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素数の階段 

(2013.10.08)  先週末夜、Eテレで、オックスフォード大学白熱教室と題して、同大数学研究所のデュ・ソートイ教授が

 Imgp1243_1_1 素数講義

を公開していた(写真上=同番組画面より)。素数研究の第一人者らしいのだが、素数の並びはどういうようになっているのか、語っていた。ガウスが考え出した「素数の階段」に関する

 リーマン予想

のイメージとはどんなものか、音楽を自ら奏でて語っていた(もともとの未解決の予測というのは具体的には、ゼータ関数のすべてのゼロ点は座標上で一直線上に並ぶというもの)。これまで聞いたこの種の番組の中でももっとも、素数の不思議について理解できたように感じた。

 そこからの感想を一言で言えば、一流の研究者の講義というものは、なにかしら人を刺激するというものだった。

 Imgp1292 ブログ子が高校で習った数学では、素数という整数論には馴染みがなかった。しかし、その素数のあらわれ方が、なんと、習った不連続関数や連続関数の積分あるいは極限や極限値の考え方に通じているというのだ。

 また、これまたなんとアナログと考えられている音楽に似ているというのだ。これには参った。

 こんな話は一度も聞いたことはなかったが、リーマン予想のイメージがなんとなく分かったような気になった。

 講義のあらすじは、こうだった。

 Imgp1235_1_1

 素数の出現分布に関する素数階段(その数学的な表現は後述)については、リーマンが考え出したゼータ関数と深く関連するという。その関連とは、そのゼロ点の正弦波を基本波から順次倍音を、フーリエ展開の要領で、音量を一定にして重ねていくと、素数階段にどんどん近づいていくというのだ。つまり、近似できる。

 その解説図が上中央の写真。どの周波数も音量が一定であるとすると、ガウスの階段がきれいに表現できるらしい。

 なんと美しい素数分布なのだろう。こうなると、素数の分布はでたらめではなく、神が創造した調和のとれた音楽作品のひとつかもしれないという気になる。

 神は数学者かというよりも、数学は神だとすらいいたくなる。

 素数階段のような不連続な関数が、ゼータ関数のような連続関数で表現できるというのも不思議だった。

 リーマンは、師のガウスの大胆な予想を厳密化しようとした。

 以下は、以上のことをもう少し数学的にまとめたもの。

 Imgp1292_1_2 ガウスの素数階段として、自然数N以下の素数の個数を関数Π(N)とする。Nが素数のときだけ1つ上にグラフ上をジャンプする。次の素数が見つかるまではΠ(N)の値はN軸に平行なまま変化しないのだが、素数が見つかるとまた1だけ上にジャンプする。

 15歳のガウス少年は、

 Π(N)はおよそ N/ Loge(N)

であると見当をつけている(Logeは自然対数)。

 実際調べてみると、

 N=  10   Π(N)=   4   N/Loge(N)= 4.3

       100            25                 =   22

      1000          168                 = 145

   この様子を素数が見つかるごとにグラフにプロットしてみると、写真上のようになる。高校のときに習った

 不連続なステップ関数

である。

 実際の素数分布階段と、その近似グラフN/Loge(N)

に重ねたのも、ここに写真(上から2番目)で示しておく。

 このアバウトな近似解をさらに、ガウスの弟子のリーマンが、ゼータ関数と結びつけて研究を続けて、自らの名前がつけられた

 素数分布に関するゼータ関数の未解決予想

を提示したというのだ。

 こんなことを考えながら、昔習った高校数学をいじっていたら、50年ぶりに高校数学に目覚めてきた。

 無味乾燥に思えた高校数学もなんだか、魅力的なものに見えてきた。一流研究者の学問の力だろう。

 (写真中(上から2番目)、写真下= 東北大学の第3回仙台数学セミナー「数学ってなんだろう」<素数は“いくつ”あるか>佐藤篤担当配布資料(1995年8月)。いずれも写真のダブルクリックで拡大できる)

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コメント

 高校教師です。私もあの番組を3回観ましたが、間違っていると思った点がありました。ソートイ教授がサイコロを持ち出して素数があたかもランダムに出現するかのような説明をしていましたが、素数の定義に従っていけば素数は少し変形した数列の数式で表され、素数の数列にランダムな要素が入る余地など全くないと思うのですがマー坊さんはどうお考えですか?やっぱりランダム有り派ですか。NHKに今回とその前の素数の番組の時も問い合わせしたのですがお答え出来ないそうです。ソートイ教授に聞いてもらいたかったのですが残念です。いま、番組の記事を見つけてコメントさせてもらいました。1年半前に書いた論文が塩漬けにされているのですが学会はめんどくさいのでそろそろネットで公開しようかなと思ったりしています。どこか良い発表の場はありませんか?

投稿: art32m-kギャラリー | 2013年10月29日 (火) 17時55分

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