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原発の新規制基準、今必要なこと

(2013.06.21)  原子力規制委員会が、原発の新しい規制基準を決定したことを受けて、全国紙、地方紙一斉にこのニュースをトップで伝えている。

 このブログでは全国紙、地方紙ばかりをこれまで取り上げてきたので、今回は、少し目先を変えて

 Image167520130620 日本共産党機関紙 「しんぶん赤旗」

の一面をここに紹介する(写真上=2013年6月20日付)

 案の定というべきか、

 再稼働ありき

と横見出しで大きくアピール。たて見出しには、

 規制委が新基準決定 国民の安全置き去り

 電力各社 申請へ

というふうに伝えている。主張のある機関紙だけあって、横見出しに評価を打ち出しているのが特徴(一般紙では、解説記事にせいぜい3段ぐらいの見出しでつけるのが普通)。ひとめでみて、わかりやすい。が、ステレオタイプの見出しでインパクトはないか、または小さい。たて見出しの「国民の安全置き去り」というのもそうだが、お定まりの言い方だからだ。

 そうは言っても、一般紙もこの赤旗紙と似たり寄ったりだった。

 ● 「基盤機構」との統合を視野に

 ところが、NHKのこの日(6月20日)夜の

 クローズアップ現代(写真下)

が鋭かった。

 世界一厳しい審査基準が決定されたのは結構だが、これからの審査に当たって安全を実質的に確保するには何が必要か。専門機関としての能力的な面でも、人員数的にもアメリカなどに比べてかなり劣っている現状をどう克服していくか。

 そんな視点から、関西大学社会安全学部の安部誠治教授を招いて、論じていた。その中で教授は

 原子力安全基盤機構(JNES、本部=東京都港区)との統合を進めることも視野に入れるべきだ

と言及していた。規制委の態勢強化策として傾聴に値する卓見だろう。

 基盤機構は、原子力施設の設計から廃炉までの安全対策、評価、解析、検査、技術支援を業務としている専門機関で、独立行政法人。おおむね電力各社から独立しているといわれている。

 委託事項を請け負うだけの下請け機関の位置づけよりも、統合により自ら積極的に関与できる責任と自覚を持ってもらう意味合いは、安全確保の上で、大きい。

 さらに統合については、現時点でも、基盤機構は規制委の求めに応じている。具体的には共同で新基準づくりや、基準に基づいて審査官は何を確認するのかなど審査ガイドづくりの技術支援面で具体的な作業をしている。統合しやすい実績と実質があるといえよう。

 この実績と実質を今後の規制委の活動に生かすべきだろう。

 ● 透明性、独立性、専門性が必須

 Dsc01712n20130620 規制委には、

 透明性と独立性の確保

が求められる。独立性の見地から、現場の電力各社の意見をともすると無視しがちである。しかし、それでは安全確保の実質を欠く。

 専門知識を持つ電力各社自ら安全文化の向上を図ることがなんと言っても大事だが、それには規制する側にも専門知識が不可欠だからだ。お任せ文化は通用しない。

 だから、規制委とその事務局の原子力規制庁も、専門性を持つことが喫緊の課題。

 役人集団、素人集団では審査にあたって、形式は整っているとはいえても、審査結果に専門的な重みが伴わない。

 透明性が確保できたとしても、それだけで安全性が確保されるわけではない。透明性の確保は必要条件ではあるが、安全確保の十分条件ではないからだ。

 ● スローガンより、その中身を論ずる

 冒頭の「しんぶん赤旗」紙を皮肉るわけではないが、スローガンではなく、「国民の安全置き去り」にしないためには、今何をしなければならないか。その中身を論ずることが、基準が決まった今、必要なことであろう。

 基準が世界一厳しいかどうかという形式は問題ではない。日本の原発は世界一安全に運転できるかどうかという実質が問題なのだ。

 ● 補遺 4年後の2017年が、脱原発の正念場

 産経新聞2013年6月25日付によると、

 規制委は、規制庁の人材難について、田中俊一規制委員長は

 「頭の痛い問題」という表現で、人材不足を認めている。原発の安全技術に精通した人材として規制委には更田(ふけだ)豊志委員がいる。しかし、事務局の職員のなかには、そうした人材は決定的に不足している。

 田中委員長はこの点についてさらに

 「将来的には規制庁の職員だけで新基準による審査ができるように願っている」

と述べている。基盤機構との統合を視野に入れているとも取れる発言だ。

 注目されるのは、現在の規制委の委員長と委員の任期は5年という点。再任は法的に可能。国会の同意人事でもあり、4年後の任期切れの2017年9月が、原発再稼動の正念場だろう。

 浜岡の再稼動問題でも、この時期は、再稼動に慎重な川勝平太静岡県知事の任期切れとも重なり、脱原発の流れを左右する正念場となろう。

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