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「廃炉」選択できる会計の枠組みを急ごう

(2013.06.02)  日ごろは滅多に読まない〝経団連広報紙〟日経新聞なのだが、6月1日付の1面、

 原発廃炉 利用者が負担

  電気料金に上乗せ 経済産業省検討

は、電力会社寄りの見出しが気にはなるが、脱原発側からも十分に検討の価値がある(写真=日経2013年6月1日付朝刊)。

 他紙の追いかけ記事は翌日2日付だから、日経の特ダネ(経済産業省のリーク?)かもしれない。

 ● 利用者の負担総額変わらない仕組み検討

 Image162020130601 来月から原発の規制基準が強化される。そんななか、電力会社が経営上の理由で廃炉を選択するケースが相次ぐことが予想される。

 その場合、躊躇しないよう各電力会社が廃炉を選択しやすい方策を、経産省が検討し始めていることをいち早く、日経らしく、経営者側の立場に立って伝えているからだ。

 廃炉を選択した場合、いきなり債務超過に陥り、会計上、経営破たんしかねない心配がある。そういうことのないよう、40年運転前で廃炉にしても、一時的に発生する

 巨額の廃炉コストや原発の資産価値の低下を、その後の複数年に分割して計上、経営上の負担軽減をなだらかにする

のがポイントらしい。

 今の40年運転を前提とした場合と途中での廃炉選択とでは、転嫁の最終的な総額では違いがないのがミソらしい。この一時的な負担軽減を図る事業者に有利な会計仕組みは事故原発には適用しないことする。そうすれば、廃炉の促進にもつながろう。

 うまく機能すれば、今のように

 廃炉=巨額損失

という役員の経営責任が問われかねない事態を回避できる。つまり、電力会社の経営陣に対し、スムーズに

 会計上の引導

を渡すことができる。廃炉でも、再稼働でもない宙に浮いた形の

 休炉

も避けられる。今の制度下では、廃炉に伴う一時の巨額損失を回避するため、経営上、廃炉にせず、休炉にしておくという狗肉の、そして最悪の危険となる選択肢がある。廃炉後の分割計上が認められる新しい仕組みだと、なんら利益を生まない休炉は経営上最悪の選択になり、株主から経営責任が問われかねない。

 さらには、早めに廃炉を選択したほうが、廃炉に伴う特別損失をより多くその後の年数に分割できる。電力会社は激変を緩和しつつ、各年度の負担軽減を図る。廃炉の早期選択には、そういう経営側にも、早期廃炉を望む脱原発側にもメリットがありそうだ。

 ●業界も廃炉研究に着手を

  このように、電力会社に

 会計上の大義名分

を与える今度の制度は検討に値する。

 ただし、負担総額は変わらないとしても、電気料金に早期の上乗せ負担を利用者に求めることになる以上、電力業界挙げて

 廃炉作業を効率的に進める工程の共同研究開発

に力を入れるなどの努力が求められる。

 同時に、電力消費者側からみて、この新しい会計システムのメリットとデメリットを精査する必要は、当然ある。

 このニュースを、経団連広報紙がわざわざ1面トップにしたのには、それなりの理由があるはずだ。ことを有利に運ぼうとする電力会社側の意図とは何かという問題である。

 また、経産省が、大きく報道してもらいたいとの政策意図のもとに、日経にリークしたとしたら、そこにどんな行政側の意図が隠されているのか。この仕組みの問題点をあぶりだすには、そのへんをよく検討しなければならない。

 そういう意味で日経新聞1面独自ニュースは消費者にとっても重要であり、問題点のありかを知る手がかりがあるという意味で、この記事は高く評価できる。

 言い換えれば、日経1面トップの、しかも独自ニュースは、いい意味でも、悪い意味でも、単なる「ヨイショ」記事だけではない。このことに気づかせてくれた今回の独自記事だった。

 ● 真綿で首をしめる時

 そうしたこともあるが、規制が厳しくなるなかで、経営判断の一つとして電力会社が廃炉を選択しやすいよう、法的な枠組みとともに、財務体質的な面の検討を急ぐ必要がある。

 電力会社が受け入れやすい方策を消費者とのバランスを考慮して準備することは、なによりも優先すべき国民の安全という利益につながる喫緊の課題だ。

 原発反対を声高にただ叫んでいるだけでは、電力会社をますますかたくなにさせ、かえって国民を危険に陥れる。

 真綿で首をしめる

という面白い言い方がある。今はその時であろう。 

 ● 補遺 朝日が大型社説6月3日付

 朝日新聞がこの会計制度の特例について、大型社説

 Image162320130603_3 脱原発政策 廃炉促進へ専門機関を

をかかげている。経済産業省の検討について

 「方向性には賛成する」

と賛意を表している。

 ブログ子の主張と基本的には同じなのだが、朝日社説の場合は、脱原発を急ぐには、世界ではほとんど政府が関与しているとして、海外の事例も参考にして

 専門機関が要る

と踏み込んでいる点だ。論点を整理して国民的な議論にかけるべきだとも主張しているが、ブログ子もそれに賛成したい。

 その場合、「いっそのこと税金を投入して廃炉を急ぐ」「あるいは廃炉原発も専門機関に移して、小規模な売電で得られる収益を廃炉費用にまわす」など、いろいろな考え方があるとしている。具体的な提案をあれこれ提示することで、主張に説得性をもたせている。

 これに対し、1面トップであんなに大きく扱った日経新聞には、この問題に対する社説が3日付までにはないのは、どうしたことか。

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