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「ラムサール」の自覚 浜名湖探訪会

(2013.11.12)  環境保全活動など80以上の団体が加盟する「はまなこ環境ネットワーク」(芥川知孝代表)が中心になって、先日、

  Imgp1714 浜名湖ラムサールシンポ

が浜松市内で開かれた。

 浜名湖を、水鳥などの生物の生息地として国際的に重要な湿地とみなし、いわゆるラムサール条約に登録、持続可能な水環境として積極的に育てていこうという呼びかけである。

 呼びかけに先立って、湖になんらかのかかわりを持つ人たちや一般市民も参加して、浜名湖の問題点などを知る現地見学会も行なわれた。

 浜名湖に近い佐鳴湖のシジミ復活にかかわるブログ子としては、富士山の世界文化遺産登録に続く環境戦略として歓迎したい。

 ● 結論的なメモ - 湿地の復権と経済的価値

 ただし、見学会やシンポに参加した結論として、

 まず、条約の狙いを住民が十分自覚することがなにより大事であることを悟った。

 条約の狙いとは、要約すれば、水鳥などの生物の生息する湿地を潜在的な経済的価値と位置づけ、そうした持続する水環境を、どううまく人間社会への恩恵に結び付けていくか、知恵を出し合おうというものである。

 言ってみれば、とかく利用価値のない役立たずと言われがちな湿地の汚名返上、名誉挽回とも言うべき湿地の復権活動ともいえよう。

 また、この自覚と並んで、呼びかけの実現に向けては

 湖の保護、保全、再生だけでなく、条約にいう湿地の「潜在的な経済的価値」を目に見える恩恵、たとえば経済活動に結びつけるには、長期的な視野に立つこと、あるいは文化的な視点を持つことなど、それ相当の覚悟を住民側が固めること

が、不可欠であるとも悟った。

 この意味で、条約の基本理念、つまり、持続的な利用(= ワイズユース、賢明なる利用)において、条約所管の環境省だけでなく、国土交通省や経済産業省とも、いい関係をいかに賢く、巧妙に構築するか、このことが住民側に問われるだろうし、成功のポイントでもあろう。

 はっきり言えば、知恵を出そうという意欲が、利害関係者からも一般住民からも自然と湧きあがるような戦略づくりである。もっとはっきり言えば、イメージアップ策として

 国交省が喜びそうなワイズユースの「ラムサール」湿地づくり

 経産省が飛びつくようなワイズユースの「ラムサール」湿地づくり

ということになろう。こうした思い切った、そして新しい発想が要る。

 Imgp1725 これら自覚と覚悟を前提にした産業都市浜松の新「やらまいか」思考は、ほかの多くのラムサール活動に対して、大いなる刺激と新たな誇りを提供するだろう。

 浜松から、そして浜名湖から、ぜひ先鞭をつけたい。

 そこで、まず、浜名湖の問題点などを知ることになった現地見学会および感想を含めた意見交換会について、以下、少しルポ風に書いてみたい(シンポジウム内容については別項)。

 ● 水鳥の生息が重要

  ラムサール条約は、特に水鳥の生息を強調していることから、見学会は浜名湖北部の細江湖から始まった。双眼鏡でのぞくと

 カルガモなどのカモ類などの水鳥がこの季節観察された。このほか、ホシハジロ、キンクロハジロなどの野鳥が多いという。希少種(絶滅危惧種)では

 コアジサシ、ハヤブサ、ハマシギ

などが生息しているらしい。

 ここでは、浜名湖産の大粒カキが養殖杭に吊るされていた。南岸から最近漁協によって移動させられてきたものである。湖の季節変化に合わせたワイズユースの一例であろう。また、カキを吊るす杭に野鳥が羽根を休めている様子はいかにも風情がある。

 ● 地産地消のメガソーラーを生かす

 そのあと、浜松市西区の浜名湖岸に近い浜名湖太陽光発電所(いわゆるメガソーラー)を見学した。日本トップクラスの日照時間を活用した再生エネルギーであり、特に冬場の晴天日数が大きいという浜松の特長を生かしている。

 この再生エネルギーと浜名湖とを結びつけたワイズユースは考えられないか、そんな感想を持った。すべての電力を中部電力に買い取ってもらう今のやりかたは、いかにももったいない。浜名湖への直接還元を考える発想がほしい。今後の課題だろう。

 浜松市は、メガソーラーなどの再生可能エネルギー活用で官民一体の将来ビジョン、

 スマートシティ・浜松

を事業本部を設置して、今推進している。エネルギーを無駄なく賢く利用する〝地産地消〟だが、地消の面で浜名湖の大きな可能性を視野に入れたい。

 湿地のワイズユースと再生エネルギーの地産地消とは決して相反するものではない。

 ● ワイズユースのシジミ採りとアマモ活用

 水草のアマモを遊休農地で循環活用実験をしている村櫛町の現場も訪れた。まだまだ小規模だが、そして実験段階だが、ダイコン、ニンジン、ジャガイモなどが植えられていた。

 窒素、リン、有機物の系外排出など、湖の過剰な富栄養化を防ぐという意味で、ワイズユースの典型例は、汽水域では、経済価値のある

 シジミ採り

である。だが、アマモもかつては、こうした重要農業肥料という経済価値のあるワイズユースだった。化学肥料がほとんどを占める現代のアマモ活用は、新「やらまいか」思考の先端事例として、腕の見せ所だろう。

 最後は、弁天島のいかり瀬。

 Imgp1712 干潮時に渡し舟で上陸したが、この無人島の干潟は、潮干狩りだけでなく、浮遊するアサリの幼生をつなぎとめ、自然育成するアマモの群生地として知られる。ところが、去年、今年とアマモが大量に枯死したことと、アサリ漁業がいずれの年にも大幅に不振だったこととは、関係があるのではないかとの浜名漁協の説明は不気味だった。

 そこで、県外の知見も取り入れて、アマモの代わりに、幼生が取り付きやすいように小石をネットにたくさん入れ、砂地にうずめる再生の試みもなされていた( 写真= 弁天島の砂地 )。

 こうした現場からの自発的な取り組みは、ワイズユースのきわめて重要な要素だろう。

 太陽光を浴びて酸素を湖に提供する光合成のアマモは、1年生と多年生があるが、それらが同時に見られるのは浜名湖だけだという。

 Imgp1734 アマモは、水底で浜名湖を支える貴重な植物である。このことを、無人島で認識した。自立型の湖づくり、そこに生息する生き物が持続できる水環境づくりが、呼びかけに具体的にこたえていくためには重要であろう。

 現地見学会のあと、参加者による感想や意見交換会も行なわれた( 写真右=  浜松駅近くのプレスタワー。立って話をしているのは、はまなこ環境ネットワーク事務局長の山内秀彦氏 )。

 (上記写真のうち、2番目の写真に写っているのは、左端= ネットワーク代表の芥川知孝氏、中= NPO法人地域生物資源研究所理事長の久保靖氏、右= 認定NPO法人自然再生センター専務理事=島根大汽水域研究センター教授の國井秀伸氏 )

 ● 浜名湖の夕景

 以下は、見学会でのスナップ写真( 上= 夜間を除けば一般家庭約1000世帯の電力を賄える出力の浜松メガソーラー(浜松市西区)、中= 渡し舟が走る浜名湖夕景(干潮時)、下= 身のしまった浜名湖産の大粒なカキ  )

Imgp1633_2 

 Imgp1675  Imgp1786 

      (写真は、いずれもダブルクリックで拡大できる) 

 ● 補遺

 このシンポジウムや現地見学会についての報告は、主催者のHP、

 はまなこ環境ネットワーク=

  http://kankyo.hamazo.tv/e4929537.html

に写真付で掲載されている。このブログとあわせて読むと、面白いだろう。

 

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