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「ラムサール」の覚悟 浜名湖シンポ

(2013.11.12)  前回のブログ、ラムサールの自覚、に続いて、今回は、先日、浜松市内で開かれた

 Imgp1785_2 浜名湖「ラムサール」シンポ( 写真上= 浜松アクトシティ、11月10日 )

について、書いてみたい。前回で、

 結論論的なメモ- 湿地の復権と新しい経済的価値

を書いておいたので、今回は、このメモの観点から、シンポの内容に具体的に言及してみたい。

 國井秀伸氏(認定NPO法人自然再生センター)は基調講演で、2005年にラムサール条約湿地に異例のスピードで登録された宍道湖・中海に関する経過報告と、登録後の中海の再生の現状や問題点について、当事者の一人として当時の事情を語ったのは、貴重だった。

 10年前に施行された自然再生推進法に基づく協議会づくり、あるいは長期にわたる全体構想と当面5年程度を目途とした事業実施計画づくりなど、浜名湖の場合にも、大いに参考になる。さらには、民間活力を取り入れた自然再生センターのあり方などは、先進事例として大いに学びたい。

 ● 何時の時点に回復、再生させるのか、あいまい

  Imgp1776_2 ただ、注意すべきことは、

 そもそも自然再生とは何を意味するのか

という点の詰めた議論である。

 この点について、國井氏( 写真左 )は、生物多様性国家戦略の観点から

 過去に失われた自然を積極的に取り戻すことを通じて

 生態系の健全性

を回復することであり、再生事業はその回復を直接の目的としている取り組みであるとして自然再生推進法の意義を説いている。

 Imgp1778 一見もっともなような気がする。だが、問題は、この場合の「過去に失われた」という場合の過去とはいつの時点を指すのかが、研究者や研究分野の間でもずいぶんとあいまいな点だ。

 生態学的な意味の数十年前のことなのか、それよりもさらにさかのぼった自然地理学的な過去なのか。これによって、自然再生の事業は大きく異なるし、似ても似つかない再生が図られる可能性がある。

 今後、具体的な事例や歴史的な文献などに基づく多角的に詰めた議論が必要ではないか。

 ● ヨシは水浄化や環境保全にいいか

 たとえば、ヘドロの除去など環境再生における

 ヨシ植栽の是非

はその分かりやすい事例だろう。國井氏は専門の植物生態学的な観点から

 手入れをしっかりすれば、基本的にヨシは環境保全に良い

という立場。

 しかし、自然地理学の専門家からは、さらに時間をさかのぼれば、そもそも水辺にヨシなどはなかったというヨシ=環境善玉説に異論も出ている。そもそもヨシは陸生植物というわけだ。

 ● 宍道湖・中海の異例のスピード登録

 國井氏の講演で次に興味深かったのは、異例のスピードで、宍道湖と中海のラムサール登録が実現したこと。

 Imgp1751_2 基調講演によると、2003年7月に島根県知事が両湖をラムサール条約の登録湿地にしたいと表明。干拓事業や淡水化事業の中止といった国の政策の転換など、さまざまな困難があったにもかかわらず、そのわずか2年後の2005年11月には登録湿地に登録され、賢明なる利用(ワイズユース)に動き出している。

 教訓的だが、何事かをなさんとする場合、困難なこと、できないと思われるところからまず、手をつける。これが意欲を早く成功に結びつけるポイントのような気がする。

 2年で寄せきった宍道湖・中海の成功はこれであろう。一番の困難をこえれば、ほかのことは不思議とすぐに解決策が出てくるものである。 これに対し、よくあることだが、

 困難を見越し

 「とりあえず、できるところからはじめよう」

と安易に事を先延ばししていると、いつまでたっても高いハードルは乗越えられない。そのうち周りも意欲をなくする。こうなると、時間と労力だけが消費される失敗の典型だろう。2年くらいのサイクルで中央省庁の課長は異動する。だから、もたもたしていると、また最初から新任課長に向かって説得のやり直しということになりかねない。

 人の意欲の持続には限界があることを忘れるべきではない。また、中央省庁の課長の異動は2年程度であるということを考慮することも成功に導く大事なポイントだろう。

 ひとことで言えば、一定の目処が立ったら、困難な問題から戦略的に取り付く覚悟が要る

ということだろうか。

  以下の写真= 光を浴びて酸素を出す水中のアマモ= シンポジウム会場の展示

 Imgp1771_2

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