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静岡新聞も動き出した

(2013.06.09)  スーパー銭湯「極楽湯」につかった後、ふと静岡新聞を拡げたら、社説で

 原発廃炉

について、論じていた。写真のように

 国策として道筋つけよ

と政府や国会に要望している(2013年6月9日付)。

 Image163420130609 脱原発をひた走る中日新聞を追いかけて、ついに静岡新聞も動き出したか

という感慨を持った。地元紙として応援している新聞だけに、少し明るい気持ちになった。

 少し、というのは、この社説で全国のほかの原発については具体的に論じているのだが、なぜか、お膝元の浜岡原発については、まったく黙んまりだったからだ。

 いまや原発について突っ込んだ論説を張らないようでは、新聞は売れなくなってしまったことを反映したものであり、昔日の感を強くする。

 ● 原発論説の転換点か

 静岡新聞も、原発論議ではそろそろ軸足を移すというか、論調の転換点に立たされている。

 脱原発に軸足を移し、県内でも急速に部数を伸ばしている東京新聞を筆頭に、朝日新聞、中日新聞に遅れをとってはならじという悲壮な危機感のようなものを感じる。このままでは県内を食い荒らされて、県紙の雄として部数のジリ貧に歯止めをかけられないとの焦りである。ジリ貧はとくに県東部や西部で顕著なのだ。

 さて、その主張のポイントは以下のとおりだ。そのまま引用したい。

 「日本の原発は「国策民営」で推進してきたが、廃炉を電力会社だけに押し付けてはならない。廃炉を「国策」に位置付け、電力会社の負担を減らす法整備や原発立地地域の支援策などを打ち出して廃炉への道筋をつけるべきだ。」

 要するに、国主導で電力会社に引導を渡せというわけであり、その通りである。

 さらに社説は、原発推進を国策としてきた国の責務の観点から、自民、民主などの超党派議員でつくる「原発ゼロの会」が先月まとめた廃炉促進法案骨子案に注目している。

 賛成するとまでは言っていないのがミソだが、それでも主張を裏付ける何がしかの具体策を論じているのは前進だろう。

 これまでの原発推進、あるいはあいまいな態度から、一歩踏み込んだことは、評価できる(注記)

それでもまだ及び腰なのは、世論に押されての急な方向転換であり、無理もない。

 ● 南海トラフ「浜岡」どうするのか

 地元の今後の原発情勢をにらみながら、全国注視の、肝心要の南海トラフ「浜岡」をどうするのか、県民の願いを半歩でもいいリードする、より踏み込んだ提案を期待したい。

 今回の社説は、国民にとっては小さな一歩だが、静岡新聞にとっては大きな一歩だと思う。中部電力の鼻息よりも、県民の息遣いをうかがう時代がようやくやってきたように思う。

 日本一危険な、人によれば世界一危険な浜岡原発について、地元紙の判断は全国注視だろうし、法案の成立後、廃炉提案に踏み切れば、日本の新聞業界からも高い評価を受けるだろう。

 静岡県民として、静岡新聞の地だね社説の今後におおいに注目したい。

  ● 注記 静岡新聞の原発論調

             - 「五つの提言」

 Image984 原発事故後の静岡新聞の論調を一言で言えば、

 脱「原発依存」

である。自民党と同様、依存度を下げよという主張である。そのためには、

 中部電力は住民の不安払拭を

というスタンスを取ってきた。この不安の払拭は、当然ながら事故前からかかげていた。

 これらを整理して明確に示したのが、同紙連載「続 浜岡原発の選択」(写真下)で提言した

 「五つの提言」(2012年6月)

である。

 原発推進はもはや国策になりえない

 再稼働の是非は不安解消後に

 中部電力は6号機計画の撤回を

 原発に頼らない地域振興策を

 県民も原発のあり方に関心を

が柱。

 二番目の再稼働については、国内の電力供給状況や代替電力の導入状況を勘案した上で、是非議論をすべきであるとの条件がついている。これなども自民党の考え方に近い。

 原発依存度ゼロという脱原発ではない。

 それが、今回の社説では原発廃炉に踏み込んだのは画期的といえる。今後、いつ浜岡廃炉に言及するのかというのが焦点。

 静岡新聞社としての勝負は、中部電力が決断する前に、社説で、うながすなど一押しできるかどうかにかかっている。

 中電の決断後では、地元紙としては追随であり、敗北だろう。とても県民紙とはいえない。

 つまり、「静岡新聞の選択」も問われる「続 浜岡原発の選択」なのだ。

 今回の社説は、そのための準備作業のようにブログ子にはみえるのだが、これは愛する地元紙ゆえの〝ひいきめ〟なのだろうか。

  補遺  北國新聞の場合

 同じ地方紙でも、志賀原発の活断層問題でゆれる石川県の地元紙、北國新聞/富山新聞の論調は、福島原発事故前後で基本的な変化はない。安全性に注意して再稼働を、というものだ。

 たとえば、最近の2013年6月6日付社説

 志賀原発の断層報告 規制委の同意を得られるか

では、事業者の北陸電力が「活動性はない」と結論づけた報告書を規制委に提出したことについて、

 「同意が得られるかどうかが原発再稼働の大前提」

と強調している。というか、むしろ規制委の行き過ぎを、高圧的にたしなめる論調だ。

 わかりやすく言えば、〝産経論調〟である。

 このほか、この1年間でも、原発ゼロに批判的な姿勢を貫いており、はなからではないにしても、廃炉うんぬんという問題を真正面からは取り上げていない。

 一口に地方紙といっても、その原発論調は、福島以後では、これまでのような一色ではなく、少しずつ変化しているように感じられる。

 北陸に比べて、東海地方のほうが巨大地震の不安をより身近に感じている。その県民の不安感がマグマとなって、地方紙の論調に地殻変動を引き起こさせているように思う。

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