« 世界最古の古代ヨーロッパ黄金天文盤 | トップページ | 平成デモクラシー 政治主導とは何か »

過ぎたるは及ばざるが如し、いや-

(2013.07.20) あすの参院選の投票日を前に、7月20日付読売新聞は1面の真ん中に

 拝啓 有権者の皆さんへ 

   論点 限りなく明確

という大型論説を掲げている。筆者は特別編集委員の橋本五郎さん。

 Image1799_2 一方、朝日新聞でも

 迷っている人たちへ

という社説を掲げている。

 要するに、みなさん投票に行きましょう、ということに尽きるのだが、どの党に、あるいは誰に投票するか迷っていても、なぜ投票所に行くことが大事なのかという理由付けが、それぞれ違っていて、おもしろかった。

 いずれの論説も、国政選挙史上、最低の投票率になるのではないかという危惧から書かれたものであることは、明らかだろう。

 ● 読売「ねじれ解消を問う」選挙

 読売では、論点ははっきりしている、何も迷うことはないとズバリ指摘している。

 今回の選挙の意味も争点も明確であり、

 「何よりも大きいのは「ねじれ」が解消されるかどうかです」

と論じている。すなわち、決められる政治か、はたまた今のような「ねじれ」で決められない政治を続けるのかどうかというわけだ。

 合わせて63議席を獲得して、自民・公明両党で過半数を取るのか、はたまた、72議席以上の当選で自民単独で過半数を占めるのかという

 数字の選挙

と言わんばかりの主張である。

 争点がはっきりしている大事な選挙なのだから、有権者はここは投票に行くべきだという論理構成になっている。

 裏を返せば、与党が圧勝することを見越した上での主張である。圧勝しても、投票率が戦後最低では、

 画竜点睛を欠く

というわけだろう。わかりやすく言えば、投票率でケチがつくのはごめんだというのだろう(注記)。

 ブログ子に言わせれば、熟議に至らずもっぱら政争の具となってしまった衆参「ねじれ」の解消は大事だと思う。参院が政争の具になるのは、参院は衆院のカーボンコピーだと議員自ら参院をいやしめているからだ。そこから衆院の仇は参院で晴らすという意識が出てくる。

 だから、敵討ちではなく、参院では衆院とは異なる観点からの熟議のできるよう選挙のあり方も含めた根本的な制度改革は必要だろう。そうでなければ、結局、一院制でいい、衆院だけで十分という批判を跳ね返すことは基本的にできないような気がする。 

 ただ、当面の選挙でいえば、

 過ぎたるは及ばざるが如し

で、自民単独過半数は、国民だけでなく自民党にとっても危険だ。なぜなら、かの徳川家康も、

 過ぎたるは及ばざるより悪い

として、勝ちすぎを戒めている。多くの国民もおそらく内心これを心配しているであろう。言い得て妙の至言だと思う。

 だから、参院の抜本改革の前に行なわれるあすの審判では、神も舌を巻くほどの

 絶妙な結果

が出るとブログ子は予想している(補遺)。国民一人一人とは違って、国民の総意は愚かではないからだ。

 この絶妙な結果は、国民が参院においては観点を変えた見地からの熟議を重んじよ、参院を単なる衆院のカーボンコピーにするなと言っているに等しいといえる。

 仮に、選挙結果が衆院同様、自民党単独過半数ということになれば、参院はもはや不必要、見放したと国民が考えている結果だ。

 ● 朝日社説「自分の考え整理できる」

 一方、朝日は、なぜ投票所に行くことが大事かという点について、重要なのは結果ではないとしている。大事なのは、自分の考えがどの政党や候補者の主張に近いかを考える過程で

 「自分の考えが整理できることだ」

とその効用を説いている。これは、国政選挙の目的としては本末転倒で、ちと苦しいが、ことの一面は突いている。

 自民大勝を予想した上での言い回しであり、ブログ子には、なんだか、負け犬の遠吠えのようにも聞こえる。こじつけの牽強付会といえば、いえよう。さらに踏み込んで、

 「最も関心のあるテーマに絞って投票してもいい」

とも書いている。

 だから、というわけでもないが、ブログ子は、原発再稼動反対や原発廃炉を鮮明にしている政党に投票したいと思っている。

 ● 投票に行く「義務」がある

 とりわけ、地元の南海トラフ浜岡原発の廃炉を明確に打ち出している政党や候補者に投票したい。

 読者は、どんな投票行動をするだろうか。

 少しオーバーに言えば、個別テーマだけでなく、今回の選挙は参院の存在意義そのものが問われる審判だ。

 だから、有権者には主権者として投票に行く権利ではなく、義務がある。

 ● 注記  

 この日20日付きの読売社説は、やはり

 参院の意義と役割も考えたい

と早くも、選挙後の与野党が参院改革の協議の場をつくるよう求めている。参院の意義とあり方を見直すきっかけとして、衆院と似通っている参院の選挙制度を抜本的に改革することを挙げている。

 これは、つまるところ、一院制にしないとしたら参院の役割とは何か、ということを具体的に問う古くて、そして新しい課題でもある。

  ● 補遺 投票率は52.6%と戦後参院選3番目に低かった

 今回の選挙では、やはり、絶妙な結果が出た。つまり、

 自民・公明与党が、与党参院過半数に必要な63議席を大きくこえて76議席を獲得した。しかし、自民単独で過半数を占めるに必要な自民単独72議席には7議席足りず、65議席にとどまった。

 この絶妙なバランスには、自民独走を警戒する与党公明党も舌を巻いたであろう。また参院でのプレゼンス(存在意義)を確保できてホッとしたことであろう(公明党の新勢力は、非改選9議席も加え20議席)。

 何しろ、たとえ、新勢力の無所属3と諸派1がすべて自民党入りしても、自民党単独では参院過半数には3議席足りない。だから、公明党としては、万々歳といったところであろう。

  憲法改正に必要な参院発議総員242の3分の2獲得については、自民、公明の与党、それに改正に基本的に賛成のみんなの党(新勢力18議席)と日本維新の会(9議席)をあわせると、なんと162議席と、現行憲法の規定の総員の3分の2にぎりぎり届く。

 ただ、公明党(新勢力20議席)は、与党といっても改憲発議要件の緩和なども含め改憲には否定的。はっきり言えば、改憲反対は党是だろう。

 また、たとえ改憲に基本的に賛成だとしても、具体論に踏み込んだ場合、これらの政党間で足並みがそろうかどうか、政治的な駆け引きがあり、自民党の目指すような改憲の道は厳しいというのが、今回の選挙の意味だろう。

 国民の総意というのは、これほどまでに絶妙なことがお分かりであろう。

 かの家康の箴言を見事に守ったし、また、自民党にとっても、勝ちすぎの戒めで堅実な政権運営ができる。その意味では、2009年の民主党鳩山政権大勝は、家康に言わせれば、

 「ワシの言ったとおりの悪い結果を生んだ

といえそうだ。今では、民主党消滅の危機すら招いている。

 一方、投票率は、初のネット選挙解禁にもかかわらず、戦後参院選では3番目に低い52.6%だった。有権者総数の過半数ぎりぎりという実質戦後最低といえそうな低い数字。

 投票したのが有権者の過半数ぎりぎりというこの数字は、何を意味するか。国民の総意は参院の抜本的な改革であると受け取るべき数字だ。カーボンコピーから抜け出し、新しい参院像を示せというのが国民の総意だろう。

 2007年参院選挙で「ねじれ国会」を首相として生み出した安倍首相。今回その汚名返上を成し遂げた。

 ねじれ国会の解消が、成長戦略を目指した電力システム改革など構造改革や財政健全化につながるのかどうか、注目したい。

 そんな特筆すべき参院選挙であるところから、毎日新聞社WEB版「2013参院選特集」の

 党派別当選者一覧

を写真下にかかげておく(投開票翌日2013年7月22日閲覧)。

 Dsc02062

 

|

« 世界最古の古代ヨーロッパ黄金天文盤 | トップページ | 平成デモクラシー 政治主導とは何か »

ニュース」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/533942/57832600

この記事へのトラックバック一覧です: 過ぎたるは及ばざるが如し、いや-:

« 世界最古の古代ヨーロッパ黄金天文盤 | トップページ | 平成デモクラシー 政治主導とは何か »