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小泉元首相の「脱原発」発言の真意と狙い

(2013.10.05)  最近、注目を集めている小泉純一郎元首相の

 脱原発発言=原発依存度ゼロを今こそ政府は決断するべきだ

について、週刊誌「アエラ」最新号10月7日号が

 Imgp1211 脱原発界デビューの真意

という記事で解説してみせていたのが、おもしろかった。

 そうか、そういうことかと納得した。いかにも政局をみるに敏、大局観の読みにすぐれた小泉氏らしい。

 現役首相時代には、ほとんどエネルギー問題には関心を示さず、もっぱら郵政民営化問題に特化していた。のに、政界引退してからでもずいぶんとたつ今ごろになって何故なのかとブログ子もいぶかしく思っていた。

 発端は先月9月下旬に都内で開かれた

 日本の進むべき道

と題した講演会だったらしい。

 講演の内容を要約すると、こうなる。

 原発ゼロは無責任だという声がある。しかし、もっと無責任なのは今後も(使用済み燃料の)最終処分場ができる見込みがないのに、日本では原発を(再)稼働させようとしていることだ。地震のほとんどないフィンランドですら、求められている「10万年後の安全」の確保はむずかしい。今夏、同国の最終処分場の現場を視察してきて、このことを痛感した。ましてや地震の多い日本ではそんな施設はとても無理。原発ゼロにしたほうがいい。

 ざっとこんな話を1時間にわたって展開したらしい。現に、今日本ではすべての原発がとまっているが、停電などはおきてはいないとも付け加えているという。

 主張の裏づけとなる具体的な根拠を示し、しかも現実を踏まえた上で論理明解に上記の結論を出している。これに反論することは、なかなか困難だろう。

 ひとことで言えば、

 安倍政権は、今のピンチをエネルギー政策転換のチャンスととらえるべきだ

というメッセージが真意ということらしい。

 この発言は気楽な思いつきでしゃべったとは考えられない。というのは、今月に入って名古屋市内の講演でも同趣旨の「原発ゼロはできる」と繰り返しているからだ。

 ● 将棋で言えば、今は中盤の「仕掛け」

 ただし、小泉氏は単なる正論の評論家などではない。政治家である。

 この記事でおもしろかったのは、このメッセージの狙いに言及しているところ。思いつきで「日本の進むべき道」講演したわけではない。

 では、その狙いは何か。

 記事によると、自民党内での高い安倍人気をけん制する狙いだという。安倍一色は困るというのだ。次の選挙まで3年あるのだが、あまり安倍色が強くなると、いくら国民的な人気があるとはいえ、「次」、あるいは次の次を狙う息子の進次郎氏の出番がなくなる、あるいは目論見とは違った流れになってしまうことを恐れた。

 脱原発発言は、将来を見据えた仕掛けであり、エネルギー政策の転換うんぬんのほうは、世論を味方につけるための小泉氏一流の方便。決して本気の本心ではない。敵は本能寺にあるのだ。

 将棋で言えば、序盤が終わり、「玉」とりに向けた中盤の仕掛けの段階にあたるのが、今というわけだ。あるいは相手(安倍氏)の出方をちょっと瀬踏みする一手かもしれない。

 政治の大局観を見極めることにかけては天才的と言われている元首相。しかも政局不利と見れば、自ら仕掛ける。そのとき、普通の政治家と違うのは、郵政民営化のときもそうだったが、世論を味方につけるため正論を前面に掲げることである。今回の脱原発界へのデビューも、その意味で、あり得る話と納得した。

 恩師の仕掛けに乗るのかどうか。瀬踏みにどう反応するのか。安倍晋三首相の中盤の長考と次の指し手が見ものだ。

  ● 毎日新聞社説

 Image1915 このゼロ発言については、毎日新聞は10月5日付で

 原発問題の核心ついた

という社説をかかげている(写真下)。また、自民党内が必ずしも再稼動一色ではないことも記事化している。若手が中心だが、福島事故の原因究明をきちんとすべきであるという役職にもあるベテラン議員もいるという。

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