« ノーベル経済学賞の経済学  放送大学 | トップページ | コンピューターは「錯覚」するか »

発表ニュースは見出しが勝負 静新と中日

Image95620130416 (2013.04.16)  夕食時、ふと気づいた静岡新聞の中面記事が、右の写真(2013年4月16日付朝刊)。見出しだけを見て、最初、何の記事かな、と思った。恐ろしく長いセンテンスの前文を読んで、ようよう、なんとかわかった。

 ● 見出しミスの静岡新聞

 真空で生きた虫観察/ 体表覆う「保護膜」開発

では、何がニュースなのか、全然わからない。見出しがおかしいのだ。真空で、というのをやめて、電子顕微鏡の「電顕」を見出しに使い、

 電顕で生きたまま虫観察/ 体表覆う「保護膜」開発

が正解なのだ。前文や本文にはあるのだが、見出しのどこにも電子顕微鏡、あるいは電顕がない。発表ものなのに、ニュースがこぼれてしまった。出稿した取材記者も落ち度はあるが、見出し付けに責任を負う整理記者のミスだろう。

 中日新聞は、さすがにこの手の落ち度はない(写真下=同日付中日新聞)。見出しに、きちんと「電子顕微鏡」と書いている(補遺)。

 写真も、生きて動いたまま撮影できたことを示す一部「ぶれ」ている写真を掲載している。ぶれているところを円で囲って読者に一目でニュースのポイントがわかるようにもしている。これには、浜松医科大の開発者、針山孝彦教授も感心したであろう。提供写真の使い方がうまい。

 ● 前文も、これまた悪文

 静岡新聞の前文は、複文が入り混じる悪文の最たるもので、落第だろう。

 こうだ。

 宇宙遊泳する飛行士が着用する宇宙服のように、虫の体表をすきまなく膜で覆い、真空の状態にしなければならない電子顕微鏡の中で生きたまま観察することに、浜松医科大や東北大のチームが成功し15日、米科学アカデミー紀要電子版に発表した。 

 これをできるだけ、原文を尊重して、直すとすれば、こうだろう。

 電子顕微鏡の中で、これまでできなかった生きたまま虫を観察することに、浜松医科大や東北大のチームが成功した。15日、米科学アカデミー紀要電子版に発表した。宇宙遊泳する飛行士が着用する宇宙服のように、虫の体表をすきまなく膜で覆う「ナノスーツ」技術。

 Image96220130416 発表ものの場合、見出しが勝負。何がニュースか、取材記者の腕の見せ所でもある。いや、いかに読者にアピールするか、紙面づくりのプロ、整理記者の智恵の見せ所でもあるのだ。他紙の研究を忘れまい。わが自戒も込めて、地元紙、静岡新聞を応援したい。 

 補遺 

 にくいことに、中日新聞は、前文も静岡新聞より、簡潔。

 こうだ-。

  生物を生きたまま電子顕微鏡で観察することに、針山孝彦・浜松医科大学教授らが成功した。

 ニュースのポイント(核心)がズバリ、冒頭に書かれている。しかも、できるだけ前のほうに「電子顕微鏡」というのが出てくるように工夫している。これがプロのライターの仕事であろう。しかも、一文には、二つのことを書かないという原則もきちんと守っている。だから、わかりやすい。

|

« ノーベル経済学賞の経済学  放送大学 | トップページ | コンピューターは「錯覚」するか »

ニュース」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/533942/57188559

この記事へのトラックバック一覧です: 発表ニュースは見出しが勝負 静新と中日:

« ノーベル経済学賞の経済学  放送大学 | トップページ | コンピューターは「錯覚」するか »