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続 コンピューターは「錯覚」するか

(2013.04.28)  先日、このブログに、

 コンピューターは「錯覚」するか=

  http://lowell.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/post-6cf8.html

というのを書いたら、ある親切な物知り読者から、今度、

 BSフジの日曜科学番組「ガリレオX」(4月28日放送)

で錯覚をテーマに取り上げるらしいと教えてくれた。

 見て、なるほど、これはすごいとびっくりした。コンピューターは、人の脳の高次情報処理を見事に再現してくれていた。

 ● 明大に錯覚美術館

 コンピューターは、視覚ばかりか、聴覚も、触覚も、また味覚までも「錯覚」する

ということがわかった。こうなると、人間はどういうときに錯覚するか、ということを数学的に計算できる。つまり予測できることになりそうだ。

 視覚の錯覚、つまり、錯視でも、エッシャーのだまし絵のような、実際にはつくることのできない

 不可能立体

もコンピューターで創り出すことができる。静止画だけでなく、

 不可能モーション

というのまで、番組では紹介されていた。たとえば、単に転がり落ちているだけなのに、あたかも重力に逆らって玉が転がり上っているように、人には見える動画が紹介されていた。

 明治大学には錯覚美術館というのがあることを、ブログ子は初めて知った。明治大学には錯覚も研究する先端数理研究科があるからだろう。番組では、そこの杉原厚吉さんが紹介されていた。

 杉原さんによると、なぜ錯視が起こるのかについて

 実際には直角ではないのに、人の脳は、図形の角の部分を直角と認識する

のが、錯視の原因の一つと語っている。わかりやすく言えば

 「脳は直角が好き」(杉原)

だかららしい。

 ● 聴覚、触覚、味覚の錯覚も

 Km16170lbsx 別の錯覚、聴覚の錯覚、つまり錯聴についても、番組では、音などないのに、そこにあたかも音があるかのように錯覚するという事実を

 NTTコミュニケーション科学基礎研究所

が研究している様子を紹介していた。幻聴とは異なり、前後の音声と調和するように〝滑らかに〟脳は錯覚する。

 そのほか、触覚の錯覚、つまり錯触についても、実際には円柱を触っているだけなのに、パソコン画面に富士山のような円錐を映し出し、それを見ながら、さわっていると、円錐を触っているような滑らかなカーブ感覚が伝わってくるという(写真=BSフジ科学番組「ガリレオX」より)。

 味覚の錯覚、つまり、錯味でも、実際には単なるクッキーを食べているのに、画面に映し出されたチョコレートを見ながら食べると、チョコの味がする。そんな舌をだます実験も紹介していた。この場合、舌からの味覚情報を脳内で処理する段階で、その情報よりもチョコという目からの視覚情報をどういうわけか優先する。だから、クッキーをチョコのように甘いと脳は人に感じさせているらしい。

 五感のうちでも、人間の場合、とくに視覚情報が認識において優先度が高い

というわけだろう。

 ● 心理学はいまや先端的な数理科学

 こうなると、番組ではなかったが、もう一つの五感、

 嗅覚の錯覚、つまり錯嗅

もきっとあるだろう。

 さまざまな感覚器官から入ってくる情報を、人間の脳は、どのように優先順位を付けたり、前後関係から調整したりして高度に処理しているか、ということを知る重要な分野、それが錯覚であることがわかる。

 つまり、脳は末梢の感覚器官にだけ頼って情報処理をしているわけではないのだ。こうなると、

 錯覚は、単なる心理学的なだまし

とこれまで思っていたのは、ブログ子の錯覚だった。

 心理学は、もはや人文科学の文学部の一分野ではない。それは錯覚。そうではなく、実験で検証可能な先端数理科学、はっきり言えば自然科学の分野である。

 件の物知り読者は、そのことをブログ子に教えてくれた。

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