるいは有力な証拠は出ていない。

 思うのだが、こういう大事件では、意外にも背景は単純なのかもしれない。

 事実は小説よりも単純

といえば、いえる。

 これが、ブログ子がテレビを見た感想である(別の見方については「補遺2」も参照してほしい)。

 ● 補遺

 日本でも、以下のような記事が最近出ている(月刊「文藝春秋」2013年12月号)。

 Image1941_2 ケネディ暗殺50年目の「真実」

 これは、記事にも断りがあるとおり、

 元ニューヨーク・タイムズ記者の

 『ケネディ暗殺/ウォーレン委員会/50年目の証言』(文藝春秋社)

からの抜粋。

 抜粋のタイトルには「真実」となっているが、もともとの本のタイトルでは「証言」となっているのがミソだろう。証言したこと自体は事実であっても、証言に真実が含まれているかどうかはまた別の話という点に注意。

 せいぜいが、この文春の抜粋記事は、悪いが、羊頭狗肉の「もうひとつの(untold)ケネディ暗殺史」といったところだろう。

  ● 補遺2 捜査資料の機密解除は2017年

 2013年11月22日付の中日新聞総合面「核心」によると、すでに公開されているもの以外のすべての未公開捜査資料は一千点を超えるという。ページ数にして5万ページにものぼる。

 暗殺から30年が過ぎようとしていた1992年の法律で、これらは2017年10月からはすべて公開される。ただし、解禁時の大統領の判断で、公表しない余地もこの法律は残しているという。

 このことから、この記事を書いた特派員記者は、公開されても、陰謀説など暗殺の真相をめぐる議論は決して終わらないだろうとの見方を紹介している。

 

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