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佐鳴湖で育つか、ドウマンガニ

Image15551 (2013.05.22)  ブログ子は、福井県出身とあって、厳冬期に味わうゆで上がったカニには目がない。日本海のどんよりとした風雨がガラス戸越しに眺められる部屋でのカニ料理はすばらしい。

 日本海側に生まれて、そして育ってよかったと思う瞬間である。

 そんなこともあり、太平洋側でも、浜名湖名産の高級食材「ドウマン」の幼ガニを、ブログ子の近くの佐鳴湖に放流するというので、先日、いそいそと見学に出かけた。

 ● 浜名湖は北限

 ドウマンというのはワタリガ二のことであり、正しくはトゲノコギリガザミというらしい(写真最下段)。熱帯東南アジアのマングローブの泥の中に生息しており、浜名湖はその北限。

 放流をした地域生物資源研究所(NPO法人、浜松市)の久保靖理事長(静岡大名誉教授)よると、塩分が濃いところ、すなわち赤道近くのものは味が泥臭く、まずいらしい。だから、浜名湖産は一番おいしいという。

 もし、仮に浜名湖よりはるかに塩分濃度が低い佐鳴湖で次々と自然繁殖するようになれば、確実においしい食材が地元で手に入ることになる。久保理事長の狙いもそこにあるようだ。

 Image15492_3 カニ好きのブログ子だが、カニの生態についてはほとんど知らなかった。今回、初めて気づいたのだが、

 カニは脱皮する

という事実を知って驚いた。甲殻類は一般にすべて脱皮で大きくなるらしい。この点が、脊椎動物とは画然たる違いがある。おそらく、これは進化とも深い関係があるのだろう。 放流する幼ガニも脱皮した後に放たれた(写真中= 脱皮後の抜け殻)。

 また、ドウマンは共食いの習性があるという。これも、進化と関係があるように思った。そんな生き物がよくここまで生きながらえてきたものだと不思議である。

 ● 1匹4、5000円では

  さて、放流だが、小さな子どもたちも参加して、南岸の新川放水路にかかる臨江橋のたもとで行なわれた(写真上)。数十匹の幼ガニが親元の浜名湖と新天地、佐鳴湖をつなぐ川に勢いよく、消えていった。

 できることなら、佐鳴湖のほうに生息してほしいと祈らずにはいられなかった。生態系を乱さない程度に、ほかの生物と折り合いをつけながら育ってほしいものだ。

 Nokogirib 大きくなったドウマンのメスを蒸したり、あるいはゆでたりする。オレンジ色の内子(卵巣)の濃厚な味を、甲羅に注いだ辛口の日本酒で堪能できたら、悦楽のきわみであろう。

 しかし、今のような一匹、4、5000円もするようでは、ちと手が出ない。

 補遺

 2013年5月19日付中日新聞朝刊。

 記事本文と見出しの「稚ガニ」とあるのは「幼ガニ」が正しい(久保理事長)。甲羅長数ミリ程度の生まれて間もない稚ガニでは環境の変化による浸透圧の違いに耐える体力がない。甲羅の大きさ5、6センチの幼ガニにまでならないと、放流しても死んでしまうという。

  20130519_2

 

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