« 隕石をめぐる「ポスドク」連続殺人事件 | トップページ | 過酷事故に即応する能力と覚悟があるか »

日本版「天地創造」  陰陽師Ⅱ

(2013.07.08)  日曜日の午後、BS朝日を見ていたら、

 陰陽師Ⅱ(おんみょうじ、滝田洋二郎監督、2003年)

という映画を放送していた。原作は夢枕漠の『陰陽師』シリーズらしい。

 何しろ、安倍晴明役の野村萬斎のほかに、中井貴一、深田恭子という主役級の俳優が登場するのだから、しかも「天地明察」、「おくりびと」の滝田監督なのだから、おもしろくないはずはない。

 このブログのテーマは「科学と社会」なのだが、科学と魔術とは、西洋科学でもかつて深い関係があったことが解明されている。西洋科学は魔術のなかから生まれてきたといっていい。

 Image219 日本ではどうか、という興味もあった。

 舞台は今から1000年も前の平安京。簡単に言えば、源氏物語の紫式部の時代。

 この映画は一見、荒唐無稽なホラー映画のように思われがちなのだが、実は、

 日本版「天地創造」ミステリー

なのだ。記紀の記述をもとにしており、言ってみれば

 日本古代史の謎= 出雲伝説に材をとっている。深田恭子は最高神、天照大神を演じている。中井喜一はヤマトに滅ぼされた出雲の王役。野村の安倍晴明と対決する幻角という「鬼」に扮していた。ヤマト政権への怨念を持つ。

 体制派=安倍晴明 対 反体制派、幻角=鬼

という構図である。ラストシーンでのその壮絶な戦いは、ホラーという概念を完全に超越していた。

 巫女の衣装の野村萬斎の独壇場、すなわち

 能の世界

である。時空を超えた変幻自在が展開する。

 このラストシーンを見て、なぜ、監督は野村萬斎を主役にすえたかがわかった。こんな世界は能役者以外では、とてもできない。

 また、おそらく、こんな演出は、能楽を伝統文化、とりわけ武士のたしなみとして持つ日本だけでしかできないのではないか。

 安倍晴明は、ラストシーンで

 「鬼がいなくなれば、世の中、味けなくなる」

と語る。脚本にもたずさわった監督が言わせたのだと思うが、なるほど、おもしろいせりふだ。

 滝田監督の史眼と現代をみる眼力の鋭さに敬服する。

 ( 写真は、安倍晴明をまつる京・一条戻り橋の晴明神社。訪れてみて、かつて、ここに千利休の聚楽第屋敷があったことを知った )

|

« 隕石をめぐる「ポスドク」連続殺人事件 | トップページ | 過酷事故に即応する能力と覚悟があるか »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/533942/57749527

この記事へのトラックバック一覧です: 日本版「天地創造」  陰陽師Ⅱ:

« 隕石をめぐる「ポスドク」連続殺人事件 | トップページ | 過酷事故に即応する能力と覚悟があるか »