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狭い国土の「リニア」、数学的な発想とは

Image1917_2 (2013.11.01)  先日、9月23日付のこのブログで

 リニア新幹線は儲けなくてもいい、南海トラフ地震対策である

と書いた。ぜひ早く建設するべきだと書いた。これを読んだ、ある大学の数学関係者から

 科学ジャーナリズムの視点からは、そうかもしれないが、

 数学的な視点からは

 狭い国土をできるだけ広く利用するには、建設しないほうが合理的だ

との指摘を受け、びっくりした。

 リニア中央新幹線が数学的な視点と何の関係があるのか、最初は分からなかった。

 でも、よくよく説明を聞いたら、なるほどと感心した。

 普通は、

 狭い国土をできるだけ広く利用するには、速い電車や車をつくればいい

と考える。狭い国土とはいえ、日数がかかり、これまで行きたくてもなかなか行けないところえも、速い乗り物なら、たとえばリニア新幹線なら日帰りでいけるようになるからだ。

 件の数学者の指摘は、この常識に一見、反する。

 ● 時間的な「距離」

 「2点間を電車で移動するあらゆる経路の中で最小の時間」をその経路の「距離」とみなすとする。つまり、このときの距離というのは、地理的な距離ではなく、その2点間を移動するのにかかる時間的な隔たりの意味。

 これだと、リニア新幹線の速度を半分に落とすと、距離、つまり時間的な距離は、当然、2倍になる。すると、国土の〝時間的な〟面積は4倍と、グンと広くなるというのだ。

 理屈である。

 こんな考え方は屁理屈ではないかと最初は思った。

 しかし、この発想は、数学者出身の世界的な経済学者、宇野弘文氏の発想らしい。数学的にも合理的らしい。数学的に合理的であるだけでなく、速度が遅くなれば途中下車が必要になり、途中の街は栄えたりもする。つまり、速い乗り物では途中の国土が有効に活用できなくなり、国土が狭くなるというわけだ。

 今の東海道新幹線よりも倍近い速さのリニア新幹線ができると、東京-名古屋間の時間的な距離は今の半分になる。これでは、確かに心理的な国土の広さはますます狭くなる。

 この数学的な逆転の発想、言葉の遊びではないという。

 教えてもらったのだが、この件の数学的にみた少し詳しいことは

 2009年4月14日付朝日新聞朝刊「科学」欄の

 小島寛之の「数学カフェ」 「距離」を変えれば国土広く

に解説されている( 写真 )。この見出しは、

 「距離」を、時間的な距離という意味に、変えれば国土は広くなる

という意味だろう。

 こんなことまで教えてくれた読者というのは、ありがたい存在である。

 ● 蛇足

 宇宙の大きさは、光の速さで移動しても、端から端まで移動するのに137億光年かかる。もし、仮に光の速さが秒速30万キロの半分になったとすると、その世界では宇宙の広さは、今の倍の274億光年と大きくなる。

 光の速さで移動する光速リニアがあれば、端から端まで行くのに現行では137億年かかるのに対し、光速半分の世界では、274億年もかかる。光速半分の宇宙では、地球人も含めてすべての宇宙人は、今の感覚より、宇宙はなんて広いのだろうと感ずるだろう。本当はどちらも同じ大きさなのに。

 同様に、光速が今より、1000倍も速い世界では(光速=秒速3億キロ)、宇宙の大きさは、1370万光年になり、なんとも狭いと感じるだろう。こんな狭い宇宙になんといろいろな天文現象があるのだろうと感ずる。本当は、つまり、地理的な距離で言えば、今の広い宇宙と同じ大きさなのに。

 そしてまた、宇宙が誕生した1370万年前といえば、人類がサルから進化し始めたころにあたる。心理的な進化時間の流れが、今の一瞬にすぎない人類進化に要する時間に比べて、ものすごくゆっくりしていると感じる。時間の〝解像度〟が悪いからだろう。

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