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1+2+3+4+5+ = - 1/12 !

(2013.11.08) たいていの人は、 

 1+2+3+4+5+ = -1/12

という驚異的な公式が成り立つと言ったら、

 Image1923_3 そんなバカなことがあるはずはない、と笑うだろう。自信をもって、そんな公式は間違いと断定する。自然数を全部足したら、マイナスになる、ましてや分数になるはずがないと思うのが常識。

 ところが、この公式は、発見者の大数学者の名前を冠して

 オイラーの公式

と呼ばれているというのだから、たいていの人は何がなんだかわからなくなる。現代数学で厳密に正しいことが証明されているのだ。

 そういわれても、まだ、そんなことはない、とがんばるひともいることだろう。だって、常識に反するじゃないかと。正の数ばかりを足し算しているのだから、少なくとも負の数になることなど、絶対にありえないと。恥ずかしながら、実は、ブログ子も高校で無限に続く級数の和を求める授業を受けておきながら、しかも、数学は得意と自信をもっていながら、そう思っていた。

 この公式の証明は、中学生レベルと大学一般教養レベルの二種類で導けることは、最後の「注記」を参照してほしい。ここでは、証明を省略する。

 ここで言いたいのは、有限個の足し算をすることと、無限個の足し算をすることとは全然違うということだ。無限個の足し算は、有限個の足し算の「常識的な」延長線上にはない。

 つまり、

 1+2+3+ +n = n(n+1) / 2

であるのだから、無限個の足し算では、nをどんどん大きくすればいいから、

 1+2+3+ +n + =  ⇒ 無限大

とはならないということだ。この「大きくすればいいから」という常識の論理が成り立たない。それが成り立つのは有限個の足し算という常識が通用する場合だけなのだ。

 そこまでは、ブログ子も高校数学当時、なんとなく理解していたように思う。

 曲者は、この「無限」とか、「無限大」というあいまいな言葉。そう言って悪ければ、これらの言葉に代わって、常識や直感に頼らない別の論理、すなわち集合概念が必要だということに最近気づいた。

 つまり、無限とか、無限大とはいうが、それは数ではない。実体はあったとしても、数とは違う。裏を返せば、常識の通用しないところまで数という常識を外挿したところに誤りの原因があった。

 そのことを分からせてくれたのが、

 先日、「週刊朝日」2013年11月1日号の

 心が躍る数学時間(東大数学科出身の森田真生)/ 数学はどこまでも自由

というコラム。

 このコラムによると、

 集合論で知られる大数学者、カントールは、なんと、

 「無限をそれ自体実体として扱う「神も恐れぬ」集合論の発想で、無限の大きさを比較する方法を編み出した。(中略) すなわち、無限には小さな無限もあれば、大きな無限もあり、その無限の大きさには際限がないことを証明してみせた」

のである。巨大な無限もあれば、極小の無限もあるというのだから、不思議である。さすがの当時の数学者も空理空論であると批判したらしい。

 しかし、カントールは、いかに結果が常識に反するような結論であっても、それが確固とした論理に支えられており、論理のつながりに矛盾がなければ、それは

 数学の自由性であり、数学的な真理

であると主張したらしい。

 つまり、数学のいのちは、論理の無矛盾性

なのである。しかも、それだけで、数学の真理としては十分なのだ。この言葉も含めて、カントールの集合論は数学の土台として不動の地位を今日では得ているとコラム氏は力説していた。

 冒頭の無限級数の和が負の数になるということが、いかに直感に反するように映ろうとも、論理の無矛盾性という観点から、れっきとした数学的な真理なのである。

 数学の自由性とは、森田さんは明示的、かつ明確には言及していないが、人間の日常経験から培われる常識とか直感からは、数学は独立しているという意味だ。

 この意味で、以下の注記を参考に、冒頭のオイラーの公式を、中学数学レベルでもいいから証明してみると、直感にとらわれない数学の偉大さが分かるだろう。

 このブログは、一度は常識を疑おうということをテーマにしている。オイラーの公式は、このことの重要性を見事に示している。

 それにしても、巨大な無限大、極小の無限大があるとは知らなかった。

 ● 注記

 オイラーの公式の詳しい証明については、

 近著『超弦理論入門』(ブルーバックス)の付録に丁寧な解説がある。  

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