« 小泉元首相の「脱原発」発言の真意と狙い | トップページ | 赤字は事故を引き起こすか JR北海道 »

できるか、人類の太陽系脱出 

(2013.10.05)  先日、民放テレビをみていたら、ニコラス・ケイジ主演の映画

 「ノウイング(Knowing、予言)」

というのを放送していた。人類が滅亡するくらい大きな

 巨大フレア

が太陽表面に発生、それが地球にまで届いて焼き尽くすという、いわゆるパニック映画である。

 こうしたスーパーフレアというのは、決して絵空事ではない。最近では天文学者、たとえば、京都大学理学部の柴田一成教授(太陽系物理学)の理論研究がある。

 実際にも屋久杉の年輪研究から名大研究グループが太陽表面からの巨大フレアらしい現象を突きとめたりしている。奈良時代のおわりごろの西暦775年前後、世界のあちこちで一斉に宇宙線が急増し、少しずつ減衰したというのだ。まれではあるが、中性子星の誕生との関連も疑われている。

 ● 中性子星が地球に衝突

 映画をもっとドラスティックにしたものを、先日のBSプレミアム番組コズミックフロントで

 Imgp1214_1 地球脱出

というタイトルで、SF映画風に放送していた(写真右= 同番組画面より)。写真右端が近づく中性子星。

 つまり、75年後に地球、というか太陽系が中性子星に衝突するというのだ。ということになれば、地球脱出というよりも、

 太陽系脱出

というのが正確だろう。

 中性子星というのは、質量の重い星が燃料を使い果たし、超新星爆発後の残骸として中心に残った超高密度星。大きさは直径10キロほどなのだが、問題なのは、爆発で太陽系よりもはるかに広い範囲に大量の破片ガスが飛び散り、ジェットのようなガスも出ていることだ。

  超新星爆発する場合、かに星雲のように均等爆発すれば、爆発でできた中性子星はその場所に以前と同様とどまる。しかし、不均等爆発すると、猛烈な勢い、たとえば光速の10分の1くらいの猛スピードで、たとえば太陽系に接近する。こんな強力な磁場を持った中性子星は少なくとも現在100個以上見つかっているという。実際にはもう一桁上の1000個ぐらいは銀河系内にありそうだ。

 こうなると、中性子星が太陽系に急接近というのも、1000年ぐらいのタイムスパンで考えると架空の出来事ではないことになる。現実味がある。太陽系から100光年以内のところで非対称な超新星爆発が起こる可能性は無視できない。

 しかも、もしそれが近接連星系の場合、相手星からのガスの中性子星への流れ込みの影響で有害なエックス線、ガンマ線、あるいは宇宙線を放っている。接近すると、次第に太陽よりも中性子星の重力に支配されるようになる。太陽系内の小惑星の軌道が極端に乱れて、地球に降り注ぐ可能性だって大いにあるだろう。

 番組では、土星のリングがこなごなになり、中性子星に吸い取られていくようシュミレーションが紹介されていた。

 そんなのが地球に近づいてくるのだから、逃げ場がなく、太陽系を離れるしかない。地球軌道を少し変えたぐらいではやりすごすことも無理。また火星や土星に移住しても、もっと遠くに行かない限り、焼け石に水で生き残れないだろう。

 先ほどの巨大フレアよりも中性子星衝突は、活動的な領域が桁外れに広がっている分、地球の生命にとって致命的である。

 衝突の最後は、強力な重力で地球はこなごなになり、中性子星の周りを回る降着円盤になってしまう。それが、写真上というわけだ。

 生き残るには、要するに、番組でも解説されていたが、

 太陽系を脱出、第二の太陽系への人類の移住

ということになる。言ってみれば

 2100年宇宙の旅 = 宇宙方舟

である。番組によると、地球滅亡から100年後ぐらいに

 太陽系を離れた宇宙船は、どこか近くの「第二の地球」

に到着するらしい。そこが本当に人類にとって生きていける環境なのかどうか。それは結局は行ってみなければ分からないだろう。

 ● 太陽系脱出のボイジャー1号は35年の旅

 人類が果たして太陽系脱出などできるのだろうか。

 今から35年前に地球を飛び立った米探査機、ボイジャー1号機は、ようやく今年8月に太陽系外に出たらしい。太陽風の勢力圏から星間風圏に入ったというのだ(米科学誌「Science」(2013年9月12日号))。地球と太陽間の距離のざっと100倍以上に到達したという。

 太陽系を抜け出すのに無人でも35年

 これは太陽の重力にただ乗りする方式でのスピードだから、エンジン開発でもっとスピードアップができたとしても、有人なら、どのくらいかかるのだろう。

 ましてや、隣りの太陽系にたどり着くには、どれほどの歳月がいるのだろう。ざっと計算してみると、隣りの太陽系までは、太陽系の大きさの

 数千倍の広がり

がある。この航行には、どんなにスピードアップしたとしても、つまり、光速の100分の1のスターシップでも、暗黒の中、数百年はかかる距離である。人間の精神がそれに耐えられるだろうか。

 しかも、

 ふたたび地球に帰ってくる宇宙旅行から

 戻ることのない宇宙移住

なのだ。

 こうしたことを考える哲学的な映画があってもいいような気がした。パニック映画よりもはるかに、人間の精神に深遠な何かを残すいい機会となるだろう。

 (写真下は、ほ座のベラ・パルサー(中性子星) = 自由百科事典「ウィキペディア」の「中性子星」の項目より。写真最下段は、近接連星系の中性子星に赤い伴星のガスがはぎとられ降着している様子 = NASAphoto。もし地球に中性子星が接近してくれば、このガスと同じ運命が人類に待ち受けていることになる。いずれの写真にも、中性子星には特徴的なジェットがある)

250pxvela_pulsar_jet_2

Nasaphoto4901241763_18cbcc9131_2  

|

« 小泉元首相の「脱原発」発言の真意と狙い | トップページ | 赤字は事故を引き起こすか JR北海道 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/533942/58318896

この記事へのトラックバック一覧です: できるか、人類の太陽系脱出 :

« 小泉元首相の「脱原発」発言の真意と狙い | トップページ | 赤字は事故を引き起こすか JR北海道 »