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「リニア」は儲けなくてもいい  -  南海トラフ巨大地震対策である

Imgp0754   (2013.09.23)  基本計画から40年、JR東海は、東京・品川-名古屋間で2027年の開業を目指すリニア中央新幹線の環境影響評価書の準備書を公表した(写真上= 2013年9月19日付毎日新聞朝刊)。

 その中で、同社は詳細な走行ルートと中間駅の所在地を明らかにした。

● 見事な静岡県外し

 4つの中間駅の所在地をみると、このリニア計画では、県内には駅をつくらないなど静岡県外しが徹底している。立地のほとんどは、南海トラフ巨大地震ではせいぜい震度5か、名古屋付近では震度6弱までであり、巨大地震に十分耐えられるのがミソ。

 はっきり言えば、いざ「その時」に備えたJR東海の生き残り戦略なのである。

 表向き、JR東海は、東海地震、あるいは近づく南海トラフ地震について、ゆれや津波面では新幹線の全線に対して「安全宣言」を出している。

 しかし地震にともなう浜岡原発、あるいは富士山噴火、大津波という複合災害にまで耐えられるかどうかは不明というのが正直なところだろう。

 東海道新幹線がいたるところで破壊されれば、JR東海はもちろん、今のままでは日本の動脈は東西に分断されて、日本経済は大打撃を受ける。〝日本沈没〟のような事態に陥る。

 その意味では、経済性とか、より速くというのは二の次なのだ。より速くではなく、

 東西日本の結びつきをより強く

という社会的な要請がリニアにはある。

 つまり、大損はこまるが、もうけなくてもいいリニア新幹線なのである。

 それには、いざ「その時」のために、リニア路線には、現行の新幹線車両が走行できるようにしておく必要があろう。これは、JR東海の生き残りの絶対条件である。

 数十年後には、ほぼ確実にやってくる南海トラフ巨大地震に何とか全線開業を間に合わせ、海岸沿いに走る東海道線や新幹線の代替役を果たしてもらうには、着工は今がぎりぎりの、もう待てない、いわばタイムリミットなのである。

 ● もともとアメリカで構想、ドイツは中止

 リニア新幹線については、もともと1960年代、アメリカで構想された。しかし、その後、アメリカでも、ドイツでも検討されたが、経済性という観点から、計画が計画段階で中止された。

 しかし、以上のように、日本には高い鉄道技術があるだけではなく、南海トラフ巨大地震が近づいているという事情があることを見逃してはなるまい。

 したがって、浜松市に暮らすブログ子は、静岡県内には駅をつくられない、そして海側を避け、一見遠回りにみえるリニア山側新幹線はぜひとも必要と考えている。

 ● 成功の3条件とは

 先日、BS-朝日の

 午後のニュースルーム

で、計画に疑問を投げかけている橋山礼治郎氏を迎え、リニア新幹線の成功の条件というテーマで、その問題点を議論していた(写真下)。橋山氏は、巨大プロジェクトの成否の調査を長年手がけている専門家で、現在、千葉商科大大学院客員教授。

 橋山氏は、プロジェクト成功の3条件として

 経済性、技術的信頼性、環境適応性

を挙げる。そこから、より速くという発想ではもはや鉄道分野では成功はおぼつかない主張し、計画の成功を疑問視していた。これに対し、東海道新幹線は見事にこれらの条件を満たし、大成功したというわけだ。

 Imgp0774_13_2 だから、ブログ子は、環境適応性として、スピードは「従」であり、南海トラフ巨大地震という環境の適応性のほうを最優先にすべきであると考えている。

 中止となったアメリカやドイツとは事情が違うという点を忘れてはなるまい。これらの国がダメだったから、日本もダメというのは早計だろう。

 この備えの意味で、リニア建設費9兆円は、日本沈没を食い止める費用としては、ずいぶんと安い投資だと思う。大赤字にならない程度で、十分に日本を救える。

 (写真左上 = 9月20日放送のBS朝日1「午後のニュースルーム」のテレビ画面より) 

 ● 補遺 JR東海の狙い

 当のJR東海のリニアに対する期待、あるいは狙いについては、2014年10月1日付中日新聞「総合面」に記事が出ている。

 参考のため、以下に掲載する。

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