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続 ヒトの直立2足歩行の失敗説 陸に上がるシャチ

Imgp1575_1 (2013.11.08)  先日11月4日付のこのブログで、文化の日にちなみ、

 ヒト500万年の進化において、アフリカの樹上生活からサバンナに降り立ったヒトの祖先がその後、重力に逆らって直立歩行をはじめたのは、手が自由になった点ではよかったのだが、そのほかでは結局、失敗だったと書いた。直立歩行に伴う体内の構造の設計変更につぐ変更によって

 後戻りのできない行き詰まった進化

となってしまい、今の現生人類はいずれ絶滅の運命にある

ということを、動物解剖学者の研究とともに紹介した。ヒトが体が出来上がる前に主体的に環境に働きかけ、生き残ろうとしたのだが、それに見合う肉体などの体制が結果的にうまく変更できなかったというわけだ。

 そのとき、ヒトが、食料獲得の関係で止むに止まれず、重力に逆らって主体的に立ち上がる選択をするというのは、ほかの生物でも、いろいろとあるのではないか

とまで、ブログ子は予測しておいた。

 ● 南米パタゴニアの恐るべきシャチ

 ところが、先日、このブログを読んだある読者から、その実例として

 アルゼンチンのパタゴニアという厳しい環境に生きる

 シャチは、陸上に乗り上げて、海岸のアシカの子ども襲うらしい

という情報をいただいた。

 イルカと同様、知能が高いとはいえ、また、いくら捕食に窮しているとはいえ、哺乳動物として海に生息するシャチが海岸の砂浜にまで乗り上げて狩りをするというのは、無茶。シャチ自身にとっても失敗すれば海に戻れず死ぬわけだから、あるとしても世界でも極めて珍しいだろう。

 ちょっと信じられないので、詳しく話を聞いたところ、なんと、NHKBSプレミアムで、

 海のハンター、シャチ、陸に上がる

というのを放送していたというのだ。これを見て、びっくりした(11月6日「ワイルドライフ」放送、写真= 同番組画面より)。場所は南米アルゼンチンの南部、パタゴニアのバルデス半島の先端の海岸。詳しく言えば、そこのプンタノルテ海岸である。この狩りの光景が見られる季節は3月から5月くらいまでらしい。

 Imgp1614_1 砂浜に乗り上げた後、確実に海に戻れる条件として比較的に海岸が急斜面である場所を選んでいること、獲物にできるだけ近づくために満潮時の入り江を選んでいること、攻撃を素早く行なうために海岸に強く波が打ち寄せる季節を選んでいること-などなど、極めて高度な作戦計画を立てているらしいことがわかる。

 しかも、家族、あるいは10数頭の集団で行なうこと、それも脅かし役、囲い込み役、しとめ役など役割分担もしているらしいことまで分かってきたという。

 さらに、群れの中で、狩りの仕方やコツを実戦さながらに親から子へ現場で具体的に教えているらしい映像も最後に紹介されていた。つまり、狩りの文化がある。

 種は変わるべきときが来たら、一斉に変わる

という主体性の進化論である。

 こうなると、人間がやむを得ず自ら重力に逆らって、アフリカのサバンナで立ち上がったように、

 シャチも、海岸に乗り入れるという選択

としたということがもっともらしく思えてくる。

 やがて、この選択により、厳しい自然のパタゴニアのシャチは、その体内の内部構造の設計変更を繰り返し、ついには、気まぐれな突然変異が親から子に遺伝するなどという悠長なダーウィン的な進化を飛び越え、

 いわば定向的に、

内部構造を変化させるよう進化するのかもしれない。生きるために主体的に陸上でも生活できるほ乳類になる。

 ● 多重フィードバックの仕組み

 そのための定向的な進化のメカニズムは、生殖細胞内のDNAの中の、遺伝子とは別のジャンクと呼ばれる

 調整塩基配列

が担っているのではないか。この塩基配列は限られた遺伝子を、設計変更に向けて、さまざまに組み合わせる働きを担っているように、ブログ子は想像する。

 設計変更による定向進化は具体的にはどういうメカニズムか。

 たとえば、生殖細胞内での

 多重フィードバック

により、次第に収斂する(この遺伝子と調節配列がどのように多重的にフィードバックして、設計変更するのかについては、『逆システム学』(児玉龍彦ほか著。岩波新書、2004年)に詳しい。たとえば第2章第3節)。

 ● 主体性の進化論

 これが、今西錦司氏のいう

 方向性をもった突然変異の正体

ではないかと思う。つまり、調整配列の働きで、ランダムな突然変異がいくつか結合し、システム化され、その結果、方向性のある設計変更が起こると考えればいい。

 設計変更の向うべき方向というのは、進化論で普通いうような自然選択などというあいまいなものではなく、生物自身の判断、つまりは主体性できまる。

 これは、種は変化する。その方向は種の環境である自然が選択、決定するという考え方と真っ向から対立する。都合のいい突然変異が起こるのをのんびり待っていては、種は変化する前に絶滅する。

 ブログ子は思う。

 生物種は、自然環境に鼻面を引きずり回されっぱなしではない。変わるべきときが来たら、かつてヒトの先祖がそうであったように、そして、パタゴニアのシャチがそうであるように、一斉にその内部構造が変わる。

 これは環境が変われば元に戻るような順応機能ではなく、後戻りのできない遺伝子レベルの変化である点に注意すべきである。

 そのメカニズムは、たとえば、生殖細胞内で起こる一定方向に向けた

 多重フィードバック

であろう。

 仮説として、提案したい。

 (写真下は、親子3匹のシャチが連携して、海岸砂浜のアシカの子どもを襲う様子。11月6日放送のBSプレミアム「ワイルドライフ」テレビ面より)

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