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事故原因の再現実験こそ使命 学会事故調

(2013.04.02)  福島原発の事故について、日本原子力学会の事故調査委員会(委員長=東京大学・田中知)が、大変に遅まきながら、

 事故原因を分析した「中間報告」

を先日、まとめた。

  学会によると、学会事故調の設置目的は

 事故を専門的視点から分析し、その背景と根本原因を明らかにする

ことだとうたわれている。

 ● 欺瞞の事故調査中間報告

 ところが、学会のHPにその内容が公表されているが、ブログ子は、これを読んで、あきれてしまった。いかにも研究者らしい鋭い指摘や新事実の提示がないというだけではない。

 報告が中間的なものであるとはいえ、欺瞞に満ちている。

 中間報告の「まとめ」は、こう締めくくられている。

 「事故の分析や安全確保策を検討するにあたっても、原子力が多分野の技術を集めた総合的なものであり、分野間の連携とともに俯瞰的な視点が必要となることを認識することが必要である。」

 Image83920130328_2 ご丁寧に、必要となることを認識することが必要、と「必要」という言葉を二度まで使って強調した上で、最後に報告書は

 「これらの点に留意しつつ今後調査を続け、12月に予定されている最終報告書を質の高いものにしたい。」

と田中委員長自らの言葉で結んでいる。

 しかし、強調したはずの分野間の連携とともに俯瞰的な視点から、ぜひとも必要な

 事故の進行がどう進んだのか、仮説を立てて、再現実験

を実施し、仮説を検証するのかと、普通は思う。ところが、そう思いきや、報告の記者会見でのやりとりによると、そんな予定はないというのだから、あきれてしまう。最終報告書の目次案にも、そんな計画は示されていない。

 これでは、

 報告書づくりは、学会として一応調査をしたというアリバイづくりにすぎず、欺瞞に満ちている

といわれても仕方があるまい。毎月一回程度の会合の意味は気楽なアリバイづくりなのだ。

 学会自らが事故原因の仮説を立てる。実力不足で、国内では実験ができないというなら、再現実験そのものは海外のしっかりした実験施設に委託すればいい。

  研究者たちの集まりなのに仮説すら立てられないというなら、日本原子力学会の名称を返上するしかないだろう。たとえば、

 日本原子力同好会

という名前などがふさわしいのではないか。

 ● 「独自調査せず」と朝日が批判記事

 こんな体たらくだから、マスコミもこの中間報告の発表にはニュース性はないとみたことがうかがえる。

 Image84020130328 2013年3月28日付読売新聞は、第二社会面にわずか2段だった(写真上)。ほとんどニュース性がないとデスクが判断したことは間違いない。

 同じ日付の朝日新聞などは、もっと辛らつ。第二社会面にすら掲載せず、中面の「雑報」扱い。しかも、

 原発事故原因 新事実なし

   原子力学会中間報告 独自調査せず

と手厳しい見出しになっている(写真下)。

 ニュース性がないというのがニュースである

と言わんばかりの批判記事であり、見事なジャーナリズム感覚と感心した。

 ● 再現実験で汚名返上を

 今からでも遅くはない。

 冷却機能が失われたことが事故原因と学会事故調は報告している。

 それなら、さらに、たとえば、1号機の冷却機能は電源がなくても自動的に働くはずだったのになぜ働かなかったのか。事故原因は、冷却と全電源の喪失がすべてではないことをうかがわせる。

 仮説に基づく再現実験を計画し、事故原因をとことん突き詰める研究者らしい真摯な姿勢を明確に打ち出すべきだ。じっくり数年かけて、これからの原発のあり方に真に資する、それこそ委員長のいう「質の高い」最終報告書を国民のためにまとめあげようという使命感がほしい。

 学会は、汚名返上のこの機会を逃すべきではない。 

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