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コンピューターは「錯覚」するか

(2013.04.17)  このブログを始めた当初、

 目に入ってくる情報と、それがどう見えるか、ということとはまったく別のこと

という話をした。どう見えるかというのは、脳に入力された情報を、脳自身がどう処理しているかにかかわっている。

 2つの目からは正常に光が入ってきているのに、脳内の情報の処理に〝異常〟があると、その人にとっては、たとえば、まったく左側というもののない世界が出現する。この世界に左側があるとは思いもしない男性が、あるいは女性が、まれではあるが、この地球上に生活している。

 この世界には左側と右側があるのは当たり前というように、世の中の常識というものを一度は疑ってみようという意味を込めて、

 このブログ名を「左側のない男」

とした。

 Image947jst しかし、こうしたことは、世の中ではまれなことであったが、だれにでも

 目に入ってくる情報と、その情報を脳内で処理したあとでは、まったく異なるか、ズレているという状況がある。

 それが、視覚の錯覚、つまり「錯視」である。

 写真(科学技術振興機構広報誌「JSTnews」2013年4月号表紙)がそれ。東京大学大学院教授で、数学者の新井仁之(ひとし)教授の

 脳をだます「錯視」を数学的に解明

という特集。

 ハートがちりばめられた表紙。よくみると中央の大きなハートが浮き上がっているようにみえる。さらに手にとって、斜めに動かすと、大きなハートが一定の方向にドキドキと鼓動をはじめるようにみえる(パソコン上では、パソコンを手で持って動かせば、ハートが動く !)。

 なんとも不思議な絵であるが、新井さんは、脳の情報処理の仕方をモデル化し、

 コンピューターも、人間同様に、「錯覚」する

ことを〝発見〟したらしい。

 人間が錯視するものは、モデル化したコンピューターも錯視するとなれば、その数理モデルは、正しく人間の脳内の情報処理を再現しているというわけだ。みえ方が異なっていれば、それは数理モデルのズレということがすくにわかる。

 Image1633 脳科学の実証的な研究への新しい数学的アプローチ

といえるだろう。 

 こういうユニークな研究には、社会的にも応用が広がりそうで、喝采したくなる。

  補遺

 視覚の錯覚の典型的な、というか、古典的な例としては

 写真下のようなものがある。これは、ブログ子がサイエンスボランティアをしている浜松科学館(浜松市)の展示である。

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